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死んでから、爪や髪やヒゲが伸びるという話はオカルトなのか。いや、それはスケプティクスに考えと必ずしもそうとはいえない

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死んでから、爪や髪やヒゲが伸びるという話はオカルトなのか。いや、それはスケプティクスに考えと必ずしもそうとはいえない

死んでから、爪や髪やヒゲが伸びるという話はオカルトなのか。いや、それはスケプティクスに考えと必ずしもそうとはいえないという話だ。ただし、それをもって死んだ人が生き返った、死んだ人にも生命力があるということにはならない。

結論から書くと、爪や髪やヒゲが伸びるというのは生命活動であり、亡くなったらそれも止まる。

だから、死んでから、爪や髪やヒゲが伸びるということはない。

ただし、死というのはなにをもって死なのかということにもよるが、あるとき、全てが止まるわけではなく、心臓が止まって、脳死して、もしくは逆で、身体の活動も徐々に止まっていって、硬直が始まり体細胞が腐敗し始める。

それらは、全体で見ると、さしずめグラデーションのように、どこからというよりも、だんだんとそうなっていくとしかいいようがない。

その、どこかをもって死と決めのは、人間の価値判断である。

普通は、脳死か心停止をもって死というが、宗教的には別の定義もあるようだ。

ま、あんまり外れた定義は、問題視されるけどね。

いつぞやの「定説」みたいに。

その過渡期における「惰性」をもって、「死んでからも……」とみられることはある。

つまり、脳死や心停止しても、体組織はしばらくの間はタイムラグで生きているため、その間に最後の活動をすることは、ごく当たり前にあるということだ。

車だってさ、アクセル踏むのやめても、惰力で動くでしょう。

あとは、体外的なこともある。

生きていてもあるが、亡くなっても世の中の時間は止まるわけではなく、死亡後にも体から水分が失われる。

つまり、死亡時から乾燥が始まる。

それによって、肌などの柔らかい組織は縮んだり、爪が伸びたように見えたり、髭も皮膚が縮んだ分だけ露出している部分が増えたりするというわけだ。

いずれにしても、合理的に説明できることで、怪奇現象ではない。

……ということを予め踏まえた上で、以下をお読みいただきたい。

「いったん死んだ人間が生き返る」のウソホント

『死んでから爪や髪が伸びる』という怪談話を聞くことがあるだろう。

そうかと思うと、喜劇などで、いったん死んだ人が生き返る、なんてストーリーもある。

だが、どちらもスケプティクス(懐疑的)に考えれば本来ありえない話である。

この件について今日は書いてみよう。

『日刊ゲンダイ』(2017年3月28日付)では、「肉体は死後どのように変化するのか」というコラムが掲載されている。

そのご紹介の前に、冒頭の話をもう少し続けよう。

人が亡くなれば、生命活動する必要がなくなる。

そこで、残ったエネルギーが、髪や爪や髭などの成長に向けられるのではないか、というふうに考えられているのかもしれない。

しかし、死ぬということは、すべての細胞が生命活動をしないのだから、そんなことはありえないのだ。

中には、伸びているように見える場合もあるかもしれない。

死亡して、体から水分が失われることで、肌などの柔らかい組織は縮む。

そのため、爪や髪やヒゲなど露出している部分が増えるので、あたかも伸びたように見えるだけに過ぎない。

また、いったん死んだ人間が生き返るというのはどうだろう。

死んで、精神が肉体から遊離するが、精神が戻れば生命も復活するのではないか、という考え方があるらしい。

これも、ありえない話である。

細胞は、いったん死んだらそれっきりである。

不可逆的であり、いったん死んだ細胞がまた生き返るということはあり得ない。

だったら、脳卒中の人たちが、生還できても、身体や脳に不自由な後遺症が残るのはどうしてか。

脳卒中の時点で、脳細胞の一部が死んだからである。

死んだ脳細胞は、元には戻らない。

スケプティクスに考えることは切ないか

前置きが長くなったが、『日刊ゲンダイ』(2017年3月28日付)の、「肉体は死後どのように変化するのか」から引用する。

一般的には、心停止が起こると、脳細胞がだいたい4分ほどで不可逆的な変化を起こすと書かれている。

血流が途絶えれば、体の隅々まで行き届いていた酸素も流れなくなり、体中にある臓器の活動が停止する。

その後、組織をつくっている細胞が死減して、完全に生命を閉じることになるという。

お通夜から葬式までの間、亡くなった人の亡骸は棺桶に入ったままである。

遺族は、肉体がある以上、もしかしたら、息を吹き返してくれるのではないか、ということを心の何処かで思っているかもしれない。

しかし、それはありえない話なのだ。

もはや、生きている時の肉体とは別物、まさに亡骸でしかないのである。

ちなみに、死後硬直は、死後24~48時間続くという。

冒頭に書いたように、常識的には、脳死や心停止をもって「死」であり、それ以降は惰力が徐々に静止するための「残務処理」ということである。

スケプティクスに考えるということは、切ないことである。

しかし、仏教では、人生とは本来苦しいことである、と見定めている。

そして、諸行無常、諸法無我の中で生きている。

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無常とは「生老病死」であり、すべての生物も非生物も諸法無我のバランスの中で生成発展消滅を絶え間なく繰り返しているのである。

もっとも、「切ない」のは人間として死んでしまった場合であり、私たちは生きている間、つねに細胞死と新しい細胞の誕生を絶え間なく繰り返している。

最近では、「細胞死はこれまで、アポトーシス、ネクローシス、オートファジーが知られていたが、第4の細胞死であるエレボーシスが見つかった」というニュースもある。

「第4の細胞死」エレボーシス発見 理研、腸の恒常性維持の定説覆す | 科学新聞 The Science News
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やはりオカルトなかったということと同時に、これを機会に、そのへんも併せて興味を持ってみませんか。

以上、死んでから、爪や髪やヒゲが伸びるという話はオカルトなのか。いや、それはスケプティクスに考えと必ずしもそうとはいえない、でした。

死んだ後には続きがあるのか 臨死体験と意識の科学の最前線

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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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