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レーシック手術で67人が感染性角膜炎などの健康被害を訴えたという。不十分な滅菌処理で角膜が炎症を起こした可能性が高いそうだ。

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レーシック手術で67人が感染性角膜炎などの健康被害を訴えたという。不十分な滅菌処理で角膜が炎症を起こした可能性が高いそうだ。

レーシック手術で67人が感染性角膜炎などの健康被害を訴えたという。不十分な滅菌処理で角膜が炎症を起こした可能性が高いそうだ。これまでは、レーシックの安全性について懐疑することも許されなかったが、今度こそ真剣に考えて欲しい。

レーシック手術といえば、近視対策としてかなり知られてきている。

しかし、そのリスクについてはあまり語られていないように思われる。

視力が良くなる、というバラ色のことばかり宣伝されたことで、霞んでしまっているといったほうがいいかもしれない。

しかし、眼にメスをいれるのだから、リスクについて知っておくのは当然のことである。

水道橋博士は推奨していたが……

25日の「産経ニュース」は、レーシック手術で67人が感染性角膜炎などの健康被害を訴えたことを報じている。

東京都の中央区保健所は25日、銀座眼科で平成20年10月~21年2月にかけてレーシック手術を受けた患者639人のうち、67人が感染性角膜炎などの健康被害を訴えたと発表した。67人のうち1人が医療機関に入院しているという。「不十分な滅菌処理を行った医療器具などで手術を行ったため、患者の角膜が炎症を起こした可能性が高い」(中央区保健所)とみて詳しいことを調べている。

最近、近視矯正にレーシック、またはイントラレーシック手術が流行している……ような印象がある。スポーツ選手や芸能人、その他、高い視力が必要な職業の人々が広告塔になって「体験談」を語ることで、レーシック手術が安全でかつ視力矯正のトレンドであるかのような宣伝がサイトなどでも目立つ。

水道橋博士は、唐沢俊一氏との対談で、「近視矯正手術に対しては、これだけ安全なのにも関わらず定期的に叩き記事みたいなものが出てきます」とふり、「医学的見地からの警笛というより、業界的な圧力という色合いが強いんじゃないのかな。メガネ業界が大打撃を受けるじゃないですか、ものの10分の手術で半永久的に近視が治るんであれば……」などとマスコミの慎重な報道を批判している(http://www.aspect.co.jp/hakase/02.html)。

レーシックというのは、そんなに万能で安全なものなのか?

レーシック手術で有名ないくつかの眼科に問い合わせてみた。ところが、宣伝でいうほどバラ色ではなかった。

まず、レーシックは誰でもスンナリ受けられるものではない、ということを知らされた。

長年のコンタクトレンズ使用で角膜が薄くなっている場合は不適、というのは経験者のブログなどにも書かれているが、それ以前に視神経の乳頭に陥没の所見があると、眼圧に問題がなくても(つまりその時点で緑内障と診断されていなくても)待ったがかかる。

「眼圧が正常でも、正常眼圧緑内障という場合を警戒します。もし緑内障の可能性があったり、または緑内障と診断されている場合は、屈折矯正治療を受けてもよいという診断書が必要になります」(錦糸眼科)

イントラレーシック手術後は眼圧が下がる傾向にあるため、眼圧をコントロールしなければならない緑内障の診断の妨げになるからである。緑内障といえば、近視よりも怖い失明の危機もある。この点は、レーシック手術を宣伝するサイトには決して書かれていないことだ。聞いておいて良かった。

また、40代以降で手術を希望する者には、こんな問題もある。

「レーシック治療では近視・乱視を矯正することは可能ですが、老眼は治療できません。既に老眼が始まっている方がレーシック治療を受ると、手元の細かいものなどを見る際には老眼鏡が必要となってくるデメリットがあります」(品川近視クリニック)

老眼が始まっていても40代ぐらいの近視の人なら、新聞を近づけることで裸眼で読むことができるだろう。ところが、術後はいうなればコンタクトをつけたに等しい状態になるから、遠くのものはよく見えるようになっても、逆に裸眼で近くのものを確認することができなくなる。いったん削った角膜は元に戻らないので、そうなってから「手術前の方が良かった」といっても後の祭りだ。

さらに、「矯正視力が十分出ていない場合には手術が難しい可能性が高くなります」と、手術による成果の「限界」もあると前出の錦糸眼科は教えてくれた。近眼の誰でも、画期的に目が良くなるとは限らないというわけだ。

眼科によっては、レーシックやイントラレーシックが不適な場合、たとえば「角膜内リング」のような、白内障のような矯正を行うこともあるという。

ほう、代替案があるのか、と喜んだのもつかの間、生命保険会社にその点を尋ねたところ、こう回答してくれた。

「レーザーによる矯正手術は、一般に医療保険の対象になります。つまり、レーシック手術は生命保険の医療保険に入っていた場合、所定の保険金が支払われます。ただし、それ以外の矯正術については、おそらくは他社もそうだと思いますが、支払いの対象にはなりません」(アクサ生命)

今度はコストの問題が立ちはだかるわけだ。

矯正手術は健康保険の対象になっていないため、すべて自費である。医療保険の保険金が出るかどうかの問題は大きい。レーシック手術をしようとした人が、手術不適と診断され、他の方法を受けたら保険金が出なかった、ということもあるわけだ。

さらに、レーシック手術は、一般に成人してから手術すれば、生涯その矯正視力が維持されるといわれるが、パソコンを日常的に使う者は、かりに視力が矯正されても、また戻ってしまう場合もかもしれないという忠告もある。タイガーウッズが、レーシック再手術経験者というのは有名な話だ。

もちろん、レーシック手術によるメリットも大きいから、多くの人が受けるのだろう。ただ、いずれにしても、、バラ色の宣伝に目を奪われず、どんなものにもメリットやデメリット、適不適があり、それらを総合的に考えなければならないということを改めて感じた。

レーシックに限らず、巷間の健康法イケイケドンドンの水道橋博士の健康論については、『健康情報・本当の話』(楽工社)に詳しい。

健康情報・本当の話

健康情報・本当の話

  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: 楽工社
  • 発売日: 2008/05
  • メディア: 単行本

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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