芸能界を引退しても左団扇?

島田紳助は、テレビの収入に加え、不動産競売物件を買いあさってン十億の資産家になったといわれる。だから、芸能界を引退しても左団扇なのだと考える人もいるだろう。ところが、『日刊ゲンダイ』(9月14日付)の連載において、その見通しに異を唱えているのが溝口敦氏だ。

「芸能人をやめるか、山口組系極心連合会・橋本弘文会長と縁を切る」かの選択を迫られ、橋本会長を選択した「紳助はここで多くの錯誤をおかした」と断言している。
ヤクザ関係のルポ・ライターとして実績を残す溝口敦氏だけに、その読みは深く具体的である。

「彼は大阪、東京にいくつか繁盛する飲食店を持つ。ビルも保有し、資産45億円といわれる。自分は押しも押されもしない事業家だと思ったのだろうが、引退後はそうはいかない。各店とも紳助のテレビ出演あってこその繁盛だったが、露出ゼロになる今後は徐々に客足が遠のいていく。店のテコ入れで金融機関から融資を受けたくても、各行とも暴力団に近いと知った紳助にカネは貸さない。新口座も開かせない」

ここまでは何となく想像がつく。溝口敦氏はさらに、一般のマスコミは絶対に触れないことも書いている。

「紳助は思うかもしれない。極心連合会・橋本会長は山口組の筆頭若頭補佐、組内第3位か4位だ。高山浩司若頭が恐喝容疑で今後数年間はシャバに出られない現状では、実質的に第2位の「若頭代行」に上る公算が強い。「親分」は前途洋々、わしも安泰だ、と。

 が、これも錯誤とはいわないまでも、早とちりである。

 山口組は現在6代を数えるが、6代の歴史を見るかぎり組長、若頭が在日だったことは一度としてない。そのため在日は組長、若頭になれないという不文律がある、とまことしやかに語られているからだ。そうでなくてもヤクザの前途は見えない。明日知れぬ状況は山口組の若頭補佐クラスでも例外ではない」

島田紳助が「ケツ持ち」として名前を挙げたとされる橋本会長は在日だから出世できない、と見られているということだ。

おそらく、この「まことしやかに語られている」ことの根拠は、「殺しの柳川」で名をはせた旧柳川組の柳川次郎組長が山口組では若中止まりだったことをもってそう感じているのだろうが、本当にそう断定できるかどうかはわからない。

ただ、少なくとも溝口敦氏が述べているように、山口組の若頭補佐クラスでも「明日知れぬ状況」であるほど暴力団一掃の社会作りが進められている昨今であるから、その点で島田紳助が「錯誤」と見られるのはもっともな話であろう。

暴力団のタブー (宝島SUGOI文庫)

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  • 作者: 溝口 敦
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/01/09
  • メディア: 文庫