カップヌードルがカップ焼きそばに負けた!?全国のスーパーマーケットにおけるカップ麺の売れ筋ランキングで、今夏『カップヌードル』が首位から陥落。『日清焼そばU.F.O』がカップヌードルを抜き去ったそうですが、カップヌードルの価値は微動だにしません。
カップヌードルの時代は終わったのか
カップ焼きそばはリピート率を見てもカップヌードル以上の数値
カップヌードルが「負けた」データとは、全国5000万人規模の購買履歴データを収集・分析するビッグデータ企業『TrueData』の協力のもと、全国のスーパーマーケットでの、6月1日~8月31日における販売数量から算出したカップ麺の「売れ筋」商品ランキングだそうです。
http://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/0/4/04375_1413_39f331be_2084f9c3.jpg より
昨年も、夏場だけは日清焼そばU.F.Oがカップヌードルに勝っていたそうですが、今年はさらに商品のリピート率を見てもカップヌードル以上の数値が出ているというのです。
内田裕也の新CMと汁なしの濃い味が決め手とか
関係者が騒然とする事態に カップヌードルが焼そばU.F.Oに完敗 #ldnews https://t.co/pb9RjkfsOg
— 倉持 薫 (@l4ikwgs8) 2018年12月7日
記事によると、今年続々と発売した『日清焼そばU.F.O 濃厚激辛ソース焼そば』などの新商品が好調に推移しており、その背景には、新CMにミュージシャンの内田裕也の起用があたったそうです。
さらに、焼きそばには汁がないので暑さが軽減される、猛暑になると人は濃い味を求めるようになるなどの理由で、カップヌードルではなく、カップやきそばを選ぶ人が増えたと書かれています。
Web掲示板の反応はとくに驚きもなし
では、Web掲示板では、カップヌードルがカップ焼きそばに“破れた”ことをどうとらえているでしょうか。
いくつか抜粋してみます。
>UFOの方がカップヌードルよりだいたい20円安いからね>汁物部門と汁捨て部門に分けろや
>熱い時に汁物食べたくなくなるのは必然やろ
>僅差なのに完膚なきまでに打ち負かすって意味わからん
>カップ焼きそばはペヤングがダントツ首位かと思っていた
>焼きそばはカップ麺より麺の量が多いから…
>ヌードルとヤキソバやん 異種格闘技戦やん
>最近、カップヌードルが高くなってるんだよね それでプライベートブランド系に流れてるんじゃね
ネットの反応は、とくに焼きそばを重視しているわけでもなく、「そういう結果ならそれでいいんじゃね」といったところでしょうか。
まあ、いずれにしてもいえるのは、これをもってしても、カップヌードルの衰退というわけではないということです。
例えば、「普通のカップヌードルは、特別美味くもないのだが、安心する味である。」とのコメントがあり、カップヌードルの消費は今後もきちんと数字を出していくのではないでしょうか。
カップヌードルの歴史について考える
カップヌードルはもともと100円でスタートした
カップヌードルが発売されたのは1971年です。
当時の値段は100円でした。
今とほとんどかわりませんが、現在とは貨幣価値が違います。
当時はインスタントラーメンが1袋35円、そば屋のかけそばが90円の時代ですから高級品です。
それでも、鍋を使わずに容器のままお湯を入れて食べるのは実に新鮮でかつ便利でした。
今はわかりませが、当時は袋のラーメンを鍋で茹でて、丼がないか、洗うのが面倒かで、鍋からそのまま食べる人もいたぐらいです。
もちろん、その新鮮さだけでカップタードルが40年以上も長く消費されているわけではなく、その時代のニーズをきちんと取り入れながら進化していることが考えられます。
カップヌードルは具材とスープの原料が向上
カップヌードルの味の変化については、日清食品にお尋ねしたことがあります。
カップヌードルができたばかりの頃に比べて、美味しくなったように感じたからです。
「“基本的な味”は、1971年の発売当時から変えておりませんが、より愛されるようにと、具材の質・量の改良を行っております」(広報部)
ではその「基本的な味」と「具材の質・量の改良」について考えよう、カップヌードルの発案者である安藤百福氏の呼びかけで設立された、日本即席食品工業協会にお伺いしています。
即席めんについてはJAS規格が昭和40年に定められており、現在国内の約8割の商品がこの規格に適合しております。JAS規格においてめんに使用できる食品添加物はその物質名で制限されており、30年前と比べて大きな変化はないと思われます。またかやく、スープについても保存料や合成着色料など使用してはいけない規定があることから大きな変化はないと思われます
「大きな変化はない」とのことですが、これは保存料、添加物、着色料などについての話ですね。
さすれば、カップヌードルの麺やスープの材料についてはどうでしょうか。
原材料については加工技術の進歩により種類が大幅に増加しています。めんの原材料は小麦、でんぷん、食塩、油とほぼ変わっていませんがかやくはスープの原材料はその種類が増加しています。
たとえばかやくではチャーシューや海産物(海老、わかめ、ホタテなど)野菜がレトルト加工技術や乾燥技術の向上により数多くのものが使用できるようになりました、スープにおいてもかつては粉末状態のものが主でしたが液体状のものが添付できるようになり、醤油一つをとっても様々な種類のものを採用しているようです。(日本即席食品工業協会)
カップヌードルと特定したわけではなく、即席めん全般についての話との留保はつきますが、どうやらカップヌードルの場合として考えると、「かやく」と「醤油一つをとっても様々な種類のものを採用」というところが進化の根拠として挙げられそうです。
ですから、結論としてまとめてしまうと、カップヌードルの進化は具材とスープの原料が向上したといっていいかもしれません。
カップヌードルの「秘密」について調べる
カップヌードルで懸念された中華料理店症候群について
カップヌードルに限らず、インスタントラーメンばかり食べるのは体に悪いと言われます。
