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要するに妊婦にとってキンメダイは禁忌なのか?

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要するに妊婦にとってキンメダイは禁忌なのか?

妊婦にとってキンメダイは禁忌なのか?厚生労働省が、2003年6月3日に「水銀を含有する魚介類の摂食に関する注意事項」を発表したのを覚えているだろうか。それによると、妊婦がそれらを食べるのは週2回以下が望ましい、という注意勧告である。

理由は、胎児に影響を及ぼすおそれがあるレベルのメチル水銀を含有している」ため、とされている。

「妊娠している方、またはその可能性のある方」に限定

同省がこのリスクの対象としたのは胎児のみである。

一般の成人はもちろん無問題。

乳児は、「母親が通常の食生活をしていれば母乳中のメチル水銀は十分低濃度」であり、小児は「成人と同様にメチル水銀を排泄」するのでやはり問題ない。

この問題をスケプティクスに考えてみよう。

しかし、この勧告で一時期は一部の魚の取引値が暴落しました。キンメダイの水揚げが6?8割のシェアといわれる下田市漁協は、「量販店などの買いが鈍く、風評被害が大きい」(同月7日付「毎日」)と嘆きました。それはすなわち、勧告の対象ではない人の一部までが、魚を食べることをためらってしまう誤解を抱いてしまったわけです。

これに慌てた同省は、翌々日の5日に「水銀を含有する魚介類等の摂食に関する注意事項」を緊急リリース。

対象を「妊娠している方、またはその可能性のある方」に限定していることを強調し、それ以外の人は安心して食べられると「風評」の「火消し」に躍起となった。

もちろん、実際にキンメダイに対するリスク勧告が情報として有用なら構わないが、リスク管理の専門家である中西準子さんは、そもそも「1日摂食量」なる決め方に問題があったと指摘している。

平成15年度注意事項では、表面的にはリスク評価で結論が出された。リスクは、(濃度×摂取量)で決まるが、厚生労働省が使ったのは、(濃度×1日摂食量)だった。1日摂食量とは何か? たまたま1日に食べる量(1日摂食量と彼らは呼ぶ)の平均値だった。1年間ならした平均値ではない。たまたま食べた1日の量の平均値である(「中西準子のホームページ」)

要するに、「たまたま食べた1日の量」を「1年間毎日その量を食べている」かのように計算し、その量の多さでリスクを「喚起」しているというのだ。

やり玉に挙がったキンメダイは、魚の中でも食べる頻度はそう多いものではない。

にもかかわらず、食べた日の平均を「1日摂食量」として計算して、切り身一切れ分(76.8g)を1年間食べ続けていることにしている。

その一方で、寿司や刺身で食べる機会がキンメダイの何倍も多いはずのマグロは、やはり食べた日の平均が2カン程度の「21.2g」と計算されているため、(年間の摂取量では明らかにマグロの方が多くても)キンメダイよりは危険ではない、ということになってしまう。

数字のトリックと言うより、根拠となる計算がおかしい。

こんな比較では、現場の漁業関係者が怒るのは当然のことである。

バンドウイルカまで対象に登場

同省は2年後の2005年8月12日、今度はその修正版とも言える「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項(案)」を発表し。

そこでは、「1日(平均)の摂取量」をそのまま年間の摂取量と見てしまうようなおそまつな比較はなかったが、メチル水銀の濃度だけを発表したことで、たとえばバンドウイルカなど、あまり食べる機会がなくても濃度は高い魚の数字が高くなってしまう憾みを残した。

つまり、合理性は一歩前進したものの現実的ではなかったということである。

ところで、妊婦は本当にキンメダイを「週2日」しか食べてはいけないのだろうか。

他の魚でもっと危険なものはないのだろうか。

妊婦にとって食べ物の問題は重要である。

この点、厚生労働省に最新の見解を質問してみたいと思う。

回答が来たらまたこの場でご報告したい。

食べ物と健康の問題は、『健康情報・本当の話』(楽工社)に実に詳しい。

健康情報・本当の話
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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