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大映ドラマと言えば、漫画チックな設定にオーバーな台詞と過激な演出などで1970~1980年代をピークにリリースされた人気ドラマ群

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大映ドラマと言えば、漫画チックな設定にオーバーな台詞と過激な演出などで1970~1980年代をピークにリリースされた人気ドラマ群

大映ドラマと言えば、漫画チックな設定にオーバーな台詞と過激な演出などで1970~1980年代をピークにリリースされた人気ドラマ群です。個性的なドラマの数々は、増村保造監督による人間の実像を描いた日本の文化そのものとの指摘もあります。(キャッチ画像は『スチュワーデス物語8』より)

最近も『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(チェリまほ)』(テレビ東京)『TOKYO MER~走る緊急救命室~』(TBS)などヒットさせています。

大映ドラマは日本の文化

大映ドラマがまたトレンドになっています。

高堀冬彦さん(放送コラムニスト、ジャーナリスト)の『週刊女性PRIME』における寄稿で、大映ドラマについて振り返っているからです。


かつて最大手の映画会社だった大映の「テレビ映画」制作部「大映テレビ室」が分社して、1971年に誕生したのが大映テレビ株式会社。

『ザ・ガードマン』や『おくさまは18歳』など、大映テレビ室時代の作品を引き続き制作したほか、1970~80年代は、独自のテイストで人気ドラマを次々誕生させました。

そして、テレビドラマ制作だけでなく、タレントマネジメントも行っており、大映所属だった宇津井健さんや船越英二さんらが、「大映テレビ」の所属俳優として活躍しました。

その大映テレビ株式会社の制作したドラマ群を、テレビドラマ史的には「大映ドラマ」と呼んでいます。

高堀冬彦さんの記事では、大映ドラマは

  1. ありえない設定
  2. 過剰で過激な演出
  3. 人間の実像を隠さない
  4. オーバーなセリフ

などの特徴がある、としています。

 TBS『不良少女とよばれて』(1984年)の主人公・曽我笙子(伊藤麻衣子、現・いとうまい子)は逮捕歴6回の困った少女だったが、グレた発端は金銭問題に悩んでいた母・美也子(小林哲子)から「おまえなんか生むんじゃなかった」と言い放たれたから。ドラマはこういったセリフをオブラートに包みがちだが、大映テレビは堂々と前面に押し出す。(中略)
『スクール☆ウォーズ』のオープニング映像もあり得なかった。荒れた高校の弱小ラグビー部が7年で高校日本一になる物語ということで、まず麻倉未稀(61)の「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」をバックにオートバイで校舎内を疾走する生徒の映像が流れた。
 さらに金属バットで窓ガラスをバリバリと叩き割る生徒、書店で大っぴらに雑誌を万引きし、とがめる店員を殴り倒す生徒らが登場した。当時は確かに今より若者が荒れていたが、これはなかった。過剰で過激な演出だった。(中略)
 セリフも非日常。TBS『少女に何が起ったか』(1985年)ではピアニストの卵の雪(小泉今日子)に対し、刑事の川村(故・石立鉄男さん)が繰り返し「この薄ぎたねえシンデレラ!」と罵った。意味不明だった。(中略)
 TBS『スチュワーデス物語』(1983年)の主人公・松本千秋(堀ちえみ)に向かって村沢浩教官(風間杜夫)が言った「ドジでノロマな亀!」は平成世代でも知っているはず。今、口にしたら、間違いなくパワハラである。

大映ドラマは、まだフィルム撮影が行われていた1970~1980年代がピークでしたが、1990年代以降も、たとえば『家政婦は見た!』のような人気ドラマもあります。

1980年代だけでも、次のようなタイトルが枚挙できます。

『噂の刑事トミーとマツ』『青い絶唱』『秘密のデカちゃん』『ひまわりの歌』『六月の危険な花嫁』『過去のない女たち』『だんなさまは18歳』『婦警さんは魔女』『少女が大人になる時 その細き道』『高校聖夫婦』『スチュワーデス物語』『不良少女とよばれて』『スクール☆ウォーズ』『青い瞳の聖ライフ』『少女に何が起ったか』『ぼくたちの疾走』『乳姉妹』『スタア誕生』『ヤヌスの鏡』『ポニーテールはふり向かない』『花嫁衣裳は誰が着る』『おんな風林火山』『このこ誰の子?』『天使のアッパーカット』『アリエスの乙女たち』『遊びじゃないのよ、この恋は』『プロゴルファー祈子』『愛と復讐の海』『愛と憎しみの河』『ザ・スクールコップ』『疑惑の家族』『こまらせないで!』『青春オーロラ・スピン スワンの涙』

いやあ、壮観ですね。

大映ドラマのベスト5投票がFacebookでありました。1970~1980年代に人気タイトルを次々誕生させましたが、あなたのベスト5は?
大映ドラマのベスト5投票がFacebookでありました。1970~1980年代にかけて人気タイトルを次々誕生させましたが、あなたのベスト5はどのドラマですか。『スクールウォーズ』『スチュワーデス物語』『おくさまは18歳』などかつての人気ドラマを思い出しましょう。

今のネット時代なら、ツッコミどころ満載ですが、サスペンス調でもあったため、当時は学校でクラスメイトと必ず話題にしたものです。

当該記事についてのWeb掲示板のコメントも一部ご紹介いたします。

10名無しさん@恐縮です2022/05/28(土) 20:36:14.03ID:mcfW3kgM0>>25
赤いシリーズは疑惑、衝撃が好き

13名無しさん@恐縮です2022/05/28(土) 20:38:36.96ID:tIWn/t8g0
> ピアニストの卵の雪(小泉今日子)に対し、刑事の川村(故・石立鉄男さん)が繰り返し「この薄ぎたねえシンデレラ!」と罵った。意味不明だった。

