がん患者一万人のがんと向き合う後悔なき選択(吉田年宏著、幻冬舎)は、フコイダン療法を併用する吉田年宏医師の実践体験記である。外科医の専門医でありながら、フコイダン療法も頭からバカにせず、重篤ながん患者の標準治療との両立を模索する。
『がん患者一万人のがんと向き合う後悔なき選択』は、大阪の開業医、吉田年宏さんが幻冬舎から上梓した書籍である。
内容は、フコイダン療法についてである。
フコイダンとは、抗がんを標榜する健康食品である。
世の中色々な健康食品推進者がいる。
健康食品の業者、お金で博士号を買ったなんちゃって博士、医師免許はもっているものの、なぜか自分のクリニックは医薬品の匂いがまったくなく、患者に抗がん健康食品をいきなり勧める事実上のなんちゃって医師……。
吉田年宏医師は、こうした人達とは明らかに違う。
外科医の専門医として認定され、普通に開業している医師である。
「がん治療は甘いものではない」と、患者には当然、標準治療を勧める。
ただ、「甘いものではない」ということは、標準治療さえ行えば絶対に治るというわけではない。
治療中も、痛みや抗がん剤の副作用などがある。
それらをなんとか軽減できないか。
また、標準治療でさじを投げられた患者、何か拠り所が欲しい患者が、標準治療を前提としながらも、フコイダンを併用できる道はないものか。
吉田年宏医師は、標準治療を前提としながらも、フコイダンも頭から否定せず、利用者の報告を聞いたり、相談を受けたりしてきた。
その数が、何と1万人にのぼったという。
それを本にまとめたというのだ。
私は、個人的に、吉田年宏医師と何度も話をしており、前述のようななんちゃっての人たちとは違うことは十分承知している。
吉田医師も、フコイダンを盲信しているわけではなく、逆にフコイダン利用の相談に、「まずは手術や抗がん剤を受けてください」と、止めるケースの方が実は圧倒的に多い。
だから、この書籍を頭からは否定しない。
ぜひ、スケプティクスなみなさんの、真面目に読んだ上で率直な感想をお聞きしたいものである。
抗がん健康食品について
抗がん健康食品は、がんを予防したり治療したりするとされる自然由来の物質を含むサプリメントや食品である。
一部の抗がん健康食品は、がん細胞を攻撃するとされる成分を含むことがあるが、これらの効果は科学的に証明されていない。
抗がん健康食品の危険性については、以下のようなリスクがある。
- 相互作用
- 毒性
- 未知のリスク
- 質の問題
抗がん健康食品は、がん治療薬と相互作用することがある。これにより、治療効果が低下したり、副作用が強化されたりする可能性がある。
抗がん健康食品には、毒性があることがある。一部の植物性物質は、摂取量が多い場合に肝臓や腎臓などの臓器に損傷を与える可能性がある。
抗がん健康食品の成分の中には、科学的に評価されていないものもある。これらの成分による副作用や健康への悪影響は、現在までに十分に調査されていない。
抗がん健康食品の中には、効果がないか、または少ない量しか含まれていないものもある。また、衛生面や品質管理の問題もあるため、選び方には十分な注意が必要。
総じて、抗がん健康食品は、がん治療の補助的な役割を果たす場合もあるが、選び方には注意が必要。
がん治療中の患者は、主治医と相談の上で、抗がん健康食品を使用するかどうかを決めるようにすべき。
また、健康な人でも、自己判断での使用は避け、適切な情報を得た上で使用するようにしたいものである。
……ということをお含みおきの上、以下をお読みいただきたい。
民間療法を採り入れる医師をどう見るか
大阪に、吉田年宏さんという医師がいます。
このブログの読者なら、吉田さんの名前をご存じの方もずいぶんおられるでしょう。
フコイダンを治療に使えないかと、8年にわたって毎週週末、東京や大阪で無料相談会を開いて、希望者に対してはフコイダンを治療に試している医師です。
吉田年宏さんの発行するメルマガに、こう書いてありました。
>今年の締めくくりに、いや、8年間の集大成として12月21日に
>幻冬舎から書籍を発刊します。
この世界で仕事をしている人はご存じと思いますが、幻冬舎という出版社は、通常持ち込み原稿を受け付けていません。
編集者が独自に発掘するか、もしくは別のルートから話があった時に企画として取り上げられます。
