人工甘味料は、従来の砂糖よりも少ない量で甘味を得られる添加物だが、低血糖やフェニルケトン尿症等のリスクを指摘する声もある。つまり、摂取すると危険というわけだが本当にそうなのか。人工甘味料の危険度についてスケプティクス(懐疑的)に見ていこう。
人工甘味料とは、食品に甘みをつけるために、化学的に合成された調味料である。
代表的なものでは、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロースなどがある。
飲料や食品に利用されるが、食品衛生法では食品添加物に分類され、1日当たりの摂取許容量が定められている。
人工甘味料を使うメリットは、砂糖よりもはるかに低カロリーで少量でも甘みが強いため、摂取カロリーが低減できたり、食後の血糖値に影響を与えなかったり、虫歯の予防になったりといったことがある。
そこで、ガム、ジュースのようなお菓子や、調味料などにも使われているわけだ。
ところが、人工甘味料は危険だ、と言い募る人々がいる。
人工甘味料を摂取すると、甘いものを食べているのに血糖値が上がらないため脳が異常に反応してしまい、より甘いものを欲して食べ過ぎてしまい、むしろ太りやすくなるとも言われている。
また、人工甘味料に含まれる物質を代謝できない「フェニルケトン尿症」という病気がある。
ひところは、サッカリンという人工甘味料に、大量摂取するとがんを引き起こす可能性があるとされていた。ただし、これらの研究は動物実験であり、人間での立証はされていない。
といったことを踏まえた上で、以下をお読みいただけると幸甚である。
アスパルテームのリスクとは?
アスパルテームとアセスルファムKだけが食品添加物ではないが、しばしば話題になる。
なぜなら、甘味料としてお菓子の多くに使われているので、ガムを噛むビジネスマンも、アイスクリームをおやつに食べるお子さんたちも、常に口にしているものだからだ。
リスクは避けた方がいいが、全くリスクのない生活はあり得ない。
そんな微妙な私達の暮らしの中で、価値判断の分かれるのが食品添加物だ。
いろいろいなものが論争の対象になっているが、ここではアスパルテームとアセスルファムKについて取り上げてみよう。
『買ってはいけない』(金曜日)という煽り本によると、妊婦が人工甘味料のアスパルテームを摂取した場合、「血中の分解性悪し胎児の血中に高濃度のフェニールアラニンが残る可能性の報告」との記述がある。
そして、アスパルテーム入りの食品を食べると、生まれてくる子供が「フェニルケトン尿症」になるといわんばかりの書き方だ。
さらに、「脳神経異常・発がん性・ポリープ発生・目に奇形・生殖障害・体重の減少・血液異常などなど。アメリカでは、子どもの脳腫瘍などの引き金になるといった論争が再燃」など、リスクのデパートのように描かれている。
アスパルテームは、アイスクリームやガム、炭酸飲料といった大衆向けお菓子に多く使われている。
アスパラギン酸とフェニルアラニンという2つのアミノ酸分子を結合させて製造されたもので、どちらも私たちの身体を作っているたんぱく質の材料として構成されている。
甘味が砂糖の200倍。
甘味だけでなく、果実フレーバーの風味増強効果もある。日本では1983年に使用が認可された。
フェニルケトン尿症は、フェニルアラニンの代謝が阻害され起る疾病だが、それはアスパルテームを摂取したからなるのではなく、先天性のものだといわれている。
日本では新生児約8万人に1人の割合で起こるそうだ。
「発がん性」の方は、アスパルテームがジケトピペラジンとメタノールに分解され、メタノールに毒性があるだけでなく、ジケトピペラジンについても胃の中で亜硝酸塩と結合してニトロサミンという発がん物質を生成するとの報告がある。
しかし、メタノールによる致死量は体重60キロの人なら25グラムといわれている。
25グラムという数字だけではピンと来ないかもしれない。具体例を出そう。
たとえば、ファミリーレストランなどにあるアスパルテーム入り甘味料の1スティックは1.7~1.8グラムである。
しかも、その大部分はエリスリトールという糖アルコールで、アスパルテームはその中のごく僅かに過ぎない。
なぜなら、甘味が砂糖の200倍なのだから、そもそもそれほど大量に使う必要がない。
それでも「ごく僅か」が気になる?