具体的には、中華料理店症候群(チャイニーズ・レストラン・シンドローム)という「中毒」になるという話もあります。
グルタミン酸ナトリウムの摂取で頭痛、体の痺れなどを起こすとされるものです。
即席麺で使用する旨み成分の調味料は、高カロリーで比較的安価な中華料理店でも使われているものでもあり、それは化学的に作られたもので体に悪い、という話です。
「化学的に作られたもの」というのは、化学調味料であるグルタミン酸ナトリウムです。
グルタミン酸を原材料とする「味の素」が、石油で作られていると言われたことがあったのです。
旨み成分のグルタミン酸ナトリウムは石油で作るから、インスタントラーメンは石油汁を食べているようなものだ、などという酷評も一部にはあり、それはいきおい、インスタントラーメンは体に悪いというイメージにつながるわけです。
この件についても、味の素広報部にお尋ねしたところ、石油由来についてはこう教えてくれました。
「『味の素』の原材料であるグルタミン酸は、1962~1973年の一時期に、発酵法による製法の他に、石油からつくられるアクリロニトリルを使用して製造していましたが、効率が悪かったため中止され、1973年以降はさとうきびの糖蜜やキャッサバやとうもろこしのでんぷんなどを原料とした発酵法のみで製造されるようになりました。」
1973年までは、「石油由来」を使っていたということは、カップヌードルの出始めの頃は石油由来の調味料だったことになります。
しかし、現在の、糖蜜やキャッサバやとうもろこしのでんぷん由来のグルタミン酸については安全であると断言しています。
「1987年には世界中の研究機関で行われたグルタミン酸ナトリムの安全性に関する研究成果をもとに国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)のFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)がグルタミン酸ナトリムの安全性について評価を行い、使用量の制限はなく、大人から幼児にいたるまでどなたでも(妊娠している方、赤ちゃんにも)安心してご使用いただけ、安全であると評価しています」(お客様相談センター)
中華料理店症候群(チャイニーズ・レストラン・シンドローム)は、JECFA(国際連合食糧農業機関=FAO、世界保健機構=WHOの合同食品添加物専門家会議)、 FDA(米国食品薬品局)、EUFIC (ヨーロッパ食品情報会議)、 SCF(欧州連合食品科学委員会)などで、臨床試験や議論がなされたものの、グルタミン酸ナトリウムとの間には相関関係は確認されていないといいます。
そして、グルタミン酸は脳関門を通過できないので、意識や脳障害などの原因にもならないそうです。
では、先に述べた頭痛、体の痺れの理由はどうかというと、グルタミン酸ナトリウムそれ自体ではなく、ナトリウム(つまり塩分)の過剰摂取や、ビタミンB6の不足、酸化した油による消化不良や不快感などが原因ではないかと推測されています。
要するに、インスタントラーメン(炭水化物、脂質が多い)ばかり食べるのではなく、タンパク質やビタミンを取れる食品と併せて食べることがよいということでしょう。
賞味期限の切れたカップヌードルはいつまでなら食べてもいい?
カップヌードルを含むカップ麺は、保存食としても価値を認められています。
しかし、賞味期限が永遠というわけではなく、期限はカップに記載されています。
では、カップヌードルは、たとえば賞味期限を1日でも過ぎたら食べてはいけないのでしょうか。
1日ぐらいなら大丈夫のような気がします。
なら2日ではどうか、3日なら?
といっていたらキリがないわけですが、実際どのくらいなら大丈夫なのでしょうか。
セブンイレブンの広報室に「賞味期限の猶予期限」についてお伺いすると、「カップラーメンや缶詰、おかし、常温で保存できる魚肉ソーセージなどに記載している」(セブンイレブン)といいます。賞味期限を1~2日過ぎたからといってすぐに悪くなるものではないが、それを過ぎると徐々に味は落ちていくとか。
日本即席食品工業協会の話では、即席麺の多くは製造後5~6ヶ月の表示が行われているが、実際には8~10ヶ月間保存しても食べられるというテスト結果を得ているといいます。
カップヌードルとスープヌードルの違い
カップヌードルも誕生以来40年以上が過ぎ、商品群のバリエーションも様々です。
オリジナルのカップヌードルにはじまり、カレー、シーフード、チリトマト、しお、トムヤムクン、バターチキンカリー、濃厚ポークしょうゆなど様々ですが、公式サイトの「カップヌードル」の商品群にはならい“もうひとつのヌードル”として、スープヌードルというものもあります。
カップヌードルとスープヌードルの違いってご存知ですか。
スープヌードルは、カップヌードルと、カップヌードルミニの間のカロリーや麺の量です。
スープヌードルという命名は、麺の量が少なくなってスープが多めに見えるからか、スープカレー、スープスパゲティなど、「スープ」ものが市場に出回っていたので、スープと名がついた商品をリリースしたかったのか、どちらかではないかと思います。
スーパーで、「おっ、めずらしくカップヌードルの値段がふた桁に下がってる」と思って買ったものの、帰ってから確認したらスープヌードルだった、ということが2度ぐらいありました。
カップヌードを改めて考えるまとめ
こうしたこんにちに至るカップヌードル。
これからも、多くの人々に消費されることでしょう。
それにしても、日清食品の戦略かどうかわかりませんが、冒頭の元記事は日清食品にとっていい記事です。
自社の商品同士を競わせる記事は、それぞれのファンが今後燃えて、さらに売上を伸ばせる可能性が高い。
カップヌードルも、カップ焼きそばも、ますます数字を伸ばすでしょう。
以上、カップヌードルが日清焼そばU.F.Oに売れ筋ランキングで後塵拝すもカップヌードルの価値は微動だにせず心配無用な件、でした。
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