これは午前0時に石立鉄男がいつも来るから
シンデレラに掛けてんだろ。意味不明とかアホか

18名無しさん@恐縮です2022/05/28(土) 20:42:43.66ID:2SE0/+rJ0>>63
>>1
こいつ無知過ぎるわ
スクールウォーズのモデルになった高校出身のやつが会社にいたが
あれは本当っつーかもっと凄かった言うとったわw

36名無しさん@恐縮です2022/05/28(土) 20:53:52.74ID:yZ0pM6Fx0
ガラスを割る生徒なんか日本中どこでもいたぞ
校内暴力最盛期を知らないな

70名無しさん@恐縮です2022/05/28(土) 21:12:55.17ID:jitQJth00
ナレーションのセンスがいい感じ

100名無しさん@恐縮です2022/05/28(土) 21:30:53.07ID:O+1rMiNo0
大映テレビは面白いのいっぱいあったなぁ、あの頃に戻りたい

高堀冬彦さんは、「こんな個性的なドラマがどうしてつくられるようになったかというと、映画会社の大映にいた故・増村保造監督の存在が大きい」としています。

「増村監督たちは、ドラマとは非日常を見せるものだと考えた一方、映画人らしく、人間の実像を描きたいと思ったという。」として、「大映テレビのドラマは日本の文化」と結んでいます。

増村保造監督はいかにして人間を描いたか

その増村保造監督ですが、大映ドラマの大ヒット作品『スチュワーデス物語8』のDVDの中で、風間杜夫さんがインタビューに答える形で、増村保造監督の手法を解説しています。

その前に、経緯をご説明しますと、『赤い』シリーズでスターになった主演の山口百恵が、『赤い』シリーズをやめたいといい出したそうです。

「途中で彼女自身がもう『赤』は嫌だ、少なくとも『赤』という題名だけでも変えてくれてという強い要望があった」(稲増龍夫『アイドル工学』筑摩書房)

その後は別の女性アイドルを起用。

『秘密のデカちゃん』(大場久美子、1981~1982年)、『だんなさまは18歳』(石井めぐみ、1982~1983年)、『高校聖夫婦』(いとうまい子、1983年)『婦警さんは魔女』(榊原郁恵、1983年)などの「荒唐無稽」ものを制作しました

そして、1983年の秋、「荒唐無稽」ではなく、かつ山口百恵には出せない愚直さ、純粋さをもったモチーフとして、元日本航空社員の直木賞作家、深田祐介の同名小説『スチュワーデス物語』(1983年新潮社)を堀ちえみ主演でドラマ化したのです。

スチュワーデス物語

もっとも、原作の松本千秋は、国立大学卒業の優等生。

まあ、現実に日航の「スチュワーデス」になるためにはそうでなければならなかったと思いますが、それでは大映ドラマとしてつまらないと思ったのか、ドラマの松本千秋は180度違うキャラクター。

すなわち、学歴も誇れない(無名の高卒)愚鈍な女の子に設定しました。

しかも、母子家庭で母親(吉行和子)は再婚。

新しい父親(長門裕之)とは反りが合わず、仕事もうまくいかずに夫婦は東京の家を引き払い田舎に逃げます。

帰るところすらなくなった不幸な身の上でもありました。

その『スチュワーデス物語』で、教官役だった出演者の風間杜夫さんは、増村保造監督の演出についてこう語っています。

「(増村保造監督は)曖昧な演技が、要求されないんですね。その人物は今、怒っているのか、強く愛しているのか、悲しいのか、嬉しいのか、悔しいのか、曖昧なニュアンスは求められないと。しかも、あの台詞ですから。それと、くっきりはっきり大きな声で明瞭に台詞を言うという。そういう独特な演出でしたからね」

第1回からわざとらしい汗の拭き方をする堀ちえみ。しかしこれは増村保造監督の意向だった

第1回からわざとらしい汗の拭き方をする堀ちえみ。しかしこれは増村保造監督の意向だった

笑いながら悲しみを表現したり、間(ま)で芝居をしたり、というところに、役者としての真骨頂があるはずなのに、それがすべて否定されていたのが、大映ドラマの演技だったそうです。

要するに、堀ちえみは増村保造監督にダイコン演技を要求された、ということなんですが、当時はずいぶんモノマネもされておちょくられました。

「テレビというのは映画と比べると画面が小さいわけですね。でもその小さい画面に、もちろんアップというのはあるんですけど、そのシーンに、たとえば6人出てれば6人全員押し込めようとするようなね、人間を狭いフレームの中に押し込めようとするんです。ですから、2~3センチ顔の角度が変わるとダブっちゃうとか、隙間を縫って芝居するような、あれは増村さんの独特の絵作りでしたね」(風間杜夫)

DVDインタビューより

“その時”のすべての登場人物がどんな表情でいかなるふるまいなのかを、ひとつの画面で見せてしまおうとしているのではないかと私は解しました。

ですから、これもまた、曖昧でない演出ということなのだと思います。

大映ドラマの“とっつきやすさ”の理由が、わかるような気がしました。

最近のドラマは、フレームが横に長くなりましたから、当時とは事情が違うと思いますが、増村保造監督のような独特の世界を持って撮っているのかに着目しながら鑑賞するのもいいかな、と思いました。

以上、大映ドラマと言えば、漫画チックな設定にオーバーな台詞と過激な演出などで1970~1980年代をピークにリリースされた人気ドラマ群、でした。

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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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