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「卵の食べ過ぎは体に良くない」といわれることがある。一方で、卵は認知症の予防に効果があり、どんどん食べなさいという意見も

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「卵の食べ過ぎは体に良くない」といわれることがある。一方で、卵は認知症の予防に効果があり、どんどん食べなさいという意見も

「卵の食べ過ぎは体に良くない」という話は本当なのか、体に毒か

「卵の食べ過ぎは体に良くない」といわれることがある。一方で、卵は認知症の予防に効果があり、どんどん食べなさいという意見もある。だったら食べたほうがいいのか、食べないほうがいいのか、はっきりして欲しい。スケプティクス(懐疑的)に考えてみよう。

まず最初にはっきりさせておくべきは、どんな食べ物でも、「ばっかり食べ」も「徹底禁忌」もダメだということである。

いかなる食材であろうが、そもそも人間に食べられることを前提としているわけではない。

鶏卵は、あくまで鶏が子孫を残すためのものである。

つまり、ひよことして生まれて成長するための栄養が含まれている。

100%、人間に良いとも悪いとも言えるわけがない。

そこで、疫学調査というのは、特定の成果があるかどうかを調べるものである。

鶏卵は飽和脂肪酸を含むので、たくさん食べれば食べるほど飽和脂肪酸の摂取量が増えていくため、血中のコレステロールが増える懸念が言われてきた。

といっても、それらは昨今の研究では否定されている。

また、飽和脂肪酸だから中性脂肪の数値が高くなる可能性がある。

しかし、一方で鶏卵は完全栄養食といわれており、人間にとって有用な様々な栄養成分が含まれている。

だったら、結論として食べた方がいいのか、食べないほうがいいのか、と迷ってしまう。

結局まあ、ほどほどということになるのだが、その度合は価値観や健康状態にょって変わってくるだろう。

それらを踏まえた上で、鶏卵摂取を推奨する書籍の紹介である。

高齢者でも卵をどんどん食べなさい

まずは、そのものズバリ、『卵を食べれば全部よくなる』(佐藤智春著、マガジンハウス)という書籍がある。

著者は血液栄養診断士という。

著者は、人間が健康でいられるには、老若男女を問わず、たんぱく質がをどれだけ摂っているかであり、そのためにもっとも適した食材が、安くていろいろな食べ方ができて栄養のバランスが抜群の完全食である鶏卵がいいという。

鶏卵については、いろいろな栄養素を含む食材として否定する人はいないものの、食べ過ぎは戒められている。

たとえば、コレステロール値が上がるとか、前立腺がんの遠因になるといった話もある。

しかし、『卵を食べれば全部よくなる』は、それらの説をすべて否定するどころか、逆にそれらを予防するのだとまで述べている。

高齢者でも卵をどんどん食べなさい、むしろ高齢者で量質ともに食べ物を受け付けなくなった時だからこそ、バランスよく栄養を摂れる卵を食べなさいと説いている。

『日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる』(講談社)の著者である医師の渡辺信幸氏によると、

「僕が提案する基本ルールは、たった2つ。それは、肉・卵・チーズを積極的に食べること、そして、ひと口30回噛むこと。これさえ守れば、運動や食事制限も必要ありません」(渡辺信幸氏のブログより)

と述べている。

渡辺信幸氏は、赴任した沖縄県が日本一の長寿県から脱落してしまったことについて、「食事の本土化」によってメタボ化してしまったという。

メタボを防ぐヘルシーな食事といえば、肉を控えて野菜を食べる食事を思い出しますが、渡辺信幸氏は正反対に、「トンカツ、から揚げ、フライドチキンなど、揚げ物も避ける必要はありません。沖縄で人気のポーク卵なども最適」(『壮快』2015年3月号)としているのだ。

渡辺信幸氏が提唱しているのは、

肉(Meat)、卵(Egg)、チーズ(Cheese)の頭文字をとったMEC食を推進。

具体的には、肉200g、卵3個、チーズ120gを、1日のうち、どんな形でも構わないので食べる。

要するに、たんぱく質と脂質をしっかり摂取すればいいという考え方だ。

その中核として鶏卵が位置付けられている。

しかし、こうした説がでてくるのは、逆に見れば、巷間それだけ「卵の食べ過ぎは良くない」という見方があるからである。

食事からのコレステロール摂取が、直接的に血液中のコレステロール値を上昇させる

そこで、『日刊ゲンダイ』(2018年6月18日付)の連載、『役に立つオモシロ医学論文』で、著者の青島周一氏は、その問題に切り込んでいる。

卵1日1個程度の摂取はむしろ適量か

青島周一氏は、英国循環器学会誌の電子版2018年5月21日付掲載の「卵の摂取量と健康への影響を検討した研究論文」を紹介している。

『日刊ゲンダイ』(2018年6月18日付)

『日刊ゲンダイ』(2018年6月18日付)

内容は、中国に在住している心臓病や糖尿病を有していない46万1213人(平均50.7歳)について、過去1年間における卵の摂取量をについて調査。

「毎日摂取」「週4~6日摂取」「週1~3日摂取」「月1~3日摂取」「ほとんど摂取しない」の5つの集団にグループ分けし、結果に影響を与え得る社会人口学的特徴や生活習慣などの因子で統計的に補正を行い、心臓病、脳出血、脳梗塞などの発症リスクが比較されたという。

その結果はこうだ。

 中央値で8.9年の追跡調査の結果、卵を毎日摂取すると、はとんど摂取しない場合に比べて、心臓病のリスクが11%、脳出血のリスクが26%、脳梗塞のリスクが10%、統計的にも有意に低下することが示されました。
 卵を食べることができる人は健康上の理由で医師から食事制限を受けていないなど、もともと健常者である可能性があり、この研究結果は必ずしも因果関係を示すものではありません。
 とはいえ、心臓病や糖尿病で治療中でなければ、1日1個程度の摂取はむしろ適量と言えるのかもしれません。

もとより、この研究は、前向き調査ではなく「過去の調査」であること、「毎日摂取」かそうでないかという調査で、1日複数の摂取があったのかどうか最初から調査されていないことなどから、鶏卵摂取と健康の関係を全面的に解明するものではない。

しかし、「卵を食べる」行為にあたる人々が、心臓病の、脳出血、脳梗塞の数字を減らしている、という結果は意義があり、さらに踏み込んで卵の意義研究を行う契機となることは間違いないだろう。

昨今話題のケトン食にしても、糖質を油とタンパク質に代替するが、ご飯を減らすかわりに鶏卵はちょうどいいのではないか。

私も早速、いただいてみよう。

以上、「卵の食べ過ぎは体に良くない」といわれることがある。一方で、卵は認知症の予防に効果があり、どんどん食べなさいという意見も、でした。

卵を食べれば全部よくなる
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日本人だからこそ「ご飯」を食べるな 肉・卵・チーズが健康長寿をつくる (講談社+α新書)
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薬剤師のための医学論文の読み方・使い方
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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