枝豆といえば、食材として、ビールのつまみに、おやつにも欠かせない。まだ熟していない若い状態の大豆を刈り取ったもので、豆としての栄養価と、緑黄色野菜としての栄養価を兼ね備えているのが特徴だ。今回はその枝丸について書いてみよう。
豆としての栄養価、それはなんといってもたんぱく質である。大豆のたんぱく質は必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、肉や卵などの動物性たんぱく質に近いと言われる。
「畑の肉」と呼ばれる所以だ。さらに、肉類がコレステロールを上げる原因になりやすいのに対し、大豆のたんぱく質は逆にコレステロールの吸収を抑えてくれる。栄養価が高いうえに健康的、まさに理想的なたんぱく質なのだ。
一方、緑黄色野菜としての栄養価としては、ベータカロチン、ビタミンC、カリウムなどがあげられる。ベータカロチンは体内でビタミンAに変わり、粘膜や皮膚の抵抗力を高める。
ベータカロチンとして体内に残ったものは、活性酸素に対して抗酸化作用をもつ。ビタミンCはしみやそばかすの予防に効果的だ。免疫力を高めるはたらきもある。
カリウムは体内のナトリウムを排出し、むくみを予防する。食物繊維も豊富なので便秘予防にも一役買ってくれる。
このほか、枝豆にはビタミンB1が豊富に含まれている。ビタミンB1は別名”スタミナの素”とも言われる栄養素で、糖質を分解しエネルギーに変えるはたらきをする。夏バテ解消にもってこいの食品といえる。
このように、いわば「大豆の子ども」ながら、大豆以上のパワーを持つ枝豆、ビールのつまみだけにしておくのは勿体ない。おやつにお茶うけに、老若男女問わず大いに食べたいものだ。
だが、せっかく食べるならより美味しいほうがいい。
そこで、まずは選び方を見ていこう。
枝豆の品種は、白毛豆、茶豆、黒豆の3種類に大別される。最近は独特の香りと甘みを持つ茶豆が人気のようだが、茶豆風味の白毛豆もある。スーパーや八百屋で売られている枝豆は品種まで記載されていないことも多いので、○○豆にこだわるよりも、鮮度を重視して選ぶとよいだろう。
新鮮な枝豆はさやの色が濃く鮮やかな緑色で、表面の産毛がしっかりついている。豆は大きさが均一でまんべんなく入っているものがよいとされる。
では、枝付きのものと、さやだけをもぎとったものとでは、どちらのほうが鮮度が保たれているだろうか。これはまっぷたつに説が分かれる。枝付きのほうが新鮮という人は、光合成で作られた糖類やアミノ酸の元になる物質が収穫後も枝から供給されるため、新鮮な状態が長く続くとしている。
一方、さやだけのほうがよいという人は、枝から水分が蒸発するため、鮮度が失われるとする。
これについては、同じ時期に収穫した同じ品種の枝豆を比べたデータがあるわけではないので、どちらが正しいかはわからない。筆者は長年枝付きのほうが新鮮だと思っていたが、ここ数ヶ月いろいろな店で買った枝豆を食べ比べた経験から言わせてもらえば、枝付きだからといって必ずしも美味しいわけではないし、さやだけの袋入り枝豆でも十分美味しいものもある。
要はその店の管理状態によるのではないかと思う。当たり前のことだが、よく売れる(商品の回転のよい)信頼できる店で買うのが一番ということではないだろうか。
次に茹で方だ。枝豆は水洗い後、粗塩でしっかりもみ、表面の毛をとる。鍋に湯を沸かし、沸騰した状態で塩がついたままの豆を入れる。塩ごと入れるのは、湯の沸点を上げて手早く茹であげるためだ。茹で時間は品種によっても異なる。たびたび試食して茹で具合を確かめよう。
茹で上がったらざるにとって、塩を振る。扇風機などで急速にさますと緑色が鮮やかに仕上がる。水洗いはしないこと。熱いうちに食べるなら塩は適量で、冷ましてから食べる場合は豆に塩味がしみこんでしまうので、少なめに振っておくとよい。
茹でるのが面倒という向きには電子レンジもおすすめだ。粗塩でもみ、表面の毛をとった枝豆を水洗いして塩をいったん流し、耐熱性のビニール袋に入れて加熱。300グラムの枝豆で4?5分といったところか。
加熱後に塩を振ってできあがりだ。手抜きした分、味が落ちるのでは……と思いがちだが、案外イケる。大きな鍋のない少人数の家庭にもおすすめの方法だ。
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