アメリカ人のがんが減ったという報道がある。アメリカに画期的ながん治療が発見されたのか、それとも有効な予防法が確立したのか。そんなことを考えてしまう。もし有効で可能なら、日本でも採用されればいいのにと思うだろう。ではその内容を見ていこう。
アメリカのがんについては、いくつかの種類のがんにおいては減少傾向にあるものもあるが、全体としてはがんの発生率は増加傾向にある。
ただし、がんの治療法や検診方法の改善により、早期発見や治療が可能なケースが増えているため、がんによる死亡率は減少傾向にある。
また、がんに関する研究や予防活動が進んでいるため、今後もがんに対する取り組みが続けられることが予想される。
ということを踏まえた上で、以下をお読みいただきたい。
アメリカのがん患者死亡率が年々着実に低下
『東京スポーツ』(2009年6月25日付)が、米国対がん協会から発表されたリポートを報じている。
アメリカのがん患者死亡率が年々着実に低下。
がんそのものの発症も、わずかずつだが減少してきていることについてだ。
同リポートなどによると、男性のがん死亡率は1990~2005年の間に19.2%、女性は91?05年の14年間で11.4%低下したとしている。これについて、同協会の調査責任者であるジョン・セフリン博士は「15年間で約65万人のがんによる死亡を防いだことを意味する」と話している。動物性たんぱくの見直しが奏功したという見方が有力視されるのだろう。
また、がんの発症率も男は01~05に毎年1.8%ずつ低下し、女性も98~05年の間に毎年0.6%ずつ低下してきていると報告。男性は肺がん、前立腺がんなど、女性は乳がん、結腸がんの死亡率が低下したことで数字が改善したという。
このニュースをスケプティクスに考える。
バランスの取れた食生活が大事
もっとも、だから日本人もアメリカ人と同じように動物性たんぱくを徹底制限しろ、という単純なものではないからむずかしい。
というのは、日本人とアメリカ人では、民族も違えば動物性たんぱくの摂取量が違うからだ。
必要な栄養量を摂らないことによるデメリットが明らかでないのに、動物性たんぱく排除に熱中すると、たんぱく質不足だけでなく、それにかわる食べ物によるリスクが増加する。
そうでなくとも、まじめで単純な日本人は、「ばっかり食べ」「絶対食べない」というオールオアナッシングに走りがちなのだ。
月並みな表現だが、バランスの取れた食生活というのが大事だ。
ちなみに、米国のがん死亡原因の1位は圧倒的に肺がんであることも同紙は記事の最後に付け加えている。
食べ物の情報もあるが、フードファディズムに陥らないように
がん情報チャンネル・外科医の佐藤のりひろ医師が、「このメニューを毎朝食べると、がんのリスクが高くなると考えられます。」という動画を公開している。
【注意】がんのリスクを高める!朝食メニュー3種 https://t.co/MiLzbxljSI @YouTubeより
— スケプティクス豚 (@butacorome) April 17, 2023
この動画は、朝食メニューのうちがんのリスクを高める可能性がある3種類の食品について説明している。
1つ目は菓子パンで、保存料や添加物が多く含まれているため、毎日食べることはお勧めできないと述べている。
それ以外にも、パンは精製小麦で作っているため、おススメできないといわれている。
ただ、とくに朝ごはんにパンを選ぶ家庭も少なくないので、なかなか難しい問題だ。
2つ目は缶コーヒーで、砂糖入りの場合はがんのリスクを高める可能性があるため、代替品を選択することが推奨される。
3つ目は紅茶に含まれるタンニンで、消化器官に悪影響を及ぼすことがあるという。
しかしこれらは絶対に食べてはいけないものではなく、個人差があるため、適度な食べ方を心掛けることが大切だ。
といっても、なにをもって「適度」なのかはむずかしい。
そして、今度は逆に、『【永久保存版】がんのリスクを下げる食品!総まとめ』という動画も公開している。
【永久保存版】がんのリスクを下げる食品!総まとめ https://t.co/kvW5GaXNg7 @YouTubeより
— スケプティクス豚 (@butacorome) April 17, 2023
それによると、
- 野菜とフルーツ
- ドライフルーツ
- 豆類
- 大豆
- きのこ類
- 青魚
- ナッツ
- ヨーグルト
- コーヒー
消化器のがんのリスクを下げる
ブロッコリースプラウトには抗がん作用がある
膵臓ガンとか前立腺がんのリスクを下げる
大腸がんを始めいろいろながんのリスクを下げる
胃がん大腸がん卵巣がん
免疫活性化 前立腺がん 乳がん
膵臓がんのリスクを下げる
がんのリスク40%減
肺がんのリスクが2割減る
肝臓がん 頭頸部がん 食道がん 子宮がんのリスクを下げる
などとなっている。
コーヒーが健康にいいのか悪いかはしばしば議論になる。
〇〇病や△△がんが減ったという報告も、逆にリスクがあるという報告もあるからだ。
コーヒーそのものが毒にも薬にもなるだけでなく、砂糖やミルクがどのくらい入るかによっても話は変わってくるのではないだろうか。
しかし、こういう健康情報に従っていると、〇〇にいいと聞いて、一所懸命それを食べていると、別の病気のリスクがあると後で分かって冷や汗をかく、なんてことが何度もある。
さすれば、結局は前述のようにバランスよく食べるのが一番良い……というより無難、という結論になってしまうのだ。
もとより、フードファディズムといって、食品の成分・栄養が健康や病気に与える影響を過大評価したり信じたりすることも問題になっている。
テレビ番組で、特定の食材が健康に良いとなると、翌日のスーパーではそれが売り切れるというのも、フードファディズムの一種と言えるだろう。
たとえば、生食は、ビタミンや酵素を豊富に含んでいると考えられているが、生食を継続的に摂取すると、栄養素の吸収が低下し、細菌やウイルスの感染のリスクが高まることがある。
一方、有機食品や植物性食品は、栄養価が高く、健康に良いとされている。
しかし、これらの食品を過剰に摂取すると、栄養バランスが崩れ、健康被害を引き起こすことがある。
あまり、真に受けすぎないで、「ああ、そういうこともあるんだ」ぐらいに受け止めておいたほうがいいのかもしれない。
話半分、というと不真面目なようだが、のめり込み方としては、それぐらいでちょうどいい、ということかもしれない。
以上、アメリカ人のがんが減ったという報道がある。アメリカに画期的ながん治療が発見されたのか、それとも有効な予防法が確立したのか、でした。
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