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『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』(宮城和男、あけび書房)は遷延性意識障害患者の社会復帰までの記録

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『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』(宮城和男、あけび書房)は遷延性意識障害患者の社会復帰までの記録

『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』(宮城和男、あけび書房)は遷延性意識障害患者の社会復帰までの記録です。高専生が交通事故で植物症になってしまったものの、そこから回復して自動車免許を取るまでになったという話です。

『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』は、医師の宮城和男さんが、あけび書房から上梓した書籍です。

1991年9月に起こったバイク事故で、18歳の松本朋之さんは遷延性意識障害になりました。

そこから265日間、家族と友人達と医療スタッフによる必死の働きかけが行われ、社会復帰の奇跡を生みました。

遷延性意識障害と高次脳機能障害

10年前、ケンタロウさん(小林健太郎、料理研究家)が、「高次脳機能障害」で両手足に麻痺、言語障害や記憶障害が出ていると報じられたのは、同年8月21日に発売された雑誌『女性自身』でした。

2012年2月4日深夜、オートバイを運転中に、首都高速道路外苑出口のカーブを曲がりきれず、6メートル下に落下。「頭部骨折などの重傷を負った」と報じられて以来のこと。

6メートル下に落っこちてよく生きていられたなあ、「重傷」ではなく「重体」ではないかと私は事故当時思いましたが、その見立ては当たっていたのではないでしょうか。

週刊誌の記事を見る限り、ケンタロウさんは「高次脳機能障害」ではなく「遷延性意識障害」ではないかと思います。

自力移動ができない、自分で食事ができない、意思の疎通ができないといった要介護5、一級身障者の「植物症」状態が3ヶ月以上続くと、それは遷延性意識障害といいます。

つまり、現状は自覚的に自分を動かせない。

ただし、将来はもしかしたら改善されるかもしれない。

そういう状態を、遷延性意識障害といいます。

一方、高次脳機能障害というのは、意識清明であるものの、体が不自由になったり、見えないものが見えたり、逆に見えるべきものが正しく見えなかったりなど、脳が部分的に損傷を受けたためにおこる障害のことをいいます。

当時の2ちゃんねるでは、例のごとく「無理に生かしているのも酷だ」などという「安楽死のススメ」が書き込まれましたが、トンでもない。

遷延性意識障害は、脳幹が生きた状態なら呼吸や循環をつかさどる機能は問題ありませんから、少なくとも6ヶ月も経過していたら「命に別状はない」状態なのです。

「安楽死」なんて何を抜かすか!です。

もちろん、「高次脳機能障害」なら状態次第で社会復帰できますが、「遷延性意識障害」は寝たきりなのですからそれは無理です。

しかし、将来回復する可能性はあるので、家族は明日を信じて介護を続けているのです。

ですから、ただ「生かしている」状態とも違うのです。

本書『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』は、高専生の松本朋之さんがバイク事故で、脳がびまん性軸索損傷(DAI)という大怪我をします。

それによって、自分で自分の体も動かせず、意思疎通もできない遷延性意識障害になります。

しかし、家族や友人の励ましや、医療スタッフの懸命な治療やリハビリによって、重い高次脳機能障害を残しながらも社会復帰したことを、当時の担当医の宮城和男さん(当時王子生協病院)がまとめたわけです。

遷延性意識障害から再びバイク運転まで

かいつまんで書きますと、高専生が交通事故で植物症になったが、回復して自動車免許を取るまでになったという話です。

書籍になるということは、残念ながら、そこまで回復するケースは少数派です。

結果的にずっと寝たきりになっている場合が少なくありません。

ただ、リハビリの時期や方法によって、回復できるものができなかったり、その逆だったりすることはあります。

ですから、家族の方々は、明日を信じ、成功談は積極的に採り入れたほうがいい、と思います。

『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』には、

・寝たきりにさせない(本人の意識に関係なく車椅子にのせて脳に刺激を与える)
・積極的に風呂に入れる
・理学療法士や作業療法士などとの関係を大切にする(治療者は医師だけではない)
・いわゆる老人病院(慢性疾患患者病院)には入れない

などが書かれています。

回復後は、車椅子で自動車の教習に向かう写真が話題になりました。

前向きに頑張りましょう

私は11年前に火災を経験。

妻子は一酸化炭素中毒だったのですが、実は私の長男も事故当初は松本朋之さんのような状態だったために、本書が「一縷の望み」でした。

私の長男は、要介護5、一級身障者の「植物症」認定をされたその月から急に歩き出し、その翌月には会話も回復していました。

https://webshining.net/%E3%83%87%E3%83%91%E3%82%B1%E3%83%B3

担当医は最初、「人工呼吸器をはずすところまでは頑張りましょう」と言っていたのですが。

ただし、朋之さんのように、バイク運転はとてもできるような状態ではありません。

その意味で、朋之さんはすごいと思います。

遷延性意識障害の星です。

なお、私の体験では、本書の内容に加えて

・意識が戻ったらさっそく普通の人のように扱う(病人のように扱うとそうなってしまう)
・意識回復直後は嚥下ができないので、布キレの中にガムを入れて咀嚼と嚥下の訓練を行うと食事と会話の回復に役立つ
・意識回復途上にはipodに好きな番組の動画や音楽を入れて見聞きさせると意識清明に有用である
・昏睡状態でも反応するツボがあるのでそこを刺激していると覚醒する可能性がある
・気管切開はなるべくしないほうがいい

といったことも付け加えいおきます。

まあ、私ごときが偉そうなことを書かなくても、家族の方々はいろいろな情報をお持ちだと思いますので、家族会なども積極的に入るといいと思います。

ちなみに、私の妻は心肺停止になるまで一酸化酸素を吸っても、脳に全く異常がありませんでした。

https://webshining.net/%E5%BF%83%E8%82%BA%E5%81%9C%E6%AD%A2%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E7%94%9F%E9%82%842%E5%B9%B4

私の次男はICUに入院していましたが、小児脳神経内科の医師団が知能テストとしてボールペンを手渡し、次男がキャップをとろうとすると、医師団は「うオーッ」とどよめいていました。

次男はボールペンの記憶も失ったと思ったんでしょうね。

ことほどさように、脳はまだまだ医学ではわかりません。

医師は状態を見ることはできても回復の予想ができないのです。

遷延性意識障害患者のご家族の皆さん、前向きに頑張りましょう。

以上、『がんばれ朋之!18歳、植物状態からの生還265日の記録』(宮城和男、あけび書房)は遷延性意識障害患者の社会復帰までの記録、でした。

がんばれ朋之!18歳―植物状態からの生還「265日の記録」 - 宮城 和男
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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