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『なぜ「つい」やってしまうのか衝動と自制の科学』は心理学と神経科学から衝動に抗う自制心の鍛え方が書かれています

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『なぜ「つい」やってしまうのか衝動と自制の科学』は心理学と神経科学から衝動に抗う自制心の鍛え方が書かれています

『なぜ「つい」やってしまうのか衝動と自制の科学』(デイビッド・ルイス著、得重達朗翻訳、CCCメディアハウス)は、最新の心理学と神経科学から衝動にあらがう「自制心」の鍛え方が書かれています。食べ過ぎ、衝動買い、恋愛、そして暴力……などについてです。

「衝動=突発的行動」を明らかにする

本書『なぜ「つい」やってしまうのか衝動と自制の科学』のキャッチコピーは、食べ過ぎ、衝動買い、恋愛、そして暴力……あなたの行動は「衝動」に支配されている! と書かれています。

著者はデイビット・ルイスという方です。

研究やビジネスに役立てる目的で、脳の活動を分析するという先駆的な研究で「ニューロマーケティングの父」と呼ばれているそうです。

「衝動=突発的行動」の心理学、神経学、遺伝学研究を専門に行う、インパルス・リサーチ・グループの創設メンバーでもあります。

本書を簡単にご説明しますと、必要でないものを買ってしまったり、ダイエット中なのに大食いしてしまったり、周りに流されて悪事を働いてしまったり、といった「ついやってしまう」衝動的行動の本質を考え、それにあらがって、最新の心理学と神経科学から、衝動を抑える自制心を鍛えるにはどうすればよいかを解説しています。

システムR思考とシステムI思考

著者のデイビット・ルイスさんによると、行動を起こす際の思考には、2種類のタイプがあるとしています。

ひとつは、ゆっくりとした思慮深い思考です。

もうひとつは、スピードはあるが誤りも多い思考です。

前者はシステムR思考、後者をシステムI思考と呼んでいます。

衝動をもたらすのはI思考です。

著者によると、システムI思考は自動的に素早く働くのですが、そこに思慮や理性はないそうです。

いうなれば、ゾンビのように無自覚に働くシステムです。

人間は、誰でも自分を理性的で思慮深いと思い、物事を熟慮して行動に移していると思っています。

つまり、システムR思考によって判断していると考えています。

しかし、実は私たちの行動の大部分は思慮をともなわない衝動、システムI思考で成り立っており、無分別なことのほうがずっと多いとデイビット・ルイスさんは言うのです。

といっても、それは思慮に欠ける人格ということではありません。

私たちの行動の大部分は、実は意識的な気づきより下のレベルで働いている精神機能から生じているからというのです。

そこで本書では、「意識的な気づきより下のレベルで働いている精神機能」について解説しています。

具体的には、衝動的に行動してしまう理由について、神経科学と心理学の両面からアプローチしています。

たとえば、交通事故の脳挫傷など不慮の事故で脳を損傷した人について、事故前との衝動性の違いや、脳の腫瘍が行動にどのような影響をもたらしていたかなど、実例をあげながら解説しているのは興味深いところです。

野生の勘、無自覚に動作し自爆もするシステムI思考を、ダイエットや恋愛などの事例から解説しています。

なぜ衝動買いしてしまうのか、なぜついたくさん食べてしまうのか、なぜつい単館上映映画よりハリウッド映画の方がカップルになってしまうのか。

考えさせられます。

衝動を完全にコントロールするのはむずかしい

昨今は、SNSで不適切動画がアップされています。

動画が不適切で、動画を撮られた店側では損害賠償という言葉も出てきています。

にもかかわらず、不適切動画は後をたちません。

このように、ティーンエージャーが衝動的で、向こう見ずな行動をとってしまう理由についても、20歳になるまでの脳の発達からその理由を考察しています。

たとえば、嗅覚や聴覚、視覚などの五感も衝動と関係があることや、恋愛、過食、衝動買い、模倣衝動などについて、それぞれに章をたてて詳しく解説しています。

本書は最後に、衝動性行動をコントロールする自制心について、その鍛え方についても触れています。

ただ、「人にはただただ自制心を失う瞬間があ」るのも事実だといいます。

ということは、完全に衝動をコントロールするのはなかなか難しいのかもしれません。

望まぬ妊娠、喫煙、肥満、薬物中毒、浪費、心の諸問題、アルコール依存症、ぎくしゃくした人間関係、学業不振など、「こうすればいいのではないか」と理屈ではいろいろ考えられても、結局達成できないのは、衝動の存在があるといいます。

本書では、衝動的行動に個人差があり、その理由や衝動性を調べるテストなども紹介されています。

自分が衝動的な人間なのかどうか、そしてそれを自制できるのかどうか、興味のある方は試されてはいかがですか。

なぜ「つい」やってしまうのか、まとめ

『なぜ「つい」やってしまうのか衝動と自制の科学』は、食べ過ぎ、衝動買い、恋愛、そして暴力……などについて、最新の心理学と神経科学から衝動にあらがう「自制心」の鍛え方が書かれています。

内容的には、ほぼ衝動についての解説で、衝動をコントロールする自制については少し紙数は少なめです。

本書はソフトカバーで2160円、Kindle版で1555円。

決して安くはないですが、「つい」買ってしまう。

そんな「衝動を買い」を自制するための本です。

以上、『なぜ「つい」やってしまうのか衝動と自制の科学』は心理学と神経科学から衝動に抗う自制心の鍛え方が書かれています、でした。

なぜ「つい」やってしまうのか 衝動と自制の科学
なぜ「つい」やってしまうのか 衝動と自制の科学

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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