前田五郎敗訴が話題になっている。

暴力団排除条例の地ならし+前宣伝といわれた島田紳助引退騒動。引導を渡したのは吉本興業側といわれるが、そもそもこの会社、中田カウスと山口組五代目の関係が取りざたされていたはず。

ビートたけしも、実名こそ出さなかったが、中田カウスと推理できる人物にヤクザのところに連れて行かれたという話をしている。
その中田カウスに脅迫状を書いたとされ、吉本を契約解除になって裁判に持ち込んだのが前田五郎だ。その判決が出て話題になっている。前田五郎の全面敗訴である。
前田さん「活動休止に同意」=吉本興業への訴え棄却―大阪地裁
時事通信 10月20日(木)17時30分配信
 漫才師中田カウスさん宅に脅迫状が届いた事件をめぐり、元漫才師前田五郎さん(69)が「意に反してタレント活動を休止させられた」などとして、吉本興業などに総額約1億2400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は20日、請求を棄却した。
 野々上友之裁判長は「周辺が混乱すると吉本側から強く説得され、原告も不本意ではあったが休養に同意していた」と述べた。筆跡鑑定を強制されたとする主張も「決断したのは原告自身だ」と退けた。

しかし、前田五郎の言うことが本当なら、この判決はおかしい。

前田五郎は、『週刊現代』(10月29日号)において、その部分についてこう述べている。
すると、吉本側の10人は「脅迫文と同じ文章を書いてもらえますか」と言い始めました。疑われているどころか、既に犯人扱いでした。悔しくて、情けなかった。
 脅迫文と同じ文章を書く理由なんてありませんから、最初は「書かん」と拒否しました。それでも「書いて欲しい」と迫り続けるので、僕もキレた。

「そんなもん書かんわ!どうしても書け言うなら、近くの南警察署に行こうやないか。両署でなら、いくらでも書いたるわー!」

 それでも10人は食い下がり、最後は根負けして、どうせ自分にやましいところはないからと、脅迫状の文面を書きました。こんな内容です。

『舞台に立てぬ様にしてやる』
『吉野(伊佐男会長)も大崎も同様だ』

 これが忌まわしい日々の始まりやった。最初の聴取から10日が過ぎた5月25日、『デイリースポーツ』が「前田五郎が脅迫文を書いた疑いがある」「大阪府警が任意聴取中」と報じたのです。聴取なんて受けていませんから、仰天しました。吉本からは、「こんな記事が出たままで仕事をされると、報道陣が押し寄せて来るから、会社が困る。お前も漫才がやれんだろうから、しばらく休養してくれ」

 と一方的に通告されました。

 僕は「潔白なんやから、休みませんで。休養したら、罪を認めたことになってまう。絶対に休まへん」と必死に抵抗しました。

 しかし、会社は僕の主張を却下し、「休まへんでも、仕事は一切入れん」と言ったのです。話し合う余地などありませんでした。

要するに、判決は、何を言われても脅迫状の文面を書いてはいけなかったということだ。強要した側の責任は問われず、「書かされた」前田五郎が悪いというわけだ。

普通、やましいところがなければ、前田五郎が考えるように書いてしまうだろう。
それではだめだということだ。
正直がアダになるというこの世の中、どこに落とし穴があるか分からない。

「原告も不本意ではあったが休養に同意していた」に至っては、仕事を入れる吉本側が「仕事を入れない」と言っているのだから、不本意も同意もヘッタクレもない。これはもう強制だろう。

判決文と前田五郎のインタビューを付き合わせると、前田五郎にとってずいぶん酷な話に見えるのだが、そうした見立ては間違っているだろうか。

第三者から見ると、吉本興業というのも、ずいぶんうさんくさい会社に見える。島田紳助は「トカゲの尻尾きり」だったのだろうか。

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