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女性は「女性特有の」保険に入るべきかという話である。女性の病気は乳がん、子宮がんだけとは限らないのに、対象を限定する保険

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女性は「女性特有の」保険に入るべきかという話である。女性の病気は乳がん、子宮がんだけとは限らないのに、対象を限定する保険

女性は「女性特有の」保険に入るべきかという話である。女性の病気は乳がん、子宮がんだけとは限らないのに、対象を限定する保険に入る意味はあるのだろうか。そもそも保険は贅沢品という声があるが、少なくとも中途半端な保障は入った甲斐がないだろう。

女性特有の病気をカバーする保険と、一般的な医療保険やがん保険とのどちらが得かは、個人のニーズや健康状態によって異なる。

女性特有の病気に罹患するリスクが高い場合や、家族に女性特有の病気の患者がいる場合は、女性特有の病気をカバーする保険が有益である場合がある。

また、女性特有の病気の治療に必要な検査や手術などの医療費が高額になる傾向があるため、女性特有の病気をカバーする保険に入っていることで、医療費の負担を軽減できる可能性はある。

一方で、女性特有の病気に罹患するリスクが低い場合や、家族に患者がいない場合は、一般的な医療保険やがん保険に入った方が得だ。

一般的な医療保険やがん保険は、病気や怪我、がんなどの様々な疾患をカバーしており、女性特有の病気だけでなく、その他の病気にも対応しているため、より総合的な保険内容になっていることが多い。

ということで、重要なことは、個人のニーズに合った保険商品を選ぶことだ。

保険に入る前に、自身の健康状態や家族の病歴を確認し、保険商品の内容や保険料を比較検討することが大切です。また、専門家や保険会社の担当者に話を聞いてもいいだろう。

ただ、現実に国民皆保険制度が徹底している我が国では、医療保険加入は「無駄」と説く声もあるし、基本的な医療費はもともと健康保険で出るという前提は知っておくべきである。

ということを踏まえた上で、以下をお読みいただきたい。

「女性専用の医療保険」という市場

女性の平均寿命は男性よりが長い。

が、乳がん、子宮がん、卵巣のう腫、子宮内膜症、子宮外妊娠、流産、乳腺症など、男性にはなかったり、ほとんど罹患する可能性がなかったりする女性特有の疾病もある。

だから、厚生労働省がそうした疾病の早期発見や治療に取り組むこと自体は悪いことではない。

が、行政が進歩しても後退しても、保険会社はそれをテコに新しい商品を売る、ということを私たちはスケプティクスに認識しておかなければならない。

昨今、保険会社によって、女性特有の病気やアクシデントを保障する「女性専用の医療保険」という市場もできつつある。

いわゆる女性用保険といわれるものだ。

筆者は、損保の世界も生保の世界も知らないわけではないが(というか元本職なのだが)、保険商品そのものは「生活の中の理性と非合理」というテーマとは直接関係ないので、商品の種類や保険の内容はここでは書かない。

ただ、「女性は一般に『一家の大黒柱』ではなく、男性ほど高額な死亡保障を必要としないから、その浮いた保険料を、こうした女性特有の病気に対する保障にあてよう」というセールストークが女性用保険の販売に使われていることについては、一言しておきたい。

女性にとって、女性特有の病気を面倒みてくれる保険といわれると、さぞや有り難みを感じることだろう。

だが、ちょっとスケプティクスな立場から考えて欲しい。

女性特有疾病だけを手厚くする根拠はない

乳房や子宮などのがんを含む疾病はたしかに女性にとって気をつけなければならないものだが、女性がかかる病気はそれだけではない。

国立がんセンターの統計によれば、2021年にがんで死亡した女性15万9038例のうち、もっとも死亡者が多かったのは大腸がんで、以下肺がん、膵臓がん、乳房がん、胃がんで、4位にやっと「女性特有の」乳房がんが入っている。

罹患者数は、1位が乳房がん、以下大腸がん、肺がん、胃がん、子宮がんの順で、やっと2つ入ってくる。

いずれにしても、決して子宮がんや乳がんや膣がんなど女性特有のがんばかりが、女性の死因上位を独占しているわけではないのだ。

「女性特有の」がんというのは、そのがんについては女性だけ、もしくは圧倒的に女性が多いというだけのことで、全女性の罹患から考えると、必ずしも第一義的に「女性特有の」がんを注意しなければならないということではない。

そもそも、女性特有であろうがなかろうが、病気に対する医療費負担に違いがあるわけではない。

胃がんだろうが乳がんだろうが、通常治療の自己負担(3割)、高額医療制度なども平等だ。

支払う医療費が、「女性特有の」病気がそれ以外のものに比べて高くなるというわけではない。

つまり、女性特有の疾病に対する保障だけを手厚くする根拠はない。

一般的ながん罹患のリスクに対応するなら、全てのがんを対象とする「がん保険」に入った方が保障としては優れている。

入院はどうか

入院保障を中心とする医療保険も、各社が販売しているありふれたもので「女性特有の病気」も面倒見てくれる。

まあ、保険というのは「安心料」ともいうし、人それぞれの生活事情や価値観によって選択されるべきものでもある。

たとえば、一族にそうした疾患が多く遺伝するかも、という心配から「女性特有の」がんをとくに気をつけたいという場合には、こうした保険も必要であろう。

そういうか方にとっては「女性特有」というのは価値があるだろう。

がんだけではなく女性特有の疾病や生活のリスクについて重点的な保障を望むニーズは否定できないから、ただちに「女性用保険は要らない」ということにはならない。

しかし、「女性特有の」という点をあまり強調することは、かりに保険会社の側に悪意がなかったとしても、女性の加入者が選択を誤りかねない表現ではあると思う。

胃がんや大腸がんになってから、「こんなことなら普通の医療保険・がん保険に入っておくべきだった」と臍を噛んでもおそいのだ。

男性にも、前立腺がんとか、睾丸がんとか、男性特有のがんはあるし、とくに半年は前立腺がんが問題になっている。

でも、私はやはり、入るのだったらすべてのがんを対象にしたものにしたいな。

さらにいえば、病気はがんばりではないので、がん保険よりは医療保険にした方が良いと思う。

ただ、村野武範さんのように、高度先進医療特約だけはつけておいてね。

物事はスケプティクスに考えたいものだ。

以上、女性は「女性特有の」保険に入るべきかという話である。女性の病気は乳がん、子宮がんだけとは限らないのに対象を限定する保険だ、でした。

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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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