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新潮社出版部長・中瀬ゆかり氏「財政支出がかなり膨張」「未来の子供が負担」だから一律給付金に懐疑的という意見をどう見るか

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新潮社出版部長・中瀬ゆかり氏「財政支出がかなり膨張」「未来の子供が負担」だから一律給付金に懐疑的という意見をどう見るか

中瀬ゆかり氏がテレビ番組で国民一律に給付金を支給することについて、「財政支出がかなり膨張しています」と事実上麻生大臣を擁護したことで話題になっています。「一律ではなくて本当に困っている人に」という意見ですがいかが思われますか。

未来の子どもたちにとっての本当の「負担」とは何だ

さる19日、麻生太郎財務大臣は会見で、今回は飲食店向けの上限6万円の協力金や、その取引先への一時金などで対応しているから、「前回と同じように一律10万円というのはやるつもりはない」と否定的な考えを示したことに言及しました。

それについて、新潮社出版部部長の中瀬ゆかり氏は、

「基本的にあげますよって言われたら、みんな欲しいと答えるのがほとんどなんですけど、実際に一律で本当に必要ない所、例えば年収1000万円以上あるとか困窮していない所を含めて一律っていうのは今、財政の50%弱が借金でできてるわけですよね。10万円の中の5万円っていうのは将来のインフレで金融資産が目減りしたり、増税ですよね。そういうことって未来の子どもたちというか若い人たちの負担になっていくってことを考えた時に、一律ではなくて本当に困っている人に素早く行き届く方法があれば本当にベストなんですけど、前もそうでしたけどそれを選別して何をどうするという時間もかかるし、選別する時間もないので一律っていうことになっちゃったことを踏まえて考えた時に、非常に難しい選択にはなると思うんです」

と自身の見解を述べました。

しかし、その一方で、

「ただほとんど貯蓄に回ったじゃないかみたいなことをあの時も言われましたけど、でもみんな長期的な不安を抱えている中で、いつ何にどう使うかっていうのはそれぞれのやり方でいいと思うんですね」とし、「ちょっと備えておくっていう考えもあるしローンとかを払うとか、それは個々の家庭の事情によって変わってくるんで、貯金されているから意味がなかったっていうような言い方だったらそれは違うと思う」

と、麻生太郎財務大臣との「違い」についても言い添えました。

つまり、麻生大臣が言うように、「給付しても貯金するからヤラネ」ではなく、貯金したって良いけど「未来の子どもたちというか若い人たちの負担になっていく」から「一律はだめ」と言っているわけです。

これがまとめ記事です。


この意見については、すでにOGPをクリックしてコメントを確認していただければわかりますが、鋭い反論があります。

「未来の子どもたちというか若い人たちの負担」というなら、プライマーバランスを第一義的に考えた緊縮財政こそが「負担」であり、マネーストックが増えることは、負担どころか、デフレ解消の突破口でしょう。

なぜなら、経済が動くことは、GDPも増えて税の増収にもつながるからです。

今、コロナ禍で閉店・倒産・雇い止めなどが続出しています。

わかっちゃいない人たちは、「つぶれるのはその程度の会社・商店だった」などと結論づけますが、そういうものではないでしょう。

従事者が減るということは、それだけ技術革新の機会が失われるということです。

つまり、ラーメン屋は5軒より10軒あったほうが競争原理が働くということです。

スタグフレーションこそが未来への禍根

さらに、供給を確保しないと、スタグフレーションを引き起こしてしまいかねません。

ラーメン屋の数が減ることで、ラーメンの値段が上がってしまうということです。

今の日本は、確実にスタグフレーションに向かっています。

今も若い者はわからないでしょうが、オイルショック時のあの真っ暗な時代は御免です。

では、緊縮財政派が言う、インフレはどうなんでしょう。

昨年、国会では2次補正予算を成立させ、2020年度の歳出(コロナ対策金)は160兆円超になりました。

それで、インフレになりましたか。

そもそも、政府の目標は2%の緩やかなインフレです。

一方、私達の現実は緊縮財政によるデフレ。

インフレどころか、現在はお金をもっと発行しなければならない状態にあるのです。

中瀬ゆかりさんは、なぜこんなかんたんなことがわからないのでしょうか。

ただし、最後にエクスキューズ的に述べた、麻生大臣との違い、すなわち、給付金を貯蓄したっていいじゃないか、というのは全くそのとおりです。

給付金の目的は、マネーストックをふやすことにあります。

貯金が増えれば、もしくは緊縮財政派がいうように本当にインフレになれば、人は嫌でもお金を使うようになります。

お金を使わない、デフレだ……、この均衡を打ち破るのは、マネーストックを増やすことだと思いますが、いかがでしょうか。

MMTについて

積極的な財政出動の理論的裏付けは、現代貨幣理論(Modern Monetary Theory、MMT)に基づくものです。

現代貨幣理論(Modern Monetary Theory、MMT)とは、貨幣の本質的な性質を分析し、国家が自国の通貨を発行する場合の財政政策や経済政策についての理論です。MMTの中心的な主張は、国家が通貨を発行する限り、支出の制限は存在しないということです。つまり、政府が予算赤字を出したり、国債を発行したりすることによって、貨幣供給を増やし、需要を刺激することができるという考え方です。

MMTにおける貨幣は、紙幣や硬貨のような物理的なものではなく、政府が発行する通貨の電子的な記録として定義されます。また、国家が通貨を発行することによって、その通貨は他の通貨と交換可能なものとなります。つまり、国家が自国の通貨を発行することで、その通貨の需要と供給をコントロールし、景気刺激政策を行うことができるということです。

MMTは、古典的な財政理論やケインズ経済学などの伝統的な経済学の枠組みを超えた理論です。MMTの支持者たちは、政府が財政政策によって自国の経済を刺激することができると主張しており、財政赤字や国債発行によって経済を刺激することができると考えています。

MMTは、政府の財政赤字や国債発行がいかに重要であるかを強調しており、経済学的な説明を提供しています。しかし、批判者たちは、財政赤字や国債発行がインフレーションを引き起こす可能性があることや、財政政策が実施される際に政治的な圧力が介入する可能性があることなど、問題点を指摘しています。

総じて、MMTは、財政政策や経済政策に関する新しいアプローチを提供し、現代の経済学の枠組みを広げることで、経済を理解するための新たなツールを提供するものと考えられます。

以上、新潮社出版部長・中瀬ゆかり氏「財政支出がかなり膨張」「未来の子供が負担」だから一律給付金に懐疑的という意見をどう見るか、でした。

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Image by Icons8_team from Pixabay

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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