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血液型性格判断なんてゲノムの解読まで行われている現代で流行するが手っ取り早く人間評価の根拠を求める疑似科学な件

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血液型性格判断なんてゲノムの解読まで行われている現代で流行するが手っ取り早く人間評価の根拠を求める疑似科学な件

血液型による人間判断がまた話題になっています。ゲノムの解読まで行われている現代で、なぜそんなものが流行するのか不思議です。ネットを通じた「付き合い」が主流になり、人間評価の根拠を手っ取り早く疑似科学に求める風潮は決していいことではありません。

ゲノム解読の時代に「血液型で人間を判断する」不思議

血液型自体は科学(医学)だから信じるものもいるのでは?

今日話題になっているのは、ライブドアニュースです。

血液型別「幸運を呼ぶアイテム」。御瀧政子先生の2019年血液型占いです。

4つの血液型の特徴と、「2019年幸運を招くアイテム」が紹介されています。

しかし、血液型で人間を判断するのは、日本ぐらいでしょう。

たかが占いだから目くじら立てるな、という意見もあるかもしれませんが、血液型自体はれっきとした科学(医学)。

そこで、血液型別の人間評価は、何かしら根拠があるのではないか、という思いがあるからこそ、これだけ科学の発達した時代に、血液型を人間判断に持ち出すのでしょう。

同じ人でも血液型はかわってしまうもの

血液型とは、血液中に4通りある赤血球の抗原タイプをあらわしたものです。

血液型は骨髄移植でも変わるし、最近ではアメリカ・ハーバード大などの国際研究チームが、AとB、AB型の赤血球を、O型の赤血球に変えることのできる酵素を開発したというニュースもあります。

その程度のものです。

血液型性格判断ができた経緯

最初にいい出したのは医師だった

日本で、血液型と性格の関係に最初に言及したのは原来復という医師です。

そして、「流行」させたのは東京女子師範学校(現お茶の水女子大)の古川竹二教授です。

彼らは、それを占いではなく科学だといい張りました。

医師や学者がそういうのだから、大衆は「きっと本当なのだろう」と鵜呑みにしたんでしょうね。

ひところブームになったそうです。

科学的な根拠のある「血液型と性格関連説」は存在しない

それを焼き直して、現在の血液型性格判断を作ったのは、1970代後半から80年代に大量に関連啓蒙書を上梓した能見正比古・能見俊賢さんの親子や、鈴木芳正という人たちです。

彼らは、もまた、これは占いではなく「人間学」だと言い張りました。

具体的に、どう科学なのか。

たとえば、能見正比古・能見俊賢さんは、例として有名人を挙げました。

代議士(衆議院議員)、プロ野球選手、タレントなどの血液型分布を例に挙げ、「政治家は◯型が多いから◯型は政治家タイプ」「プロ野球の新人王は×型が少ないから、×型は大器晩成」「□型のキャスターAと■型の女優Bが破局したのは、□型の短気なところと■型の優柔不断さが災いした」などと「考察」しました。

書籍やテレビなどで、有名人を例に出して統計まで出されることで、何となく当たっているような気にさせてしまうわけです。

しかし、その統計にどれだけ意味があるのか、つまり根拠としての統計の「読み」自体を検証しなければなりません。

心理学者や統計学の専門家らは、それを一笑に付しました。

能見正比古・能見俊賢さんらが指摘する職業・性格による血液型分布の偏りは、学問的には立証できないとしたのです。

要するに、「△型」と職業や性格などの関連は見られない。

血液型性格判断は科学ではないということです。

血液型性格判断の真偽を決める統計は?

『血液型性格判断の虚実』『血液型性格判断のウソ・ホント』(草野直樹・著、かもがわ出版)では、2008年度のプロ野球選手の血液型分布を調べています。

【2008年度プロ野球選手血液型分布(『週刊ベースボール』2008年2月23日増刊号より)】
A型……投手143名、野手146名(37.9%)
O型……投手115名、野手117名(30.4%)
B型……投手80名、野手92名(22.6%)
AB型……投手27名、野手42名(9.1%)
不明……投手41名、野手27名

「不明」のほとんどは外国人(アメリカ)選手です。

それを見てもわかるように、プロフィールとして血液型を公開し、何よりその人自身が血液型にこだわるのは西欧先進国ではありえないことなのです。

この統計の結論は、プロ野球選手の血液型分布では、統計的な血液型の偏りはない。

つまり、「◯型だから野球選手に向いている」などという考察は科学的に成立しない、ということです。

血液型性格判断は民族の差別にもつながりかねない

血液型の分布は民族や人種で違う

そもそも、血液型の分布は、民族や人種で違いがあります。

図録▽血液型の国際比較

日本人の場合、各血液型の出現頻度はおおよそ、A型が4割、O型が3割、B型が2割、AB型が1割といわれています。

A型が多いのは、アメリカの黒人、フランス、ドイツ、ハンガリー、フインランド、ポーランドなど。

一方、O型最多は、アメリカインディアン、エスキモー、オーストリア、イギリス、イタリア、中国など。

B型最多は、インド、ジプシー、アイヌなどです、

ドイツのヒルシュフェルトという医師は、第一次世界大戦終結の年に兵士の血液型を調査。

白人にA型が多く、中近東やアジア・アフリカにいくに従ってB型が多い調査結果の「違い」を知り、それを「白人が優秀である」ためとこじつけました。

差別や社会制度を決めるときの口実に

血液型性格判断の怖いところはそこにあります。

差別や社会制度を決めるときの口実にされてしまうことがあり得るのです。

そもそも、血液型で性格を判断していたら、人間関係の構築の妨害でしかないでしょう。

疑似科学だからダメなんで、占いならいい、というものでもありません。

事実として認めるに至らなくなって、自分が信じたら同じことだからです。

根拠がない上に差別の温床にもなっている血液型人間判断。

あなたはそれでも、血液型で人を語りたいのですか。

以上、血液型性格判断なんてゲノムの解読まで行われている現代で流行するが手っ取り早く人間評価の根拠を求める疑似科学な件、でした。

血液型性格判断のウソ・ホント (講座・超常現象を科学する)
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「血液型性格判断」の虚実 (講座・超常現象を科学する)
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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