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高倉健が東映時代に出演した『新幹線大爆破』は初めての町工場経営者で事件の犯人役。同作にはギャラが通常の半額だった

高倉健が東映時代に出演した『新幹線大爆破』は初めての町工場経営者で事件の犯人役。同作にはギャラが通常の半額だった

高倉健が東映時代に出演した『新幹線大爆破』は初めての町工場経営者で事件の犯人役。同作にはギャラが通常の半額で出演したそうです。公開から46年経ってもマニアが多い作品ですが、ほかにもたくさんのエピソードがありました。

すでにネットでは、多くの人に取り沙汰されていますが、ネタバレ御免のあらすじから書きます。

『新幹線大爆破』とはなんだ

新幹線ひかり109号に、速度が時速80キロ以下になると爆発するという爆弾脅迫事件が発生。

同じ爆弾を仕掛けたという北海道のSLは本当に爆発しました。

計画したのは、倒産した計器製造会社の元社長(高倉健)と従業員(織田あきら)。

そして仲間の裏切りで脱落した元学生運動家(山本圭)。

それを聞きつけた爆弾の売り主(郷鍈治)も計画は知っています。

前代未聞の事件の対応において、立場の違いで意見は別れます。

生真面目な新幹線当局の指令長(宇津井健)、短気で一本気な運転士(千葉真一)、乗客の安全や犯人の人権よりも逮捕ばかり先走る刑事(鈴木瑞穂、青木義朗ら)や公安(渡辺文雄)らとの間で様々な葛藤が。

一方車内でも、乗客パニックや妊婦(田坂都)死産のアクシデント、鉄道公安官(竜雷太)と車掌長(福田豊土)との間で、事件を知らせるかどうかの方針の違いなど立て続けに騒動が勃発。

その間、織田あきらや山本圭は警察の追跡で命を落とします。

なんだかんだで仕掛けた爆弾は無事止められ、主犯の高倉健も500万ドルを手に入れますが、その葛藤で疲れた宇津井健指令長は辞職を表明。

高倉健は、あと一歩で逃げられるはずだった空港で、別れた元妻(宇津宮雅代)と息子を見て動揺。

面が割れてしまった高倉健は、警察庁刑事部長(丹波哲郎)の命令で無慈悲にも射殺されてしまいます。

いまだに「ツッコミ」を入れられる名作


同作は、まずパニック映画です。

それと、オイルショック後だったので、高度経済成長を批判的にとらえる風潮があり、高速性と安全性(自動列車停止装置=ATS)を備えた新幹線をピンチに設定することで、イケイケの高度成長を皮肉った面もあるのではないかと思います。

ただ、短時間で制作した映画だったようで、観た人からは何十年経ってもツッコミが入ります。

それも、一部の鉄道マニアかそうした分野に詳しい人々の知識自慢だと思うのですが、新幹線の構造上そんなことはあり得ない、というたぐいの話が多い。

そりゃそーなんだろうけど、でもね、私にいわせれば、“それがどーした”なんですよね。

そんなことをいったら、どんな分野の作品でも、その道の専門家からすれば、「なんだそりゃ」というところはたくさんあると思います。

あとは、すでに逃げられないところまで犯人を追い詰めて、素手の犯人を射殺するのか、とか。

でも、救いのない失敗作なら、そこまでこだわらないでしょう。

みんな、なんだかんだ言って本作が好きなのです。

私は大変力作だと思っていますが、強いて言えば、犯人側の描写が少し足りなかったかな。

同作が評価されたフランス版では、テロリストのように扱われているという指摘がありますが、それは仕方ない面があります。

元学生運動家と倒産した中小企業経営者、さらに血を売るプータローの3人組ですからね。

彼らの挫折の理由を描いていれば、さらに感情移入できる作品になっていたでしょう。

音楽が合ってないというレビューもありますけどね。

これは誰も指摘していませんが、冒頭と最後などに使われているBGMは、宇津井健がその前年に出演したドラマ『顔で笑って』(1973年~1974年、大映テレビ、TBS)で使われています。

たんなる偶然でしょうか?

