消安法施行を前にして、生活用品の耐用年数が話題になっている。正しくは、消費生活用製品安全法という。これは、製品の製造や販売の規制とともに、適切な保守を促進したり、製品事故に関する情報の収集 及び提供等の措置を講じる法律である。要するに、長く使うことによるトラブルを防ぐものである。
昨今の大量生産、大量消費に疑問を感じている私は、物を大切に使うことを美徳と考えている。
たとえば、パソコンは2002年リリースのもの(Windows Me搭載マシンにWindows XPをインストール)もいまだに現役である。外出時は、今流行のミニノートではなく、いわゆる青モバを使うこともある。
が、だからといって、どんなものでも、とにかく長く使えばいいとは思っていない。
消費者にとって、性能が向上したものを使った方が効率も良く省エネルギーにもなるはずだ。しかも、最近では安全性の問題が取り沙汰されている。高齢者の住宅では、長年使っていた家電が老朽化で発火して焼死する事故も続発している。
そもそも物に「永遠」はない。耐用年数の範囲で、技術の発展に背かない程度のリプレイスが適当だと思われる。
では、現在使っている家電の耐用年数はいったいどうなっているのだろうか。
そう思った私は早速、関連団体やメーカーなどに話を聞いてみた。
まず、最初に私の理解を助けてくれたのは経済産業省である。同省はこの問題について次の法律で対応することを説明してくれた。
「2009年4月1日に、改正消費生活用製品安全法(消安法)という法律が施行されます。これは、点検が容易でない製品として定められた特定保守製品と、電気用品安全法の技術上の基準で定められた、長期使用製品安全表示制度製品5品目(扇風機、換気扇、エアコン、洗濯機、ブラウン管テレビ)について、『設計標準使用期間』が定められたのです」
法律の文言はあいからずかたくるしい。さらに詳しくたずねると、「特定保守製品」というのは、ガス瞬間湯沸器、ガスふろがま、石油給湯機、石油ふろがま、密閉燃焼式石油温風暖房機、ビルトイン式電気食器洗機、浴室用電気乾燥機などのことを指すという。そして、「設計標準使用期間」というのが「耐用年数」にあたるそうだ。
つまり、光熱関係の機器と、一般家庭への普及率が高い家電5品目について、安全に使える耐用年数や注意事項を製品本体に表示するよう、メーカーに義務付けるということである。
問題はそれが何年かということだが、最大手電機メーカー・東芝にたずねたところ、「具体的数値についてはこの施行に向かって工業会などで検討中の為、公表できる数値はまだございません」と前置きしながらも、「概ね10年程度を想定している」と教えてくれた。今回の対象になっていない照明器具についても、同様に考えてよいという。
もちろん、10年たたなくても故障や挙動不審があれば、直ちに修理・メンテナンスは必要だが、とくに故障もなく通常の使い方なら、10年でリプレイスすることが健全な使い方ということである。
ちなみに同社からは、「補修用性能部品の保有期間」という参考資料をいただいたが、それによると、ラジオ、テープレコーダー、こたつ、パソコン、照明器具は6年、カラーテレビや電子レンジが8年、冷蔵庫が9年などとなっている。
同社はパソコンについても国際的なシェアを誇るメーカーである。Windowsが圧倒的シェアを誇るパソコンは、OSのバージョンアップ時がリプレイス時と考える人が多いが、PCUNIXのようなパッケージでないOSを使う場合、パソコンの寿命に合わせて長く使うこともある。その場合も、6年?10年が上限といったところだろうか。
家電以外の生活用具では、自転車についても自転車活用推進研究会というところにお伺いした。
それによると、「ちゃんとした(価格なら10万円近い)ものは40年くらいは普通に使える」とのこと。実際には2万円以下のいわゆるママチャリを使うユーザーがほとんどと思うが、その場合は2年程度、ひどいものは2ヶ月でガタが生じるものもあり、長く使うには整備が大切。ただし、整備すら満足にできない粗悪品も出回っているのが現実という。そうなると寿命以前に、まずは購入時に注意が必要ということか。心配な方は量販店ではなく、自転車専門店で購入した方がいいかもしれない。
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