かつお節エキスは、原材料がかつお節……のはず。ところが「BSEフリー」を謳うメーカーがあり。その理由は、たん白加水分解物を使っているからである。「エキス」に対して、どうしてたん白加水分解物が必要なのか。そのカラクリをご紹介しよう。
かつお節エキス、もしくはかつお節エキスパウダーは、どちらも比較的廉価な加工食品やスナック菓子などの原材料で必ずと言っていいほどお目にかかる「調味料」。
メーカーによっては、わざわざ「BSEフリー」を謳っている。
かつお節は魚由来であり、牛由来のBSEとは本来無関係で「フリー」は当たり前なはず。
では、どうしてそう謳っているかご存知?
今回も、スケプティクス(懐疑的)にヤッてみよう。
かつお節なのにBSEフリーをうたう
かつお節エキス、もしくはかつお節エキスパウダーは、食品に美味しさを加えるため、塩味とも違う独自の旨味であるアミノ酸を使うのだが、メーカーによっては、わざわざ「BSEフリー」を謳っている。
しかし、「かつお節」由来なのに、なぜわざわざそんなことを断るのか。
その理由はたんぱく加水分解物にあった。
鰹節エキス、かつお節エキス。
表記はいろいろあるが、比較的廉価な、たとえばインスタントラーメン、インスタントカレー(レトルトカレー含む)、煎餅、スナック菓子などに、かつお味の調味料がしばしば使われている。
この場合、「カツオエキス」と「かつお節エキス」とがあるが、まあどちらもおおもとは鰹だから同じであろうと思っていた。
しかし、その2つには違いがあった。
ある調味料メーカーの公式サイトを見ると、「カツオエキス(パウダー)」にはなくて、「かつお節エキス(パウダー)」にある文字が気になった。
それは、「BSEフリー」である。
カツオエキスというのは、鰹、場合によってはそれに加えて鯖等の魚の煮汁を濃縮加工したものである。
かつお節エキスというのは、かつお節、場合によってはそれに加えてサバ節の煮汁を濃縮加工したものである。
全く同じことを書いているのだが、片方だけが「BSEフリー」と書かれているのだ。
これは気になるだろう。
つまり、本来「かつお節」と「牛の危険部位」は別物なのに、わざわざそれを断るということは、「かつお節エキス」というのは、「牛の危険部位」を使うことがあり得る、ということなのだ。
牛由来の原料を構成の一部として用いる事も
どうしてだろうと思い、その「BSEフリー」と書かれているメーカーにたずねてみた。
会社によっては、「鰹節エキスパウダー」が「BSEフリー」とことわっているところもあります。
「鰹節」でありながら、ウシ由来のものを使うことがあるのでしょうか。
すると、回答をくれたメーカーは、
「鰹節エキスパウダー」を構成する原料には、場合によっては牛由来の原料を構成の一部として用いる事もある。
と、事実上、「鰹節エキスパウダー」に「牛の危険部位」が使われる場合があることをはっきり認めたのである。
タンパク加水分解物が“真犯人”だった!?
これは偉いことである。
しかし、鰹節自体は、鰹から作るものであり、牛の危険部位ということはあり得ないだろう。
まさか、牛の脳を乾燥させて、かつお節です、などといあことは考えられない。
ということは、かつお節そのものではなく、エキス(パウダー)として、味や風味、コクなどを整える調味料にそれが含まれているのであろう。
砂糖や塩にそれはない。
さすれば、考えられるものはただひとつ。
たんぱく加水分解物である。
タンパク加水分解物というのは、動植物の、もはや売り物にならない部分を、酵素や塩酸を使って分解し、そこから取ったアミノ酸のことをいうのである。
「動植物の、もはや売り物にならない部分」というのは、たとえば大豆の搾りかすであり、鳥の肉を使うためにむしった羽であり、豚の内臓であり……といったものである。
牛の危険部位が、そこに混入する可能性がある、というわけだ。
そもそも、タンパク加水分解物は、塩酸による分解が、発がん物質を生成させるとして、問題になっている。
その上、BSEの心配もあるわけだ。
一説には、塩酸による分解は、プリオンの不活化に有効であるという説もあるが、それは筆者にはわからない。
ただ、タンパク加水分解物が危ないとなると、かつお節エキスパウダーだけでなく、カツオエキスパウダーであっても、それとは別個にその食品にタンパク加水分解物が使われていたら、同じことである。
かつお節エキスのまとめ
まあ、牛エキスと同じで、可能性として否定できないというだけで、何が何でも禁忌というほど切羽詰まった確率ではないのだろう。
気持ちが悪ければ、それは避けるに越したことはないが、ただ、冒頭に述べたように、タンパク加水分解物を使った食品はたくさんある。
それをすべて避けるというのは、なかなかむずかしいかもしれない。
以上、かつお節エキスは、原材料がかつお節……のはず。ところが「BSEフリー」を謳うメーカーがあり。その理由は、たん白加水分解物、でした。
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