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『牛乳は体に悪いのか』(別冊宝島1453号)は、牛乳が人体にとって有益でないという説を検証。体質として合わないだけかも?

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『牛乳は体に悪いのか』(宝島社)どうなるこの論争

牛乳は体に悪いのか(別冊宝島1453号)は、牛乳が人体にとって有益でないという説を検証している。体質として合わない場合もあれば根拠のない迷信もある。さて、スケプティクス(懐疑者)の立場からはこの論争をどう見たらいいのだろうか。

『牛乳は体に悪いのか』は、別冊宝島1453号のムックである。

タイトル通り、牛乳は体に悪い、という説と、そんなことはない、という説とがあるので、どちらも枚挙しながら読者に考えてもらう構成だ。

今、Googleで「牛乳はからだに悪いのか」で検索したところ、1位は一般社団法人日本乳業協会。

もちろん、体に悪いということはない、という内容だ。

2位は東洋経済ONLINE。『「牛乳=身体にいい」と思い込む人に教えたい真実』という「カラダに悪いぞ」派の寄稿だ。

栄養成分を見れば、牛乳にはカルシウム、たんぱく質、ビタミンDなどの栄養素が豊富に含まれており、骨や筋肉の健康に役立つとされる。

完全栄養食というのは、その限りでは間違いではない。

ただし、一部の人にとっては、牛乳や乳製品を摂取することが体に不適切な場合がある。

例えば、乳糖不耐症の人は乳糖を消化できず、消化器系の問題を引き起こす可能性がある。

また、乳製品に含まれるタンパク質のガゼインや脂肪がアレルギーや喘息の原因となることもある。

これは人間の母乳に含まれるカゼインとは種類が異なり、腸管の炎症を引き起こしやすく、慢性的なアレルギーの原因になりやすいという。

牛乳によって鉄分の吸収を妨げられることもある。

カルシウムをとりやすいとも言われているが、魚やナッツ類のほうが効率よくカルシウム摂取できるともいわれている。

牛乳が体に悪いという説は全ての人に当てはまるわけではないが、個人的な体調やアレルギーの症状に合わせて適切な摂取量を考える必要があると言える。

つまり、どこに力点を置くかによって、牛乳に対する評価は変わってくるのではないだろうか。

人間のための栄養源ではない、という否定派もいるが、それはあまり合理的な主張ではない。

なんとなれば、自然のものはすべて、人間のためにあるわけではなく、それぞれが生命体だ。

調べれば、人間の健康に資する成分もあれば、逆によくない成分もある。

長く食材として使われてきたものは、悪い部分を避けたり、打ち消したりできるものだったからに過ぎない。

だから、牛乳も、飲みすぎないとか、アレルギーのある人は避けるといった条件をつけることで、人類全体としては豊富な栄養成分を放棄せずに摂取できるのではないだろうか。

ということをお含みおきの上、以下をご覧いただきたい。

「牛乳否定派」はゾロゾロ出てくる

『牛乳は体に悪いのか』は、「牛乳肯定派」にも「否定派」にも与しない「中立」を謳い、科学的に牛乳を否定する合理的な理由はないことを明らかにしながら、ただし体質に合わなければ無理に飲まなくてもいい、という内容になっている。

それでも、言うべきことは言っている。

たとえば、牛乳有害論を譲らない『病気にならない生き方』(サンマーク出版)の新谷弘実さんが、本を出した頃、「牛乳乳製品健康科学会議」から反論と質問を受けて攻められた。

本書では、「今後、新谷氏が明快な形で科学的根拠を提示するのはおそらく困難であろう」(45ページ)とまで踏み込んだ結論を述べている。

要するに、本書は新谷弘実医師の立場にたっていない。

その後、新谷弘実医師は回答したものの、同会議からは再び反論が出ている。

要するに、おそらくこの論争は平行線のままなのだろう。

余談だが、新谷弘実医師は、『がん六回、人生全快復刻版』(ブックマン社)でご紹介した関原健夫さんの最初の執刀医である。

それはともかくとして、牛乳有害論を主張している「健康情報」の発信者は、新谷弘実医師だけではない。

『買ってはいけない』の三好基晴さん、『粗食のすすめ』(新潮社)の幕内秀夫さん、”カリスマ医師”の石原結實さん、NHK集金人からディレクターになった元腎臓がん患者の川竹文夫さんなど、健康情報書籍を上梓している「牛乳否定派」はゾロゾロ出てくる。

新谷弘実さんだけを標的にするのではなく、もう一度それらの人々と具体的な主張を整理して考えてみる必要があるのではないだろうか。

「自衛隊のUFO対応」なんかで盛り上がるより、こちらの方がよほど現実的な問題だ。

個人的には、川竹文夫さんの抗がん食品レシピ集などは、「抗がん」としての科学的根拠があるかどうかは別として、メニューのバリエーションを増やすという意味では参考になるのだが、それはそれ。やはり疑問があれば突っ込んでいくことが大切だと思う。

電磁波論争と同じなのか

個人的にこれは、電磁波論争やその対応と重なるものがあると思う。

牛乳には、乳糖や乳脂肪に有害な働きがあることは有力だが、ではそれが誰がいつどのくらい摂取するといけないのかを明らかにしないと、牛乳否定は定説にはならない。

それはいずれ明らかになるかもしれないが、実はそうではないことが明らかになるかもしれない。

結局、私たちにできる「無難」なことは、飲み過ぎないことしかない。

お菓子その他に、乳製品は使われているので、それ以外に牛乳やヨーグルトをわざわざ口にすることはしない、ぐらだろうか。

あと気になるのは、白血病と牛乳の関係である。

大塚範一さんや、亡くなった大豊泰昭さんなどが、牛乳や乳製品を積極的に口にしていて、とくに大豊泰昭さんは水がわりに飲んでいたということだ。

以上、『牛乳は体に悪いのか』(別冊宝島1453号)は、牛乳が人体にとって有益でないという説を検証。体質として合わないだけかも?でした。

牛乳は体に悪いのか―誰も知らなかった「国民食品」牛乳のつくられ方 (別冊宝島 1453)

牛乳は体に悪いのか―誰も知らなかった「国民食品」牛乳のつくられ方 (別冊宝島 1453)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2007/07
  • メディア: ムック

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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