アスピリンという解熱鎮痛剤や、消炎・鎮痛・解熱剤のイブプロフェンなどの服用は、ごく少量の場合でも胃がんを予防する調査結果が発表されて話題に。同時に、胃がんの予防にアスピリンを服用するよう推奨するのは極めて時期尚早だともことわっている。
アスピリンやイブプロフェンは、医療従事者でなくても聞いたことがあるだろう。
アスピリンは解熱鎮痛薬の一つで、非ステロイド性抗炎症薬の代名詞とも言うべき医薬品。
アセチルサリチル酸という成分が含まれ、熱を下げたり、痛みを抑える働きがある。
また、少量の使用では心筋梗塞、脳梗塞、突然死などの予防効果があると注目されている。
ただし、アスピリンには副作用もあり、胃腸障害を抑えるためにダイバッファーHTなどの胃を守る成分が一緒に入っていることがある。
イブプロフェンは、プロピオン酸系に分類される非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAIDs) の一種。
抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用の3つの効果を持っている薬剤の総称で、医療用だけでなく一般医薬品としても広く流通している。
それらが、本来の役割以外に、胃がん予防の効果があるという話だ。
胃がんの原因は、ピロリ菌という細菌の感染を主たる原因として、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が萎縮や炎症によってがん細胞になるといわれている。
その萎縮や炎症から胃を守るということだ。
アスピリン・イブプロフェンと胃がんについて
アスピリン・イブプロフェンは、鎮痛剤や解熱剤として広く使われている薬剤だが、近年では発がんや腫瘍の発生や進行を抑制する効果があるとされ、胃がんの予防にも注目が集まっている。
アスピリンの胃がん予防効果
アスピリンに胃がん予防の効果があるとされる理由とその注意点についてまとめよう。
【アスピリンに胃がん予防の効果がある理由】
抗炎症作用による効果
アスピリンに含まれるアセチルサリチル酸は、炎症反応を抑える効果があるため、慢性胃炎や胃炎による胃がんの発生を抑制するとされている。
血小板凝集抑制作用による効果
アスピリンは、血小板の凝集を抑制する作用がある。この作用によって、血管内の血流が改善され、胃がんの発生や進行を抑制するとされている。
アポトーシス誘導作用による効果
アスピリンは、がん細胞の増殖を抑制することが知られている。この作用によって、がん細胞の自然死を促し、胃がんの予防効果が期待される。
【アスピリンによる胃がん予防の注意点】
アスピリンによる胃がん予防の効果は確認されているものの、以下のような注意点もある。
副作用のリスクがある
アスピリンには、胃腸障害や出血のリスクがある。高用量や長期間の使用によって、腸管出血や胃腸潰瘍を引き起こすことがある。また、アスピリンにはアレルギー反応を起こす人もいる。そのため、医師の指導の下で適切な用量と期間を守って使用する必要がある。
予防効果が確実でない
アスピリンによる胃がん予防効果は、確実に効果があるわけではない。また、個人差があり、予防効果を期待して自己判断での使用は避けるべきといわれている。
イブプロフェンの胃がん予防効果
イブプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種であり、解熱や鎮痛作用がある。
一部の研究では、イブプロフェンには胃がんの予防効果があると報告されている。
イブプロフェンに胃がん予防の効果があるとされる理由とその注意点についてまとめる。
【イブプロフェンに胃がん予防の効果がある理由】
抗炎症作用による効果
イブプロフェンは、炎症反応を抑える作用がある。慢性胃炎や胃炎による胃がんの発生を抑制するとされている。
血小板凝集抑制作用による効果
イブプロフェンは、血小板の凝集を抑制する作用がある。この作用によって、血管内の血流が改善され、胃がんの発生や進行を抑制するとされている。
プロスタグランジンの生成抑制作用による効果
イブプロフェンは、プロスタグランジン合成酵素(COX)の活性を阻害することで、プロスタグランジンの生成を抑制する。プロスタグランジンは、胃粘膜の保護に関与しているため、イブプロフェンによって胃粘膜を保護する効果が期待される。
【イブプロフェンによる胃がん予防の注意点】
イブプロフェンによる胃がん予防効果については、まだ確かなエビデンスが得られていないため、注意が必要だ。以下にイブプロフェンによる胃がん予防の注意点をまとめる。
副作用のリスクがある
イブプロフェンには、胃腸障害や出血のリスクがある。高用量や長期間の使用によって、腸管出血や胃腸潰瘍を引き起こすことがある。また、イブプロフェンにはアレルギー反応を起こす人もいる。そのため、医師の指導の下で適切な用量と期間を守って使用する必要がある。
予防効果が確実でない
イブプロフェンによる胃がん予防効果は、確実に効果があるわけではない。また、個人差があり、予防効果を期待して自己判断での使用は避けるべきといわれている。
初出は2009年の外信記事
アスピリン(解熱鎮痛剤)やイブプロフェン(消炎・鎮痛・解熱剤)が胃がんの予防につながるという説は、2009年に報じられている。
「ロンドン2009年2月6日AFP=時事」は、以下の記事を配信した。
アスピリン(解熱鎮痛剤)やイブプロフェン(消炎・鎮痛・解熱剤)の服用はごく少量の場合でも胃がんを予防することが、英国の調査で分かった。同調査は、6日発行の英医学誌ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサーに発表された。
同調査によると、過去12カ月に少なくとも1回アスピリンを服用した人は、一度も服用しなかった人に比べて、胃の中央部や底部にがんが発生する可能性が36%低い。またイブプロフェンなどのNSAID(非ステロイド性抗炎症剤)を同程度服用すると、がん発生の可能性を32%低下させるという。同調査は、鎮痛剤を服用することでがんの予防効果が増すと結論づけている。
全米がん研究所のクリスチャン・アブネット氏は「アスピリンを服用した人の場合、胃の中央部と底部のがんの危険性が低いことを発見した。この危険性は、もっと定期的にアスピリンを服用すると低下する」と語った。同氏はさらに、「興味深いことに、われわれの調査では、噴門(胃の入り口)のがんの危険性の著しい低下はみられなかった。したがって、引き続きデータを見直していくことが重要だ」と指摘した。
英がん研究所のレスリー・ウォーカー氏は「全面的に推奨するのは早すぎる。これらのがんの予防にアスピリンを服用するよう推奨するのは極めて時期尚早だ」と注意を喚起した。〔AFP=時事〕
こういう調査を否定はしないが、アスピリンの何がどう作用するのかを見るためには、少なくとも「アスピリンを服用した」だけではなく、血中にアスピリンのどの成分がどれだけの濃度にあるかを見なければより客観的な真実に迫ることはできないだろう。
また、交絡因子の問題もある。
はっきりいって、たんなる経口調査では、科学的とは言えないと断言してもいい。
「お茶を○杯飲んだ」「ビタミン×を服用した」などの調査も同様である。
成分の血中濃度を見ずに、どういう効果があるかの合理的推理などできやしないではないか。
しかし、藁にもすがりたい人がこのニュースを知れば、アスピリンやイブプロフェンを服用する人もいるだろう。
こうした調査の発表は、もっと慎重でありたいものだ。
怪健康情報は、『健康情報・本当の話』(楽工社)に詳しい。
以上、アスピリンという解熱鎮痛剤や、消炎・鎮痛・解熱剤のイブプロフェンなどの服用は、ごく少量の場合でも胃がんを予防する調査結果、でした。
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