同作は、年頃の娘(山口百恵)と再婚相手(倍賞美津子)、さらに婿入りした義母(葦原邦子)や小姑(冨士眞奈美)らとのデリケートなやりとりをコミカルに、でも要所要所に切なさを感じさせるドラマでした。

そこでの宇津井健の格好良さや真面目さが、今作の起用のヒントになっていたのかもしれません。

指令長の役は、当初高橋英樹だったのが宇津井健にチェンジされたといわれています。

このあと書きますが、実は宇津井健こそがこの作品の主役だった、という話もあります。

ちなみに出演者の序列は、高倉健がトップ、宇津井健はトメ(一番最後)でした。

『新幹線大爆破』の今だから語れるエピソード

ということで、今日の本丸です。

『アサヒ芸能』(2015年1.29特大号)では、『新幹線大爆破』(1950年、東映)に関する裏話が、関係者の談話とともにまとめられています。

『アサヒ芸能』(2015年1.29特大号)より

『アサヒ芸能』(2015年1.29特大号)より

途中から出演表明した高倉健のために脚本が変更向に

まず同誌から引用します。

東映としてはオールスター大作にしようという方針で一本化。当時は「赤いシリーズ」を中心にテレビで活躍していた宇津井健を招くなど、豪華なキャストが集結。さらに“予想外の大物”が名乗りを上げた。
「こんなにおもしろい映画なら、どんな役でもいいから参加したい。もちろん、犯人役でもかまわない。
誰あろう高倉健であった。

要するに、キャストはすでに固まっていたところを、高倉健が後から自分の意志で入り込んできた、というわけです。

しかし、そのような意気込みで出演する東映の大物を、ストーリー展開と関係ないカメオ出演というわけにはいきません。

そこで、高倉健は犯人役に。

本当は国鉄・警察の側から描く作品だったのですが、当初予定していなかった大物が犯人役になったので、脚本は大幅に修正されることになったそうです。

「なぜ、犯行に至ったのかという犯人側のそれぞれの背景を書き足して、そのぶん、映画の流れを寸断しないだろうかと思ったよ」と、脚本の小野竜之助さんは振り返っています。

私は、むしろ「寸断しない」ことに気を使いすぎて、まだ「それぞれの背景」は十分ではないように思いました。

それゆえ、この話は、犯人側からでなく、国鉄や警察の側から描きたかったのではないかと思ったわけです。

いずれにしても、途中からモチーフが変わるのは、作品作りとしてはあまり望ましいことではありません。

爆破犯の側の葛藤は大切ですが、あまりそこにウエイトを置くと、国鉄・警察側の狼狽を描いたパニック映画なのか、犯人側の人間ドラマなのか、作品としての見どころが拡散してしまうからです。

でも、押しかけ参加で犯人役を演じた、高倉健の側から映画をPRしなければならない。

結局、『新幹線大爆破』はそのへんがはっきりせず、また映画の完成も遅れたこともあって、配給時は不入りでした。

後に同作はフランスでヒットしましたが、こちらはそうした“ダブルスタンダード”ではなく、明快なパニック映画として上映されたので、受け入れられたのではないかと私は思います。

高倉健のギャラは通常の半額だった

それ以外にも、いくつかのエピソードが出ていますが、それらはネットで読んだことあるかもしれません。

たとえば、国鉄が協力を拒んだという話。

そりゃそうですよね。『新幹線大爆破』なんて、そのものズバリのタイトルですから。

タイトルを変える妥協案も、当時の東映・岡田茂社長が譲らず、結局は車内シーンはおろか駅のシーンもセットに。

てっきり、新幹線爆破シーンで全部壊れたのかと思いましたが、セットは、その後放映された西郷輝彦主演のテレビドラマ『新幹線公安官』(1977年8月9日~10月25日、1978年4月3日~9月25日、東映/テレビ朝日)に流用されていました。

気になる高倉健のギャラですが、同作がオールスターキャストで特撮にもお金がかかるため、岡田茂社長の条件は通常の半分。

高倉健はギャラに厳しい俳優と言われていましたが、このときは「映画があたった時に成功報酬を支払う」ことで話がまとまったそうです。

今観ても色褪せない傑作

『新幹線大爆破』は、すでに多くの人が指摘しているように、何よりも出演者がすごい。主要メンバーだけでなく、川地民夫、北大路欣也、田中邦衛、志穂美悦子、多岐川裕美、岩城滉一など、当時の東映映画おなじみの俳優がワンシーンだけ出演して、オールスター出演の作品になっています。

当時は不入りで、成功報酬は入らなかったと思いますが、それまでギャングや任侠ヤクザばかり演じてきた高倉健が、町工場のオヤジで犯人役を演じたことで、「今までにない味わいが出た」(小野竜之助)ことが、その後フリーになってからの、いろいろな仕事につながっていったのではないでしょうか。

『新幹線大爆破』。まだご覧になったことのない方はぜひお勧めいたします。

以上、高倉健が東映時代に出演した『新幹線大爆破』は初めての町工場経営者で事件の犯人役。同作にはギャラが通常の半額だった、でした。

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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、曾祖叔父と“日本のケインズ”高橋是清の接点(仙台藩でワキジ時代のお世話役、そして姻戚関係か)を発見。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場からMMT支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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