不適格でもやむをえないか

芸能人と仕事の関係の話である。芸能界は島田紳助が突然の引退で騒然となった。暴力団との交際が原因で番組やCM等すべての仕事を降りたために、スポンサーから合計で何億、もしくは何十億の違約金を取られるのではないかと芸能マスコミで取りざたされている。そして、同じ頃、ジャニーズタレントも違約金が話題になるニュースの主人公になった。といっても引退ではない。無免許運転が発覚した山口達也のことだ。
「車のCMにも起用されていますからね。億単位の違約金を請求される可能性もあるでしょう。運送会社のCMでも山口は不運なことにドライバー役。こちらも打ち切りか撮り直しでしょう。今回の件に関しては、プロとは思えない初歩的なミス。会見現場にいたジャニーズの幹部社員も、『これは批判されて当然よ~』と話していました」(『まぐまぐニュース!』9月6日号)
 免許の期限が切れているという客観的な事実が問われているわけで、確かに言い訳の使用もないミスである。
島田紳助は暴力団との交際が原因で引退し、番組やCMスポンサーから違約金を取られると噂されている。紳助の都合で仕事を契約どおりできなかったことと、暴力団との交際という理由が、企業イメージに傷をつけるということがある。

9月には、小雪が酒のCMを降板したことと、彼女の妊娠の発表が重なり、妊娠による降板であると芸能マスコミには解釈された。企業側ではそれは否定しているが、妊婦がお酒を飲む光景はメディアの表現として好ましいものと評価はされない。つまり、小雪は妊娠した時点で、お酒のCMに不適格となったわけだ。

「違約金」というほどではなかったが、それ以外にも、スポンサーのライバル社のCMに出演しているからと言って、MCのタレントが番組を降板したり、長く焼肉のCMに出演していた女優が「私はベジタリアン」とインタビューで話したためそのCMから降ろされたなど、芸能人がCMとイメージの関係を問われて仕事を下りざるを得なくなることは枚挙に暇がない。

ただ、そうしたことに対して、いつも一部には反対意見が出ているのも確かだ。

つまり、引退した島田紳助はともかく、小雪の場合は、CMは女優として出演しており、プライベートな妊娠は関係ない。仕事は仕事、私生活は私生活という意見だ。

以前から、CMに出演するタレントは、その商品のたんなるアイ・キャッチャー(目印)なのか、それともアドバイザーなのか、という議論はあった。

この人気タレントならあの商品、と消費者が連想してくれればCMとしては成功だが、その場合、タレントが必ずしもその商品の愛用者である必要はない、ドラマだって、医師免許がなくても医師の役は演じられる。タレントはイメージのみ勝負だ、という考え方と、いや、タレント自ら率先して使っていなければそのCMは嘘になってしまう。ドラマは作り物だが、CMは実在の商品を扱うのだから嘘があってはならない、という考え方があるわけだ。

どちらも一理あるだろう。
「私も使っています」と宣言でもしない限り、実際に使わない商品に出演してはならない、という理屈はちょっと厳しいかもしれない。たとえば、東京在住でありながら関西電力のCMに出たっておかしくはないだろう。

ただ、企業や商品のイメージに反する立場や行為があれば、その利用者であろうがなかろうが、そもそも商品キャラクターとして不適格と言われても仕方ないのではないか。

たとえば、小雪のような例だが、今やインターネットなどでスターの私生活が秘密のヴェールに包まれる時代ではなくなった。ドラマでも喫煙のシーンがなくなったように、その表現も社会的公益性を意識したものになっている。そして、ファンはそもそもそのタレントの価値について、聞こえてくる私生活の断片情報を含めて判断している。したがって、名前の知れた女優、名女優なら私生活は不問という時代ではないということだ。

前置きが長くなったが、そのデンていえば、世間からの注目度が高いジャニーズタレントの山口達也が、自動車関係で言い訳できないまちがいをおかした。その結果、自動車や運転関係のCMキャラクターとして不適格とされても、やむをえないことではないだろぅか。

CM NOW (シーエム・ナウ) 2014年 07月号

CM NOW (シーエム・ナウ) 2014年 07月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 玄光社
  • 発売日: 2014/06/10
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