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「しょうがいしゃ」の表記は「障害」か「障がい」か「障碍」か。兵庫県宝塚市説なら「障碍者」、NHK説なら「障害者」

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「しょうがいしゃ」の表記は「障害」か「障がい」か「障碍」か。兵庫県宝塚市説なら「障碍者」、NHK説なら「障害者」

「障害」か「障がい」か「障碍」か。体や精神に不自由があるときの「しょうがい」を表現する時、どの字を使いますか。兵庫県宝塚市は「障碍」と決めました。NHKは従来から、「害」は本人ではなく社会の側を指すという理由から「障害者」と表記します。

兵庫県宝塚市は「障碍」

兵庫県宝塚市が2月に、市の公文書表記を「障害」ではなく「障碍(がい)」にする方針を決めたと発表しました。


自治体として表記を決めたのは今回がはじめてのことです。

「害」には他人を「害する」などの否定的なイメージがあるため、「妨げる」という意味の「碍」を使う方が本来の意味にふさわしいと判断したというのです。

それには、ふたつの反対意見が出ました。

ひとつは、読めない(常用漢字ではない)

もうひとつは、字は本質的な問題ではない

ということです。


一方、NHKは、メディアの中ではもっとも関連番組を制作していますが、明確な理由で「害」を使い続けています。

NHKによれば、「障害」はその人自身ではなく、社会の側にあるので、障害者=社会にある障害と向き合っている人たち、と捉えているからといいます。

これは、ひとつの見識ととらえられます。

そもそも「障がい者」とひらいてしまうのは、NHKのように、「害」という字を使うことの信念も覚悟もなく、その問題から逃げているだけで、障碍者への配慮ではないと思います。

障碍者当事者にも、そう述べている人もいます。

「障害の文字をひらがなにするのが嫌い」

たとえば、先天性右前腕欠損症の一ノ瀬メイ(パラリンピック水泳)が、テレビ番組で「障害の文字をひらがなにするのが嫌い」と発言して、多くの人が共感したという話がありました。

「障害の文字をひらがなにするのが嫌い」 パラ水泳『一ノ瀬メイ』の持論に深く納得
http://grapee.jp/265035


障害の『害』が、ひらがななのが嫌い。
害やからよくないやろ、でひらがなにする。
私からしたら腕がないのが障害なんじゃなくて、それを持って生きていく社会が害。
私からしたら障害は本人じゃなく社会やから、ひらがなに直して勝手に消さんといてほしい。
個人的には、この考え方には共鳴できます。

この発想は、障害者だけの問題ではなく、すべてにいえることだと思います。

たとえば、いわゆる「キラキラネーム」が、役所の手続きで支障をきたしたからといって、「キラキラネーム」を糾弾している人がいますが、私はその立場は取りません。

そうではなくて、それはむしろ、役所が、わかりにくい名前を処理できるシステムに発展する機会になったと前向きに解釈すべきだと思っています。

なぜなら、社会は人が主人公であり、役所の都合で生きているわけではないから。

※私自身は、そもそもキラキラネームというレッテル自体を認めていません。

ただ、障害者のすべてが、一ノ瀬レイに賛成しているかというと、必ずしもそうではありません。

引用した記事には、こんなコメントも入っています。

社会が自分の害になっているってのは自分の障害をまだ受容できていないんじゃない?と思ってしまう。生きていく上で不自由なのは純然たる事実だし、それは自分の障害のせいなんだよ。障害者はあくまでもマイノリティなんだから、出来ないことは諦めるってのも必要。障害は個性なんて言い訳もちょっとムカつく。

要するに、「障害」と「障がい」の違いは、それぞれの考え方の違いであるということです。

私はむしろ、そのような正解のないことを議論してしまうことで、障害者問題に関わろう、考えてみようと思っている人々が、「なんだか面倒くさそうだな」と敬遠してしまうことの方が問題だと思うのですが……。

「しょうがいしゃ」の表記のまとめ

表記が本質ではないことは、誰でもわかると思うのですが、それでもそれが議論になるのは、それだけデリケートな問題ということなのでしょう。

では結局、障害者か、障がい者か、障碍者か、どれを使ったらいいのでしょうか。

私は個人的に、自治体が「障碍者」と定めた以上、その流れは広がる可能性があるので、文脈によって「障碍者」と書く機会を増やし、発達障害、身体障害など、熟語として定着しているものは、従来どおり「障害」と綴ります。

理由としては、NHKが標榜するとおりです。

みなさんはいかがお考えですか。

「障害」か「障がい」か「障碍」か、「しょうがいしゃ」の表記

以上、「しょうがいしゃ」の表記は「障害」か「障がい」か「障碍」か。兵庫県宝塚市説なら「障碍者」、NHK説なら「障害者」、でした。

Photo by Audi Nissen on Unsplash

わたしが障害者じゃなくなる日 ?難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた
わたしが障害者じゃなくなる日 ?難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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