肺がんで梨元勝氏が治療に入ったというニュースがあった。梨元勝氏は、喫煙者ではないので自身がびっくりしているようだ。ただ、それ以前に肺炎を何度か患い、肺に古い病巣があったそうである。中には、肺がんの原因について食生活をしている人もいる。
いずれにしても、喫煙者ではない梨元勝氏の肺がん治療に触れて、「2人に1人ががんになる」という生命保険、医療保険のセールストークでよくいわれている驚愕の宣伝惹句がまた活躍するだろう。
結論から述べると、「2人に1人ががんになる」という言い方は間違いではないが、これは後期高齢者になってからの確率であり若いうちはそれほどの確率ではない。
統計を見ると、“2人に1人ががんになる”は、一方で「70歳未満の男性、75歳未満の女性は80%超ががんにはならない」と言い換えることもできる。
たとえば、50歳よりも前にがんになるのは、男性で2.2%、女性で4.4%に過ぎない。
つまり、50歳以前なら、実はがんは「95%から98%の人が無縁」ということだ。
となると、「科学的、批判的」な人々はがん保険、医療保険なんかいらない!
という主張になるかもしれないが、それはどうだろうか。
交通事故に遭う確率よりは高いのだから、見方によってはこの統計はむしろがん保険の再評価につながる話かもしれない。
がん保険は若いうちに入った方が安いし、入ったことで医療費に対する不安もある程度解消される。
要するに統計を見てどう思うかは、科学ではなく価値の問題になる。
ただ、もし平均寿命だけ生きたとしても、人生の大半を担がん者として過ごさずに済む可能性が「2人に1人」よりもずっと高いことが明らかになったという意味で、「2人に1人ががんになる」というセールストークにいたずらに怯えない、踊らされないようにする、という意義はあるだろう。
冒頭の話に戻るが、梨元勝氏によると、たばこは吸わないが、以前、肺炎で肺が真っ白になったことがあるという。
肺がんの原因は喫煙が70%、それ以外は、受動煙、化学物質、肺の既往症などが考えられるという。
梨元勝氏も「既往症」がきっかけになったのだろうか。
コメント