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『若い人』(東宝・サンミュージック提携作品、1977年)は、石坂洋次郎の同名の青春小説を桜田淳子の主演と主題歌で映画化

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『若い人』(東宝・サンミュージック提携作品、1977年)は、石坂洋次郎の同名の青春小説を桜田淳子の主演と主題歌で映画化

『若い人』(東宝・サンミュージック提携作品、1977年)は、石坂洋次郎の同名の青春小説を桜田淳子の主演と主題歌で映画化したものです。『気まぐれヴィーナス』のB面として主題歌『若い人のテーマ』ともども、44年前の5月15日にリリースされました。

『若い人』とはなんだ

『若い人』というのは、1933年8月~1937年12月まで『三田文学』に断続連載された、石坂洋次郎の代表作です。

一口に述べれば、当時の時代背景において、悲劇と若さが内在した青春群像劇です。

舞台は、北国の港町のミッション系女学校。

新任教師である間崎慎太郎と知的な女性教師橋本スミ、感情的で破滅型の女学生江波恵子の三角関係を描いています。

江波恵子は激しい情熱をむき出しに体当りしてくるし、橋本スミは今で言うツンデレ。

でも、間崎慎太郎は、両方に惹かれます。

この3者がお互いに影響しあう日々の描写が青春小説らしく、また結末に説得力をもたせる伏線になっていて私は気に入っています。

結局、間崎慎太郎は恵子と結ばれます。

本作は、何度も映画化、テレビドラマ化していますが、肝心の結末は様々です。

それは、橋本スミが社会主義運動で検挙されるという、その時代に対する理解がないとむずかしい展開になっているのと、先生と生徒が結ばれることをハッピーとしない感覚が制作側にあるのかもしれません。

昭和時代はほぼ10年ごとに映画・ドラマ化

同作を原作とした、映画やテレビドラマは、昭和時代、1990年代までほぼ10年ごとに映画化ないしはドラマ化されています。

池部良、島崎雪子、久慈あさみ主演(1952年、東宝)、石原裕次郎、吉永小百合、浅丘ルリ子主演(1962年、日活)もあり、

1972年にNHK銀河テレビ小説枠で放送された『若い人』は、間崎慎太郎が石坂浩二、江波恵子が松坂慶子、橋本スミ子が香山美子でした。

私はそこで『若い人』を知りました。

松坂慶子さんの輝いた演技は、今も忘れられません。

芸名の由来となったほど、石坂浩二さんも石坂洋次郎作品の信奉者でありました。

1974年には、篠田三郎主演で、『若い!先生』(わかいせんせい)という翻案のドラマも作られました。


『若い人』は、石坂浩二版までは男性教員が主人公で描かれていましたが、それが、女生徒の側から描かれたのが、奇しくも、『若い!先生』の第1回にゲスト出演していた桜田淳子主演による1977年に制作された東宝映画でした。

桜田淳子の『若い人』

1977年に東宝が制作した『若い人』は、江波恵子が桜田淳子、間崎慎太郎が小野寺昭、橋本スミ子が三林京子です。

原作や、他の映画化ドラマ化された作品は、教師の視点で書かれていますが、この桜田淳子主演については、生徒である桜田淳子が主役で描かれ、不良少女が男性教師を愛することによって大人に目覚めていく、というストーリーになっています。

新人教師の男性が、頭がよく美人で、勉強ができるくせにわざとしないでいる女生徒に次第に惹かれていく。

同じように女生徒も教師に惹かれていくものの、最後に女生徒の方が裏切り、恋は結実しません。

青年教師の青春の蹉跌と、思春期の少女の多感な心理を描いた、何ともほろ苦い展開です。

原作も書き換えさせてしまうほど、当時の桜田淳子にはパワーがあったようです。

まあそういうことならそれでもいいですが、吉永小百合も出演しているのですから、ここは、日活映画では江波恵子を演じた吉永小百合に、橋本先生を演じていただきたかったところです。

それにしても、このキャスティングには、当時意外におもったものです、

山口百恵は東宝の文芸路線、一方の桜田淳子は『スプーン一杯の幸せ』『遺書 白い少女』など、落合恵子原作の松竹青春路線で棲み分けていました。

ではなぜ、本作は桜田淳子で、しかも東宝だったのか。

理由は、石坂洋次郎が、ヒロインのイメージに、山口百恵は合わないと首を縦に振らなかったからといわれています。

石坂洋次郎は、どのへんがそう感じたのでしょうね。

山口百恵には、当時で言うところの「ネクラ」なイメージがあったからではないかと私は思いました。

それにしても、山口百恵の本拠地である東宝に、文芸路線で桜田淳子が主演をはるというのは、当時のホリプロの社長である堀威夫や山口百恵としては、心中穏やかざるものがあったんだろうとおもいます。

気まぐれヴィーナス

  • 【A面タイトル】気まぐれヴィーナス
  • 【B面タイトル】若い人のテーマ
  • 【歌手名】桜田淳子
  • 【作詞者】阿久悠
  • 【作曲・編曲者】A面:森田公一(編曲:船山基紀) B面:森田公一(編曲:青木望)
  • 【レコード会社】ビクター音楽産業
  • 【リリース年月日】1977年5月15日
  • 【ジャケット体裁】表カラータイトル&写真、裏モノクロ歌詞掲載

桜田淳子にとって、19枚目のシングルとなるこの歌はオリコン7位。

B面が、上掲の『若い人』で使われた主題歌です。

といっても配給会社は、桜田淳子がホームグラウンドにしていた松竹ではなく東宝だった。

『気まぐれヴィーナス』は、『第28回NHK紅白歌合戦』で歌いました。

以上、『若い人』(東宝・サンミュージック提携作品、1977年)は、石坂洋次郎の同名の青春小説を桜田淳子の主演と主題歌で映画化、でした。

ub37690若い人ポスター 桜田淳子 吉永小百合 小野寺昭 三林京子 左幸子 室田日出男
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若い人(下) (P+D BOOKS) [ 石坂 洋次郎 ] - 楽天ブックス
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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