麺喰屋Senmi(大田区矢口)は、オーソドックスなメニューにオリジナルの工夫をこらしたネオクラシック系ラーメン店として注目されています。大田区はラーメンの激戦区でネオクラシック系ラーメン店はほかにもあり、いずれも個性的なお店ばかりです。
麺喰屋Senmiはネオクラシック系の注目店
いわゆるラーメン店といっても、いろいろあります。
現代は、大きく分けるとその潮流は3通りと言われています。
ひとつは、ラーメン二郎や横浜家系ラーメンといった、豚骨ベースの新しい潮流。
もうひとつは、昔ながらの町中華。
そして3つ目は、「古くて新しいラーメン」のネオクラシック系です。
ネオクラシック系というのは、鶏ガラ・野菜等などから出汁を採る昭和的「昔ながら」の中華そばに、オーナーもしくは店主の「新しい」現代的な創意工夫を加えた「古くて新しいラーメン」です。
全21席で食券制
そのネオクラシック系のひとつとして注目されているのが、大田区矢口にある麺喰屋Senmiです。
麺喰屋Senmiは、環状八号線内回りに面したところにあります。
コロナ禍でも、閉店せずがんばっています。
東急多摩川線武蔵新田にほど近いところですが、ここはカンパチ沿いにラーメン店が何店も並ぶ激戦区です。
お店は、調理場に沿ったカウンターが9席、そのとなりにテーブルが12席(4×3)あります。
新しい店らしく、食券制です。
メニューには、らー麺(ラーメン)各種、つけ麺各種、トッピング、ご飯物などが記載されています。
やはり、寒い季節なので、らー麺、イッてみましょう。
塩らー麺
麺喰屋Senmiの塩らー麺は、塩ラーメンとタンメンを足して2で割ったようなオリジナリティのあるメニューです。
具材は、塩ラーメンらしく、メンマと煮玉子(半分)がトッピングされています。
そして、キャベツも含まれ、スープは清湯系ではなく白濁系です。
表面には膜が張っています。
鶏ガラ、豚骨、野菜などで作られるガラスープと、かつお節、さば節、そうだ節などの和風だしを合わせたといいますが、獣肉系、野菜、魚介のトリプルスープになっているのです。
白濁は、豚骨や鶏ガラでしょうね。
まろやかなコクのオリジナルスープです。
麺は縮れの緩やかな中細麺。
シャキシャキした太めのメンマが加わることで、食感にアクセントがついています。
胡麻らー麺
麺喰屋Senmiの胡麻らー麺は、おすすめマークが付いている自薦メニューなのです。
スープは味噌ラーメンに似た色で、ドレッシングのごまダレの色とも似てますが、味は胡麻醤油味です。
それだけごまがたくさん入っているのでしょう。
麺はやや縮れ目の中太麺で、メンマが太く、スープはあっさりめです。
ごまラーメンはお好きですか。
胡麻らー麺、塩らー麺、ともに作り方も味も上品な感じがしました。
ほかにもある大田区のネオクラシック系ラーメン
大田区はラーメンの激戦区ですが、ほかにも評価の高い店がたくさんあります。
ラーメン晃煇
ラーメン晃煇(大田区池上)は、鶏がらに鯛の頭を炊き込み旨味を出し尽くし動物系スープを合わせた塩味の鯛ラーメンが人気のラーメン店です。
具材は、ネットなどでも標榜している半熟味玉半個と揚げねぎ・フライドガーリックのほか、鳥つくね(軟骨入り)、豚バラ肉チャーシュー、かいわれ、白髪ねぎなどです。
鯛らぁめん 狐狸丸
狐狸丸(大田区西蒲田)は、工学院通り商店会にある宇和海産の真鯛と鳥取県産大山鶏のWスープのラーメンで人気急上昇の店です。
2つの個性を最大限に活かすため、別々に毎日スープを取り、一晩寝かせて旨みを凝縮させているそうです。
スープで使用した真鯛のアラを骨まで砕いて味を抽出。ブイヤベースのような旨みが凝縮された濃厚出汁としても使われています。
ラーメン大木戸 蒲田店
ラーメン大木戸蒲田店は、大田区の大森と蒲田の境である梅屋敷商店街(ぷらもーる梅屋敷)2番街にあります。いかにも中華料理店という看板ではなく、スナックのような佇まいのラーメン専門店です。
限定海老塩らーめんは、具材として、チャーシュー、穂先メンマ、輪切り白ねぎ、彩り良いみじん切り青ネギ、赤えび、シバエビ、タカエビなどが入っています。
スープを一口。味にエビの出汁を感じます。
中華sobaいそべ
中華sobaいそべ(大田区多摩川)は、白醤油ベースの白旨青湯系、濃口醤油ベースの黒旨淡麗系の2種類スープ、ストレート中太の自家製麺、海老や肉のしっかりつまった自家製ワンタン、化学調味料を使わず国産小麦の麺で勝負する本格派です。
黒旨にこにこワンタン麺は、ツルツルモチモチのストレート麺で、淡麗系の醤油スープは明らかに魚介系。しかし、魚粉を使う色とドロドロ感はなく出汁を取っているだけです。
それでもはっきりと魚介を感じるほど、かなりたくさんの魚を使っているのです。
中華そばさとう
中華そばさとう(大田区羽田)は、地味な店構えにシンプルな中華そばですが、煮干しと鶏ガラ出汁できちんと作った清湯系スープ。琥珀色のスープは豚骨ブームの昨今のラーメンとは一味違います。
ここは、以前ご紹介したこともあります。
主たるメニューは、中華そばとカレーライスだけ。
その都度作るのは中華そばのみという専門店です。
中華ソバちゃるめ
中華ソバちゃるめ(大田区萩中)は、豚骨や鶏ガラの動物系と、羅臼昆布や宗田節やサバ節などの魚介系をブレンドした清湯系スープにストレート麺が合う上品な味です。
昔ながらのあっさり中華そばを現代的に創作した、これまたど真ん中のネオクラシック系ラーメン店です。
器は、醤油ラーメンが洗面器型で、塩ラーメンが創作ラーメンでしばしば使われる純白な高台型の丼であるなど、こだわりがあります。
個性的だけに跡継ぎの心配も
というわけで、ネオクラシック系ラーメン店、いかがでしたか。
いずれもオーナー店主の個性とこだわりが感じられる逸品なのですが、ハードのおばちゃんでも大量生産できる大資本のチェーン店と違い、こうした店は調理人の換えがききません。
オーナー店主が休んでしまうと、それっきりです。
廃業したら、その味は永遠に再現できません。
そういう意味では、希少価値のある商品ではあるのですが、舌に馴染めば馴染むほど、そうした心配もしてしまいます。
以上、麺喰屋Senmi(大田区矢口)は、オーソドックスなメニューにオリジナルの工夫をこらしたネオクラシック系ラーメン店として注目、でした。
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