今日は音無美紀子さん(1949年12月26日~)の誕生日です。おめでとうございます。ポーラテレビ小説の『お登勢』に抜擢されて以来、第一線で活躍されていますが、数々の出演作から『加山雄三のブラック・ジャック』第6話『復讐こそわが生命』を思い出します。
音無美紀子プロフィール
音無美紀子さんは、高校時代に劇団若草に入団。
青春学園ドラマ『これが青春だ』の最終回で、放送部員役でデビューしました。
ポーラテレビ小説の『お登勢』に抜擢されてブレイクしています。
ポーラテレビ小説というのは、NHKテレビ小説の裏番組として、TBSが放送していた帯ドラマです。
NHKテレビ小説同様に、ヒロインは新人を抜擢していました。
石井ふく子プロデューサーの『ありがとう』など、TBSホームドラマを筆頭にこれまで多くの作品に出演しています。
個人的に思い出深い出演作は、『加山雄三のブラック・ジャック』の第6話『復讐こそわが生命』(1981年2月12日放送)です。
そもそも『加山雄三のブラック・ジャック』とはなにか
『ブラック・ジャック』は、言わずと知れた手塚治虫のマンガです。
率直に言って、全盛期を過ぎた手塚治虫が最後の勝負として、劇画ブームに対抗するためにあえてヒューマニズムを封印。
最強の無免許医師を、漫画として描いたのが『ブラック・ジャック』です。
そのヒューマンな部分を、若大将のキャラクターで描こうとしたのが、『加山雄三のブラック・ジャック』(1981年1月8日~4月9日、松竹/テレビ朝日)でした。
加山雄三のブラック・ジャック(1981年)
木曜夜10時にテレビ朝日で放送されました。
加山 雄三氏が演じる坂東 次郎は、普段は顔の傷を消して画廊を経営する実業家。
しかしその正体はマントを羽織った無免許医師BJ。アッチョンブリケー??@retoro_mode #昭和レトロ #とある昭和の木曜日 pic.twitter.com/MUdYfYAHBY
— ライダー1号???? (@rider1cyclone) August 30, 2018
同作は、どちらかというと、原作のイメージを壊すという「手塚治虫原理主義者」の批判が多かったようですが、DVD化やCS放送されるなど、カルトなファンには根強く求められている作品でもあります。
若大将としてのヒューマニズムを加えた翻案によって、原作マンガでは描ききれなかった、ブラック・ジャックというキャラクターの奥行きをもたせることができたのではないでしょうか。
アウトサイダーなだけのブラックジャックではなく、若大将的ヒューマニズムにあふれた描き方は、好き嫌いの問題はともかくとして、それはそれでひとつのモチーフになっていると思います。
ドラマは全13話あり、それぞれおおむね原作を活かしたストーリー展開になっています。
そのうちの第6話は、『復讐こそわが命』というサブタイトルのついたストーリーです。
これは、『復しゅうこそわが命』という原作をドラマ化したものです。
タイトルが、漢字かひらがなかの違いであるように、基本的には原作どおりのストーリーです。
『復讐こそわが生命』あらすじ
脱サラして、伊豆の伊東でペンション城ヶ崎を経営するのは浦島一家。
夫(宗方勝己)、妻(音無美紀子)、子ども2人の4人家族です。
ある日、夫は、ブラックジャガーというテロリストグループが、政府高官を抹殺するために仕込んだ爆弾入りカバンを、手違いで持ち帰ってしまいます。
妻が電話に出ると、「鞄をあけるな」と告げた男は「ブラック・ジ……」と名乗り、かばんは爆発。
4人は全員黒焦げの塊になりましたが、唯一、妻だけが比較的きれいな遺体でした。
ブラック・ジャックは、3人の使える部位を移植して、妻(音無美紀子)の命を救うものの、音無美紀子は「ブラック・ジ……」という電話の声から、ブラックジャックを爆弾犯と誤解して憎しみをつのらせます。
しかし、ブラックジャックは、復讐心が生きる支えなら治療に利用しようと、あえて誤解をときません。
彼女が回復し、もう時期が来たと思ったブラックジャックの執事・遠藤(松村達雄)は音無美紀子に、復讐心が誤解に基づいていることを説くとともに、ブラック・ジャックがなぜ必死になって彼女を助けたのか、ブラック・ジャックの壮絶な秘密を打ち明けます。
執事は原作には登場しませんが、ブラック・ジャックのヒューマンな一面を表現するために必要な約どころです。
音無美紀子は退院しましたが、彼女が気がかりなブラックジャックは、夜、お金を包んでもう1度「ペンション城ヶ崎」に寄ってみると、彼女は一人で食事をしていました。
でも、彼女は、そこにはいない家族に、まるでいるかのように話しかけています。
「パパ、私、きれいになったでしょ。ほっぺたと顎の骨をパパからもらったからよ。ユキちゃん、目をありがとう。とってもよく見えるわ。(頬を触って)このへんの皮膚も血管も、ユキちゃんのですって。マモルちゃんにはね、食道と胃をもらったの。みんな、ありがとう」
窓越しに、心なしか目をうるませたブラックジャックが2~3度うなずいてエンデイングです。
ヒューマンなブラック・ジャック、という翻案も、悪くないなと私は思いました。
以上、音無美紀子さんの誕生日。数々の出演作から『加山雄三のブラック・ジャック』第6話『復讐こそわが生命』を思い出す、でした。
加山雄三のブラック・ジャック DVD-BOX(3枚組) – 加山雄三, 秋吉久美子, 藤岡琢也, 松村達雄, 今井里恵, 田中邦衛, 番匠義彰, 渡邊祐介, 山根成之
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