セカンドオピニオン。主治医以外の医師に求める第2の意見を、治療の決定にどう役立てたらいいのか2つのポイントがあるという。中川恵一医師が、ボクシングの元WBA世界ミドル級王者、竹原慎二さんを例に挙てセカンドオピニオンについて解説している。
セカンドオピニオンとは、医療や法律などの専門分野において、最初に受けた専門家の意見に対して、別の専門家から意見を求めることを指す。
最初の診断や治療法に対する不安や疑問を解消するため、あるいは別の視点から見た場合の適切な治療法や手段を知るために行われる。
セカンドオピニオンを求める場合、まずは自分が受診している医療機関や専門家に、セカンドオピニオンを受けることを伝え、紹介を依頼することがある。
また、自分で別の医療機関や専門家を探し、直接相談することもできる。
セカンドオピニオンを求める利点としては、以下のようなものがある。
- 治療法や手段に対する疑問や不安を解消できること
- 別の専門家からの意見を聞くことで、より適切な治療法や手段を選択できること
- 自分自身や家族の健康に関する重要な決定を下す際に、自信を持って決断できるようになること
- 自分が受けた医療や治療に対する不満や疑問を解消できること
一方、セカンドオピニオンを求める際には以下のような注意点がある。
- セカンドオピニオンを求めることで、元の専門家との間でトラブルが発生する可能性があるため、丁寧なコミュニケーションが必要
- セカンドオピニオンを求めることで、最初の診断や治療法による時間的なロスが生じることがあるため、自分や家族の病状や状況に合わせて、適切なタイミングでセカンドオピニオンを求めることが望ましい
- 患者の思い通りの診断を求めるドクターショッピングに陥ることもある
といったことを踏まえた上で、以下をお読みいただきたい。
セカンドオピニオンとドクターショッピング
『日刊ゲンダイ』(2016年7月2日付)の連載『Dr.中川のみんなで越えるがんの壁』では、そのセカンドオピニオンについて、2つのポイントを挙げている。
セカンドオピニオンは、医師お任せ医療ではなく、自分も治療の決定に関わる医療に変わってきたという社会背景がある。
ただし、セカンドオピニオンと似て非なる言葉に、ドクターショッピングというものもあり、こちらは注意が必要だ。
ショッピングという言葉で想像がつくが、主婦がよりあちこちのスーパーマーケットを回るように、患者があちこちの医療機関を訪ね歩くことをドクターショッピングと言う。
その場合、多くは「ないものねだり」であり、不毛なことが多いので、セカンドオピニオンとは似て非なるものなのである。
ステージ3の浸潤性勝胱がんだった竹原慎二が転院
さて、『日刊ゲンダイ』(2016年7月2日付)の連載『Dr.中川のみんなで越えるがんの壁』では、中川恵一医師が、セカンドオピニオンについて、覚えておきたい2つのポイントについて述べている。
まず、中川恵一医師は、「がんとうまく向き合っている」例として、ボクシングの元WBA世界ミドル級王者、竹原慎二を例に挙げている。
竹原慎二さんは膀胱がんステージ4からセカンドオピニオンで生還した。
竹原慎二さんは、1日10回もの頻尿やその際の痛み、熱さなどから不安になり受診。
しかし、最初は膀胱炎、2度目は前立腺肥大と誤診された。
それでも納得いかなかったので、さらに別の病院で調べたところ、ステージ3の浸潤性勝胱がんと診断されたという。
本人が希望する「免疫療法」を受けたかったのに、医師に否定され、「お先、真っ脚になった」と言う。
心情を察した家族や周りの勧めもあり、中川恵一医師の病院に転院。
抗がん剤治療と手術でがんを克服・経過観察中となり、ブログで闘病日記をスタートしたという。
闘病中、同じがん愚者の闘病記を読み漁り、「経験者の情報は何よりもありがたく、僕自身も自分の治産法の選択にも大いに役立った」というのがその理由と書かれている。
この例から、中川恵一医師は、2つのことを述べている。
放射線医の意見と3ヶ月以内がポイント
ひとつは、医療機関は縦割りのため、膀胱がんは泌尿器科、肺がんは呼吸器科、冒がんや大腸がんは消化器科で最初に診断されると、セカンドオピニオンを行っても、結局同じ治療法しか出てこないという。
では、どうすればいいのか。
中川恵一医師は、「セカンドオピニオンは、放射線科医に求めるのが正解」と述べている。
なぜなら、放射線科医は、すべてのがん治療に関わっているからである。
がん治療先進国アメリカでは、外科医⇒放射線科医⇒腫瘍内科医の順に相談するのがセオリーとも書かれている。
「米国では、すべてのがん治療のうち6割が放射線ですが、日本はわずか3割。放射線で済むのに手術が行われているケースが少なくありません」と中川恵一医師は、がん治療の現状を指摘している。
そして、もうひとつのポイントは、セカンドオピニオンを行う時期である。
ズバリ、「最初の診断から3カ月以内に受けるのが大切」と述べている。
これは何となく想像がつく。
なぜなら、がんは進行するから、状態も変わるし治療も遅れてしまいかねないからである。
そして、いったん治療が始まってしまうと変更は難しいから、セカンドオピニオンは治療前に行わなければならない。
さすれば、時間的なことは当然重要になるわけだ。
村野武範さんはサードオピニオン
といってもいいかもしれない。
首のしこりに気づき診察を受けたところ「風邪」といわれたのに、別の病院で診察を受けたら、「ステージ4で余命いくばくもない」中咽頭がんとの診断。
余命宣告まで受けたが、IMRT(強度変調放射線治療)いわゆる陽子線治療を行う病院に行って生還している。
「1人の医者の言葉をうのみにしないで自分で調べてみてほしい。今の時代なら可能ですから。うちは女房が命の恩人ですけど(笑い)。一時はステージ4の中咽頭がんで声が失われ、せりふを言うこともできないだろうと覚悟していました。しかし、先進医療のおかげで歌えるようになり、万感の思いを込めて新曲の『ハマナス』をレコーディングしました。私の体験が、皆さまの参考になればと思っています」(村野武範さん)
いずれにしても、セカンドオピニオンというと、主治医以外の別の医師に意見を聞くというところから、ためらいのある人もいるかもしれない。
が、後悔のない治療を行うためには、セカンドオピニオンは当然のことだという意識が必要である。
以上、セカンドオピニオン。主治医以外の医師に求める第2の意見を、治療の決定にどう役立てたらいいのか2つのポイントがあるという。でした。
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