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『愛の渇き』(1967年、日活)は夫の浮気に苦しんだ妻が舅に身をまかせながらも若く素朴な園丁に惹かれる心理的葛藤を描いた

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『愛の渇き』(1967年、日活)は夫の浮気に苦しんだ妻が舅に身をまかせながらも若く素朴な園丁に惹かれる心理的葛藤を描いた

『愛の渇き』(1967年、日活)は、夫の浮気に苦しんだ妻が舅に身をまかせながらも若く素朴な園丁に惹かれる心理的葛藤を描いた作品です。主演は浅丘ルリ子で相手役は石立鉄男です。映画をご紹介しながら2人についてもかんたんに振り返ってみます。

浅丘ルリ子が石立鉄男を相手にした葛藤

浅丘ルリ子といえば、スタートは日活の映画女優でしたが、その日活を離れるきっかけともいわれる作品が『愛の渇き』です。

浅丘ルリ子にとって、代表作であるとの自負がある三島由紀夫原作の同名の映画化です。


藤田繁夫と蔵原惟繕が共同で脚色し、蔵原惟繕が監督した作品です。

浅丘ルリ子が惹かれる若い男性は、石立鉄男。

1970~80年代のテレビドラマで大活躍しましたが、それ以前の出演作となります。

あらすじ


杉本悦子(浅丘ルリ子)は夫良輔の浮気に苦しみましたが、死後も杉本家に住み、いつか義父の弥吉(中村伸郎)と関係をもっていました。

広大な農場と広い邸宅では、園丁(庭師)の三郎(石立鉄男)、女中の美代(紅千登世)が暮していました。

浅丘ルリ子は、中村伸郎との関係を断ちがたかったのですが、その一方で石立鉄男にも心を動かしていました。

三郎に深く魅かれていった悦子は、三郎に靴下を買いあたえたのですが、美代は嫉妬でそれを捨ててしまいます。

美代は三郎の子供をみごもっていました。

しかし、悦子は美代に深く嫉妬を覚えて堕胎させてしまいました。

弥吉は、農園を売り悦子を東京に連れてゆく計画をたてていましたが、その東京行がせまった頃、悦子は三郎に会い、三郎の強い抱擁が男の暴力だと知った悦子は、三郎をつき放しました。

弥吉が血相を変えてかけつけると、悦子のふりあげた鍬は三郎に。

弥吉「何故殺した」

悦子「あなたが殺さなかったから」

悦子は弥吉に別れを告げ去っていきました。


浅丘ルリ子の役はかなり複雑な女性です。

理屈で考えたら、おかしな人かもしれません。

しかし、人間はときおり、非合理で不条理で無慈悲な言動もあります。

しかし、それは理屈としては変でも、どうしてもそうせざるを得ない内なる思いがあったもので、原作にしろ映画にしろ、それを描ききっているということでしょう。

浅丘ルリ子と石坂浩二の結婚秘話

浅丘ルリ子は、『男はつらいよ』で4回リリーさんを演じているので、そのイメージが強い人も多いかもしれません。

リリーさんこそ寅さんにピッタリという評価はありますが、別の見方をすれば、4回も出て結ばれないのだから、本質的に結婚相手としては相容れないということではなかったと私は解しています。

4回は多かったでしょう。

2回で十分だったのではないかな。

浅丘ルリ子は、土曜グランド劇場『2丁目3番地』というドラマの共演で、石坂浩二と結婚したといわれています。

かつて、『日刊ゲンダイ』で倉本聰さんが回顧していましたが、『2丁目3番地』の打ち上げで、石坂浩二が「これで終わりなんて寂しい」と泣き出して、浅丘ルリ子が石坂浩二を抱きしめて慰め、それを倉本聰さんは、森光子に馬乗りになって背中をマッサージしながら見ていたそうです。

テレビドラマの打ち上げも興味深いものがあります。(笑)

石坂浩二は、当時加賀まりこと結婚するようなことをいわれていました。

が、加賀まりこは未婚の母で話題になリ、石坂浩二が父親ではなかったようなので不思議でした。

石立鉄男の甲高い声の真相

同作で、浅丘ルリ子の心を捉える園丁役を熱演したのは石立鉄男です。

『奥さまは18歳』のあたりから、甲高い声でセリフを言うことが増えましたが、喜劇を演じるために渥美清を手本にしたと本人はラジオ番組で告白しています。

『水もれ甲介』でがに股にしたのも、がに股自体で三枚目を演じることと、次男でモテモテの役である原田大二郎よりも長身であってはならないために、背を低く見せようとしてがに股にしたそうです。

ちなみに、石立鉄男にとっての代表作は、やはり『奥さまは18歳』と『水もれ甲介』だそうです。

ということは、多くの人が絶賛する『パパと呼ばないで』や『雑居時代』はそうではなかったということです。

石立鉄男ホームコメディドラマシリーズは1971年~1978年に放送されたホームコメディ。ヒロインMVPは松尾嘉代?大原麗子?
石立鉄男ホームコメディドラマシリーズは、1971年~1978年にかけて、ユニオン映画が制作、日本テレビ系で放送されたドラマです。すべて独身男性を演じた石立鉄男の相手役としての女優が各作品に登場しますが、とくに印象深いのが松尾嘉代と大原麗子です。

石立鉄男は、「動物と子役の作品はハンソクだ」と思っていて、理由は感動の作品を簡単に作れてしまうからだと語っていました。

『パパと呼ばないで』の仕事を引き受ける条件として、杉田かおるに学校を休ませないこととして、自分は他の仕事を一切入れないで24時間撮影できるようにしたといいます。

まあそのわりには、撮影をサボる癖があったようですが、石立鉄男に言われると、そういうときは、撮影に行っても何も出で来そうではないからだといいます。

石立鉄男はたくさんの仕事をしているのに、その俳優人生を振り返る読み物がありません。

マスコミとも上手に付き合わなかったこともあるのでしょう。

本作があるように、今も話題になるユニオン映画のホームコメディというのは、石立鉄男にとってはほんの一部でしかありません。

その俳優人生全般を評価する読み物があればと思います。

以上、『愛の渇き』(1967年、日活)は夫の浮気に苦しんだ妻が舅に身をまかせながらも若く素朴な園丁に惹かれる心理的葛藤を描いた、でした。

愛の渇き - 浅丘ルリ子, 山内明, 中村伸郎, 楠侑子, 小園蓉子, 紅千登世, 石立鉄男, 小高雄二, 藏原惟繕, 三島由起夫
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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