念のため、「パルスィート」というアスパルテーム含有甘味料のメーカーに販売員経由で問い合わせたところ、1スティック中のであるアスパルテーム含有量は「約15mg」だそうだ。
「約15mg」が、どのくらい「ごく僅か」かイメージがつかめない人のためにさらに詳しく述べると、アスパルテームのADI(生涯毎日とり続けても大丈夫な量)は0~40mg/kg/日。
体重50キロで2グラムになる。これを先の「パルスィート」の含有量に当てはめると133スティック/日まで摂取OKということになる。
あのコーヒー好きのジャイアント馬場でも、そんなには飲まなかっただろう。
ジケトピペラジンにしても、問題視している報告は、発がん性はラットに1.5~3グラム/キログラム投与した時にみられた結果である。
人間に直せば、生後1歳の赤ん坊で15~30グラム、体重50kgの成人で75~150グラム摂取した場合の話だ。
これ自体、現実的ではない数字である。しかも、追試では腫瘍との関連自体が認められていない。
筆者は、その研究を行っている専門家ではないから、そうした僅かなリスクや疑いについても、「ああ、それでも危険だ、近づくな」という価値観を持っている人に対して、とやかくいう気はない。
が、シロウトから見ても、常識的な摂取量なら神経質になるような数字とは思えないがどうだろうか。
アセスルファムカリウムのリスクとは?
次に、アセスルファムカリウムだが、これはダイエットペプシに使われた新しい甘味料だ。自然界にない化学的な合成物で、厚生労働省は使うなら1kgあたり15mgまで、というADIを定めている。
これなどは、自然界にないというだけでいきなり警戒されている。自然のものだから安全とは限らないのだが……
どんなものに使われているか。たとえばアイスクリームには「コーン型」と呼ばれるものがある。円すいや円すい台の、モナカのような柔らかい包みにアイスが乗っているソフトクリーム状のアイスだ。そのコーンに、ほんのりとした甘さを加えるために使われることがある。
筆者は、オハヨー乳業の「ジャージー牛乳ソフト」にアセスルファムカリウムが使われていることに気づき、オハヨー乳業に直接問い合わせたところ、同社は「約3.2mg (1本当り)使用」と教えてくれた。
ADIとは全く問題にならないほどの開きがある。心配ご無用だった。
もっとも、これはメーカーに問い合わせたからこそわかったことであり、そうでなければ「一抹の不安」を抱え続けていたかもしれない。
インターネットの時代になり、得られる情報も増え、サイトを通してメーカーと消費者との距離もグンと縮まった。
世の中には、食品添加物や環境問題などで、合理的な根拠を欠いた危ない危ないの「煽り本」もあるが、きちんと自分で確認できるものは確認することで、ただただ非科学的に怯えるのでもなく、もちろん未知の物は軽視するのでもなく、事実と道理に沿った警戒をしたいものである。
アスパルテームとアセスルファムカリウムについてのコメント
後藤 桐子 :
私は70台の女性です。
アセスルファムK混入の「糖類ゼロ」缶Coffeeを
毎日2~3本愛飲しています。
この齢になって微妙な副作用を怖れても仕方が無い
と、あえて糖類ゼロCoffeeを飲み続けています。
これが美味しいのです!
若い人には勧められないものでしょうか?
2010年6月30日 15:19
このコメントへの回答
アセスルファムK混入の「糖類ゼロ」缶Coffeeが美味しいのです!
rose :
自分は「先を気にする必要がない」からと副作用の可能性を無視して飲んでいるんですよね?
そんな副作用の可能性があるものを、しかも若い人に勧めるとは、どういう神経なんですか?
2010年8月21日 12:38
このコメントへの回答
カレーライスはいいの?
