『健康情報・本当の話』(楽工社)の反応、「超ミネラル水」医師
健康情報・本当の話(楽工社)を上梓したところ、“予想通り”健康食品や民間療法についての関係者から「クレーム」がついた。「超ミネラル水」を推している医師である。健康情報の書籍に、医師が関心を持ってくれるとは大変光栄なことではないか。
健康情報・本当の話(楽工社)は、「抗がん」をうたう健康食品や民間療法についての批判書である。
出版に至った経緯などはゆっくり書こうと思っていた。
しかし、その前にちょっとした出来事があったので、そちらを先に書かせていただくことにする。
書籍を発行したのはさる5月27日だ。
「超ミネラル水」について
健康情報・本当の話(楽工社)の中で、筆者は「超ミネラル水」についてスケプティクスとしての立場からとりあげた。
それを知った「超ミネラル水」のある業者が、原材料販売の元締めであるシーマロックスの販売者・三根健二朗さんに本の”批判部分の”コピーを送り、三根健二朗さんから筆者に圧力か嫌がらせでもするように求めたらしい。
三根健二朗さんからは、筆者の自宅に電話があった。
筆者は、ネット情報で本当のことはわからないと思っているので、三根健二朗さんに限らず、同書で取り上げた人の多くは実際に聞き取りを行っている。
今回出版化したのはごく一部であり、原稿にしていない関係者への取材はもっとある。
というより、今回の出版化は結果であり、今回のお話が来る前から、筆者は日常的にいろいろな業者や学者、患者などに自分自身の関心からいろいろ話を伺っていたのだ。
だから、三根健二朗さんは、以前から筆者のことを知っていた。
「超ミネラル水」は、「論より証拠」で筆者自身も飲んだことがある。
三根健二朗さんからではないが、シーマロックス原液を自分で購入して希釈する実験をしたこともある。
それを、自分がやっている家庭菜園に使ったこともある(ちなみに実験は失敗して植物は枯れた)
だからというわけではないが、同書で「超ミネラル水」をインチキとは一言も書いていない。
独断的な悪意は思考バイアスのそしりを免れず、批判書にあってはならないスタンスであるとわきまえているからだ。
では何を書いたのか。
三根健二朗さんの回答
野島尚武という医師が、ヒトのデータがないのに万病に効くかのように宣伝していること、販売者の販売方法に問題があることなどを批判的に述べ、三根健二朗さんや、ある代理店が、自らががん経験者として「超ミネラル水」を飲んでいることなどを紹介した。
その同書に対して三根健二朗さんは筆者に次のことを強調した。
書いた者の責任として、ここで内容を明らかにする。
- 自分(三根健二朗さん)と野島医師を一緒くたにしていない書き方や、野島医師を批判したことには納得している
- 野島医師は保健医(学校医?)の委嘱も解任され、医師としての信用を失っている。これは当然のことだ
- 「超ミネラル水」だけでがんを治そうなどということはあり得ない(三根さんご自身が大腸がんを経験)
- 論文として発表したヒト・データはないが、やましい販売もしていない。今後も、聞きたいことがあればいつでも取材に応じる
- インチキな売り方をする代理店については、整理する方向で取り組んでいる
「超ミネラル水」に関心のある方は、3つめを忘れないでいただきたい。
筆者の場合は、三根健二朗さんと友好的に話をして、幸い(?)密告業者の目論見通りにはならなかったが、健康食品や健康器具の業者が、批判という正当な言論活動に、不当なイチャモンをつけるのは、残念ながらこれまでにも聞く話だ。
その業者のやり方は筆者の人生哲学とは相容れない、虎の威を借る残念なものだと思った。
はっきり言おう。筆者はその人間を卑怯者だと思っている。
ということを踏まえた上で、その続編も含めて以下をお読みいただきたい。
と、書いたもののいつまだもしつこい
サンミネラル(超ミネラル水)という、花崗岩を原材料とする健康食品がある。
花崗岩の中に含まれるミネラル成分を、硫酸を使ってミネラルイオンとして溶かして希釈し摂取するというものだ。
疑似科学批判者は、健康食品はとりあえず懐疑しようという立場であり、そこに文句をつけるつもりはないのだが、ちょっと奇妙な経験をしたので書き留めておこう。
