インフルエンザが早くも話題になっている。東京都内の公立小学校でインフルエンザによる欠席が急増し、今シーズン初めてとなる学年閉鎖となったという。おそらくは今年も、ワクチン接種の肯定派と否定派によるバトルが繰り広げられるのだろう。
インフルエンザについてのニュースからまず引用しよう。
東京都内の公立小学校でインフルエンザによる欠席急増 今季初めてとなる学年閉鎖に
フジテレビ系(FNN) 10月24日(月)17時42分配信
東京都内の公立小学校でインフルエンザによる欠席が急増し、今シーズン初めてとなる学年閉鎖となった。
学年閉鎖されたのは、東京・練馬区の旭丘小学校の6年生。
小学校によると、6年生のクラスで、20日から発熱やせきなど、インフルエンザの症状による生徒の欠席や早退が目立ち始め、24日の時点で、35人のうち10人が欠席しているという。
小学校では、さらなる流行のおそれがあることから、25日から3日間、6年生のクラスについて、学年閉鎖することになった。
小学校によると、ほかの学年でインフルエンザの急増は、現時点では起きていないという。
都内の公立学校でのインフルエンザによる学年閉鎖は、今シーズン初めてとなる。

最終更新:10月24日(月)22時27分
Fuji News Network

ワクチンを肯定、否定、いずれにしても、まず事実を知ることが大前提である。価値判断で好き嫌いを言っても建設的な話にはならない。

まずはっきりさせておきたいのは、ワクチンは絶対安全というものはない、ということだ。

副反応のリスクは必ずある。インフルエンザであろうが、日本脳炎であろうが、昨今話題のポリオであろうがみなそうだ。その点を伏せて議論するのはアンフェアである。

そのリスクを承知の上でも接種したほうがメリットがあるかどうか、という議論でなければならない。

次に、インフルエンザワクチンは、インフルエンザを絶対に防ぐ、というものでもない。既知のウィルスによって作られているから、新しい株には対抗できないのだ。

ワクチンのセールスポイントは、インフルエンザ罹患時に重症化を防ぐ効果があるとされていることだが、ここにエビデンスはない。つまり、専門家の雑誌で評価されるような定量的なデータはない。

新型インフルエンザが流行した頃を思い出してみよう。

あの頃は、今度で亡くなったのは何人目だ、という報道にマスコミは熱心だった。

来る日も来る日もインフルエンザ情報。
「リスク=ハザード×確率」なのに、確率を検証しない「リスク」の演出に熱中していた。
まるで、何頭目の感染牛が出た、というかつてのBSE報道のときのようだった。

交通事故死や他の病死は、日常的にもっとたくさん出ているはずだが、有名人や事件性のあるものぐらいしか報じられない。

インフルエンザだけが特別扱いだった。

だから、恐怖感を刷り込まれた人々がワクチン接種を希望して病院に殺到した。

だが、接種希望者は、ワクチンの現実をきちんと理解してから受けたのかどうか疑問だ。

漠然と、「受けておけば”あの恐ろしい”新型にかからずにすむのではないか」と思っていただけなのではないか。もしくは、マスコミの報道で、世間の動きから乗り遅れたくないという気持ちにさせられているのか。

筆者は当時、ワクチンの有効性やリスクも含め、新型インフルエンザワクチンを製造しているメーカー2社に質問したことがある。

まず季節性(通常)のインフルエンザワクチンについては、
「発症を防ぐ予防効果」は、子供よりも成人(20?64歳)のほうが高く80%。
6歳以下の子供はぐっと低くなり30%程度という。

重症化(入院、死亡)を防ぐ効果については、65歳以上の高齢者で死亡を防ぐ効果が80%。
成人、子供についてはともに不明ということだった。

だが、その限りでは
入院につながるような合併症、肺炎やインフルエンザ脳症などは、ワクチンによる予防効果があるのかないのかわからないということになる。

ではなぜ、それでも重症化を防ぐと言われるのか。

メーカー側の説明をそのままご紹介する。

「インフルエンザにかからなければ重症化もしない。発症を防ぐ効果は子供でも30%認められるので、これはすなわち重症化を防ぐ効果と言ってもいい」

微妙な言い回しである。

もし、抗がん剤の奏功率が「30%」なら、医療現場はともかく、患者側は物足りない数字と思うだろう。

それは、奏功しない場合から考えるからだ。
インフルエンザも同じで、このメーカーの説明は言い方をかえると、「3人に2人は重症化を防げない」ということである。マスコミはそういう表現は決してしない。

厚生労働省が一般に公表している「新型インフルエンザワクチンQ&A」にも、インフルエンザワクチンは「重症化を防ぐ効果や発症を防ぐ効果が期待されている」とある。

筆者はこれを、「発症を防ぐ効果あるいは発症しても重症化を防ぐ効果が期待できる」と読みかえていたが、ただしくは「発症を防ぐ効果は期待できるが、重症化を防ぐ効果は保証されていない」ということになる。

しかも発症を防ぐ効果も子供の場合は30%。

冒頭に述べたように、インフルエンザ・ワクチンだってリスクがないわけではない。

毎年4~5千万人接種している中で、副反応の報告は100件程度。うち死亡例が2件。この死亡例についてはいずれも高齢者で持病を持っており、死亡原因をワクチンと特定することは難しいが、持病を持っている人はワクチン接種の際は注意が必要とのことだ。

だいたい、「副反応」と一口にまとめているが、ここの中身も色々あると思う。
結果的に亡くならなかった、というだけで、高熱が続き、家族が肝を冷やしたケースだってあったのではないか。

筆者も、あるワクチンの副反応で熱が出た経験があるので、その点が気になる。

と、ここまで書いたところで、これを読んだ一部のおバカさんは、
筆者に「ワクチン否定派」と勝手にレッテルを貼り、ワクチンのメリットとされることをこれでもか、これでもかと洪水のように並べ、筆者をトンデモ扱いして悦に入ることだろう。

2008年に、インフルエンザワクチンに反対する人の著書レビューを「ヤフーニュース(トピックス)」で書いたことがあるが、狂ったような勢いで「反論」コメントが書き連ねられたものの、ワクチンのデメリット自体を事実に基づいて否定したものはひとつもなかった。

要するに「反論」は、自分の価値判断(ワクチン接種はすべき)に懐疑的なものは一切許さない、という言葉の暴力に過ぎなかった。

医療関係者でもない筆者が、肯定も否定もないのだ。
後悔も反省もしなくていい判断ができるよう、可能な限り事実を知ろうといいたいだけである。

今年の「インフルエンザブーム」こそ、事実と道理に基づいた情報と意見で判断できること望むものである。

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