中村雅俊の事務所移籍が話題になっています。文学座を退団して個人事務所を設立後も、順調な芸能活動を進めてきたように思われましたが、1月1日付でノースプロダクションに所属することになりました。報じられた記事によると、理由はプロデュースの強化対策のようです。
プロデュースの強化で“一兵卒”に!?
中村雅俊が、元NHKアナの住吉美紀や眞鍋かをりらが所属する中堅事務所・ノースプロダクションに所属したことが取り沙汰されています。
すでにブランディングの確立した芸能人が、プロモーションに心配なくなって大手プロを退社して個人で活動を始めるケースが一般ですが、中村雅俊は逆に、69歳にして、38年間維持した個人事務所から既成の事務所へ移籍して「一所属タレント」に出戻っている点で珍しい例です。
最近では、高橋英樹が、やはり個人事務所のあいうえお企画から、サンドウィッチマン、カミナリ等お笑い芸人が中心に所属する芸能事務所に移った例があります。
あいうえお企画自体は残っているようなので、最近はバラエティの出演も増えてきて、娘さんの移籍で娘さんに勧められて業務提携的な「移籍」なのかな、という気がします。
中村雅俊さんは高橋英樹さんよりも6歳若いですから、一般論としては少しずつ仕事を縮小する年代なので自分で事務所を構えるのが負担になったという見方も絶対にできないわけではありませんが、やはりご自身に対するプロモーションのテコ入れという印象が強くあります。
中村雅俊のパチンコ営業のポスター見たときはショックだったわ。今のドラマや映画は若手俳優中心で、中村の様な主役を張ってた役者にとっては、ギャラの面からも色々と厳しいかもね、
中村雅俊、69歳で異例の事務所移籍 “老けない男”の意外な弱点https://t.co/jnhJIJkzto pic.twitter.com/U62rT7hPyP
— オリオン太郎 (@orion_taro) January 10, 2021
「パチンコ営業」は、タレントという知名度で広告塔をつとめるまさに「営業」。
役者としての腕で稼ぐものではないので、「そういう仕事をとらなければならないほど苦しいのか」という見方もされるわけです。
これが、関連まとめ記事です。
【芸能】中村雅俊、69歳で異例の事務所移籍 “老けない男”の意外な弱点 [爆笑ゴリラ★]
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当該元記事によると、こう書かれています。
「『おしん』以来35年ぶりのNHK連続テレビ小説出演となった『半分、青い。』(2018年)で演じたヒロインの祖父役は話題を呼んだが、民放連ドラに限れば今年1月期の『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(日テレ系)、昨年は1本、その前は14年に遡る。音楽活動も45年間続けたツアーが昨年はコロナで中止。事務所経営も厳しくなっていたはず」(芸能デスク)
「変わらない甘いマスクと声は歌手としては強みだが、俳優としては逆にネック。本来なら年齢的にハマるはずの銀行頭取や政治家といった重厚な役がどうも似合わない。未だ鮮烈な記憶として残る青春スターのイメージも邪魔をする。“老けない男”ゆえにキャスティングが難しいという皮肉な状況に置かれている」
要するに、青春スターとしてのキャラクターがしっかり確立しているので、その後の芸域の広がりが難しくなった、という話のようです。
実際には、『俺たちの旅』や『ゆうひが丘の総理大臣』のような、愚直な生き様の青春キャラクターをずっと演じ続けたわけではなく、



『俺はおまわり君』(1981年2月4日~9月16日、ユニオン映画/NTV)では、真面目な管理職を演じていますし、

その後も、『ふたりのシーソーゲーム』(1996年、TBS)では、旅館の経営再建者、『夜逃げ屋本舗』(1999年、NTV)では、文字通り経済的に行き詰まった人を夜逃げさせる会社の代表、『戦力外通告』(2009年、WOWOW)では、会社をリストラされた苦悩する中年など、たくさんの仕事をしてきましたから、“何をやってもカースケ”というわけでもなかったと思います。
ただ、俳優の世界は、次々新しい人材が出てきますし、たとえば大杉漣さんや松重豊さんのように、中年になってからブレイクする人もいます。
その意味で、常に話題を提供し続け、プロデュースを上手にすることで、その時々の企画にうまく入り込まないと、常時役をもらい続けることは大変ですし、いったん遠ざかると、声がかかるのはさらにむずかしくなります。
その意味で、1980年代は過去のブランディングで通用したものの、2020年代のセルフプロデュースに限界を感じた中村雅俊さんは、既存の事務所にそれをお願いすることになったのではないでしょうか。
昨日は振り返らず明日を向いて生きよう
そういえば、『ゆうひが丘の総理大臣』第34話の『明日は本当に来るか?』(1979年7月25日放送)で、同僚の大坂先生(名古屋章)が、娘(篠ひろ子)が、やはり同僚の山下先生(前田吟)と結婚した話を思い出します。
虚脱状態になり、娘がいたずら書きした昔のノートをぼんやりと見る日々だったのを、ソーリ(中村雅俊)はそのノートを破る荒療治で打開。
「先生、ふりかえっちゃだめなんですよ」と、生きとし生けるものは明日を見なければならないと諭しました。
今の中村雅俊さんご自身も、きっと明日を見て、個人事務所をたたまれたのでしょう。
“一兵卒”に戻った中村雅俊さんの今後のご活躍に期待します。
以上、中村雅俊が69歳にして“一所属タレント”に戻ったのはプロデュースの強化対策か。かつての青春スターは明日を向き再スタート、でした。
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俺たちの旅 Vol.1 [Blu-ray] – 秋野太作, 名古屋章, 金沢 碧, 田中 健, 中村雅俊, 秋本圭子, 森川正太, 八千草薫, 上村香子, 岡田奈々, 石橋正次, 恩地日出夫, 木下亮, 出目昌伸, 土屋統吾郎, 大森健次郎, 小山幹夫, 斎藤光正
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