改めて自己紹介すると、筆者はこの道の研究者でもオタクでもない、「普通の人」である。
だが、たまに自分の名前の本を上梓したり、メディアに名前が取り沙汰されたりすることがあるため、有名税が発生することがある。
「普通の人」の分際でそういう経験をしていることが、ある人々のもとでは根深い嫉妬の対象となるらしい。
ネット上でだが、ストーカーのような行為が昨年から続いている。
しつこいんだな、いつまでも。
最近まで気づかなかったのだが、昨年出した『健康情報、本当の話』(楽工社)のレビューで、的外れの批判をネット上に書いている人がいた。
それ自体は、何を書こうが「感想の自由」だから別にどうでもいいが(だからこれまで関心もなかったのだが)、拙著を巡って筆者にちょっとした出来事があったので、ふと、同一人物の可能性もあるのでは、と思った。
今日は、ちょっとその件を詳しく書いてみたい。
拙著で、筆者は「超ミネラル水」のことについて書いた。
野島尚武という医師が、ヒトのデータがないのに万病に効くかのように宣伝していること、販売者の販売方法に問題があることなどを批判的に述べ、元締めであるシーマロックスの販売者・三根健二朗さんも腸のがんは手術と抗がん剤で治療しており、本人も医師の治療を否定していない、と書いた。
すると、本が出て2週間ぐらいしてから、その三根健二朗さんご本人から連絡が来た。
三根健二朗さんとは以前から知り合いだったので、筆者の実家にかかってきたのだが、少し遅れて三根健二朗さんに連絡をしたところ、「『ある人が本のコピーを送ってきて、草野直樹はこんなことを書いています』と言っているが、そのことで一言言いたい」とのことだった。
同書が気にくわない誰かが三根健二郎さんにチクり、三根健二郎さんから筆者に圧力か嫌がらせでもするように求めたのだろう。
だが、少なくとも三根健二郎さんからそういう話はなかった。
以前もご紹介したが、三根健二郎さんの話は上に箇条書きにした通りだ。
もう1度繰り返す。
- 自分(三根健二朗さん)と野島医師を一緒くたにしていない書き方や、野島医師を批判したことには納得している
- 野島医師は保健医(学校医?)の委嘱も解任され、医師としての信用を失っている。これは当然のことだ
- 「超ミネラル水」だけでがんを治そうなどということはあり得ない(三根氏自身が大腸がんを経験)
- 論文として発表したヒト・データはないが、やましい販売もしていない。今後も、聞きたいことがあればいつでも取材に応じる
- インチキな売り方をする代理店については、整理する方向で取り組んでいる
「どう「整理」しているのかはわからないが、まあとにかく、話は円満に進み、チクッたウジ虫野郎の思惑通りにはならなかったわけだ。
今も筆者のところには、本で批判した健康食品の質問がよくあるのだが、「超ミネラル水」については、本に書いたように回答している。
- シーマロックスの希釈であり、神秘水のような出所不明のものではない
- 魚の飼育や植物の栽培を助けるとの報告はあるが、人のがんにエビデンスはない
- 同じものがバカ高く売られていることもあり、販売方法に注意が必要
あとは、本人の判断であり、カルト否定派のような「健康食品絶対駄目」との強要をするつもりはない。
野島尚武医師について
で、話を戻すと、てっきり筆者は、チクッたウジ虫野郎は業者の誰かだと思っていた。
だが、そう決めつけるのははやいのかもしれない。
冒頭の的外れレビューには、筆者が野島尚武医師を取材していないからダメだと書いている。
野島尚武医師の問題点は、筆者が取材したかどうかでかわるものではない。
エビデンスがないのに、書籍やサイトで「がんに効く」と宣伝していることそれ自体が問題なのである。
余談だが、三根健二朗さんというのは、往年の名歌手、ディック・ミネさんの次男である。
ディック・ミネさんは立川談志さんと幼名馴染みであり、また立教大学で、長嶋茂雄さんや本屋敷錦吾さんらとともに学んだそうである。
以上、健康情報・本当の話(楽工社)を上梓したところ、“予想通り”健康食品や民間療法についての関係者から「クレーム」がついた。でした。
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