kiri :
ちょっと失礼します。
http://pumipom.jugem.jp/?eid=562
参考までに。
似非科学などという言葉が流行っておりますが、流されないようご忠告申し上げておきます。
と学会の山本某などもスティーブジャクソンゲームズとのコネがあるようですし、信用は置けないでしょう。
2011年2月27日 09:18
のみくらべ :
アセスルファムKは単一甘味料のモノでのみ比べた結果、「一番不味く後味がひどくいつまでも舌の上に残る」というのが感想です。
特に温いものを飲んだ時が顕著で乳製品の相性が最悪です。
バンホーテンココアの甘味料に採用された時は抗議したほどです。
はっきり言って副作用以前になぜ多くの飲料メーカーが不味いアセスルファムK を採用してるのか全く納得行きません。
2011年8月24日 15:20
mokin :
製造コストが下がるからでしょう。
2011年11月 5日 00:35
山下 :
はじめまして。
私はアセスルファムKまたはスクラロースという物質のアレルギーです。
私が高校2年の時に6回、内1回は救急車で運ばれ、心肺停止になり危うく死ぬ所でした。
症状が出るのは今も変わりませんが。
医者も原因が分からずそのまま4年が経ち、現在は大学3年です。
いつまでもアレルギーで救急病院に行ってはお金がもたないので大学1年生の時に大病院で血液検査など数種類のアレルギー検査をしましたが、どれも決定的な物はありませんでした。
なので、自分で調べる事にし、今までアレルギーが出てたものを見ると、共通するものが0カロリー、低カロリーの物で、入っている物を見ると、アセスルファムK、スクラロースが入っていました。
医者に言われたわけではないですが、試しに1回すぐに病院に行ける場所でアセスルファムKとスクラロースが入っているゼリーを食べると、すぐに発症しました。
医者に言っても信じてもらえませんでしたが・・・
ちなみにアセスルファムKは農薬から偶然できた物らしくちゃんとした認可もされていないのが現状らしく、それを堂々と使う企業の気持ちが分かりません。
心配ご無用という文字が気になり投稿させてもらった次第です。
駄文失礼しました。
2011年12月20日 22:13
妊婦 :
妊娠28週、妊娠性の貧血といわれ、補助食品での鉄分の摂取を薦められ、錠剤とウエハースを購入しましたが、ウエハースにアセスルファムKが使用されておりこのサイトをみました。今後は、摂取を控えようと思います。
2012年2月28日 14:57
やまんば@糖尿病 :
糖尿病になってから、健康作りにスイッチが入り、今は甘味料について情報集めています。
そしてこれはと思ったものを大勢さんとシエアしたいとぶろぐにUPしています。
今日はこちらにたどり着きました。
コメントなども大変ためになり学ばせていただきました。これからも良い情報お待ちしています。
2012年4月18日 13:17
山下さんへ :
山下さんへ
私も不整脈がひどくなり、日曜日だったこともあり
救急車で運ばれました。
思い当たるのは、やはり人工甘味料。アスパルテームなど。
おなじ思いをなさった方がいて、心強かったです。
病院では「治るかわからないけど、心臓の不整脈のもとの箇所を焼き切る手術が
あるからやりましょう」と言われましたが、断りました。
あれから人工甘味料を摂らない生活をして、いまは不整脈は一回もありません。
病院の先生ももう少し患者の話を聞いてほしいですし、私たち消費者も、
マスコミやCMに踊らされないよう、賢く消費して商品を選ばないといけないなあ、
と心から思います。
[THINKER]と検索すると、ためになる情報がたくさんです。
ぜひみなさんも見てみてください。
山下さん、どうぞお体にきをつけて。
体によいものを摂っていきましょう♪
2012年10月17日 00:36
リスクは「量」である
食品添加物には、ADI(許容一日摂取量)という基準がある。
許容一日摂取量(ADI)とは、ある物質(食材、食品添加物など)について、人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量のことだ。
通常、1日当たり体重1kg当たりの物質量(mg/kg 体重/日)で表される。
これは、この量なら大丈夫、という無毒量の100分の1で決められている。
なぜかというと、偏った大食漢もいるし、食べ合わせで添加物の合計量が増える場合もあるからだ。
無毒量と書いたが、これはもちろん、これ以上は有毒だ、これ以上は致死量だ、ということを調べたからこそでてくる数値だ。
「危ない」を煽る連中は、この量の調査だけをもって、「〇〇を摂ると死ぬぞ」「毒だぞ」と騒いでいるわけである。
息をしても水を飲んでも、そこには有害物質は含まれているし、その物質の量次第では「有毒」「致死」である。
反対側からいえば、ゼロリスクということは、実は何も得られないのである。
以上、人工甘味料は、従来の砂糖よりも少ない量で甘味を得られる添加物だが、低血糖やフェニルケトン尿症等のリスクを指摘する声も、でした。
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