同社がどういう動機や狙いで、吉田年宏さんの活動を出版することにしたのでしょうか。
その意味でもこの書籍、興味深く拝見したいと思います。
読まないうちから決めつけることは出来ませんが、民間療法についてですから、おそらくは、何らかの留保や疑問点を指摘せざるを得ないと思います。
ただ、だからこの医師は絶対に信用できない、というような見解を軽率に述べることは慎もうと思います
○○が気に入らないから、こいつの一切の発言は信用ならないなどとする天×優子ブログのような一面的な見方に陥ることなく、是々非々で、医師としての総合的な評価や尊厳はきちんと守る礼儀と見識だけは、まともな社会人として持っていたいと思うからです。
また、私ごときでも、自分の見解を発表する書籍や雑誌の場を確保することは不可能ではありませんが、「しなやか」と称して夕刊紙でピント外れのあてこすりを書くような、タレント文化人のようなやり方もとりたくありません。
批判を書く時は、正々堂々と名指しと引用をします。
自分の文章に責任を持つと言うことは、そういうこと。
それができないのなら、不特定多数の読者に対してお金を取る文章を書く資格などありません。
外科の指定医がフコイダンを考える葛藤
私は、この方が相談会を始められたばかりの頃から知っています。
家族のことを相談したこともあります。
と、書くと、この時点で気の早い自称「否定派・懐疑派」には「お前はフコイダン業者の回し者になったのか」と書かれる者の迷惑も顧みず、いい気になって書き飛ばす人が「必ず」いる(断言してもいい!)のですが、私はこの医師からフコイダンはおろか、他の健康食品も一切買っていません。
取材の中で、せっかくだから外科専門医に対する医療相談をしようと思っただけです。
もちろん、そこでフコイダンを勧めるかどうかを試す意味があったことは否定しませんがね。
しかし、それはありませんでした。
繰り返しますが、業者の斡旋も、こんにちに至るまでされたことはなく、そもそもそのときも相談は、通常の治療の相談で、フコイダンを使えという話ではありませんでした。
つまり、この医師には、筆者が東京在住なのに1円も使わず、本当に無料で相談に乗ってもらいました。
わざわざ、私の自宅に電話をかけてもらったこともあります。
(8年前と今とは事情が違うので、今同じことをしてもらえることはないと思います。念のため)
と、書くと、この時点で気の早い自称「否定派・懐疑派」には、「お前は書き屋だから、取材と称して話が聞けたのだろう」と書かれる者の迷惑も顧みず、いい気になって書き飛ばす人が「必ず」いる(断言してもいい!)のですが、吉田年宏さんは、その時点で私の職業を知りません。
少なくとも、その時点ではご存じなかったはずです。
一部の学者や科学ライターによると、こういう(フコイダンに興味があるような)医師はナンチャッテ医師なのだそうですが、私はそのような紋切り型の評価はしていません。
たしかに、「医師」と称しながら「仕事場」には医療用具がひとつもなく、病院特有の臭いも一切せず、健康食品だけを勧める「診察」をする人はいますが、この方が開業されている大阪の吉田医院は、ごく普通の病院で、吉田年宏さんは医師としてごく普通に診察をされており、そこにフコイダンを持ち込んでいるわけではありません。
フコイダン療法というページが医院の公式サイトにあるのは事実ですが、一方では、それと関係なく地域医療の仕事に汗を流している面も筆者は知っています。
事実上のバイブル本を書いて、健康食品のサイトを開設している著名な某医師とは根本的に違います。
何を言いたいのかというと、興味のある人に対してはネットのごく一面的な情報だけで判断するのではなくきちんと実物をありのまま調べてご覧なさい、ということです。
私は、フコイダンを使った、というだけで全否定する気はありません。
ただし、やはりエビデンスがないものはないとしかいいようがありません。
通常医療を大切にしている医師が、フコイダンを、どのような根拠とどのような価値観で使うのか、それを、その書籍を通して知りたいと思っています。
以上、がん患者一万人のがんと向き合う後悔なき選択(吉田年宏著、幻冬舎)は、フコイダン療法を併用する吉田年宏医師の実践体験記、でした。
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