「プロ野球総選挙」で通算勝率5割そこそこの野村克也さんが球史に残る名監督ランキングの第1位に選ばれた2つの理由

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「プロ野球総選挙」で通算勝率5割そこそこの野村克也さんが球史に残る名監督ランキングの第1位に選ばれた2つの理由

『プロ野球総選挙』という24日放送された「プロ野球総選挙~レジェンド選手編~」(テレビ朝日系)で「球史に残る名監督ランキング」の第1位になったことが話題になっています。4球団で指揮を執り日本一3回の野村克也氏は「恐縮するね」と頭をかいたとか。

勝率5割そこそこでも第1位に輝いた

川上哲治よりもONよりもノムラが上

同番組は、『ファン1万人がガチで投票!本当にスゴいプロ野球選手ベスト30』と銘打ち、上位30選手をカウントダウン形式で発表。

その番外として、『プロ野球ファン1000人が選ぶ球史に残る名監督ランキング』としてトップ10も発表されたそうです。

その結果、野村克也さん球史に残る名監督ランキング1位というわけです。

番組で紹介されたベスト10をそのままご紹介します。

1位……野村克也(ヤクルト)
2位……川上哲治(巨人)
3位……星野仙一(中日)
4位……王貞治(巨人)
5位……長嶋茂雄(巨人)
6位……仰木彬(オリックス)
7位……落合博満(中日)
8位……森祇晶(西武)
9位……三原脩(西鉄)
10位……吉田義男(阪神)

まあこれは、記録よりも記憶に残る、ということなんでしょうね。

ケチを付けるわけではありませんが、野村克也監督は、生涯戦績が5割そこそこですから。

一方で、野村克也さんは選手としては7位にとどまったそうですが、戦後初の三冠王という現役時代は、ファンの記憶には思ったほどとどまっていないのかもしれません。

金を使えてたらもっと強かっただろうな

この結果に対して、Web掲示板ではどのような反応があるのでしょうか

見ていきましょう。

>鶴岡一人なしとか

>ええで

>森が入っていて、広岡がない???広岡が1位でもいいくらいだが

>野村が星野みたいに金を使えてたらもっと強かっただろうな

>西本さんは何位かなここというときに勝ち運が無かったけどね。

>当時巨人ファンだったけどヤクルトがほんと嫌なチームに変わったんだよ それまでお得意様だったのに

>古葉がないのに驚き

>いやぁー落合だろー 最高に楽しかったぞ落合監督時代 試合後の談話が楽しみだった

>生きてたら川上監督は神様と言われてたから1位だろ。しかし川上支持する人達も過半が鬼籍に入ったから2位に落ち着いたか。野村支持者が逝ってしまったら王さんが1位かもな。


まあ、これも人気投票ですから、いろいろな意見があるわけです。

私が見たところ、野村克也さんが1位になった理由は2つあると思います。

野村克也をナンバーワン監督とする理由

野村沙知代さん一周忌の手記が涙を誘った

野村沙知代さんが亡くなって、野村克也さんがどう暮らしているか、何を考えているか、野村沙知代さんに何を思うか、という手記が週刊現代に発表されました。

ここに抜粋したものをご紹介します。

こんな別れがあっていいのか。そう思った。あんなに強かった女が、あまりにもあっけない。人間の最期とは、かくも唐突に訪れるものなのか。

〈今日の仕事、沙知代はなんて言うかな〉
彼女の反応が、私の活力になっていた。
いま、家にいるときはテレビが唯一の話し相手。画面に向かってボヤくしかない。

「亭主が手持ち無沙汰でウロウロしていたら、家の中は真っ暗になるし、そのうち病気になっちゃうじゃない。だから、私はあなたを休ませないの。これも内助の功。妻の愛よ」(中略)
この年になっても、私がこうして仕事をいただけるのは、紛れもなく彼女のおかげだ。

めったに言葉を荒らげることのない私だって、何度怒鳴りつけてやろうと思ったかわからない。
だけど、彼女と別れようと考えたことは、人生で一度たりともなかった。
「俺以外に、お前と上手くやっていける人間が、この世にいると思うか」
そういう気持ちだった。

私は生来の不安性で、ふとした瞬間に弱気の虫が顔を出す。そんなとき、平然とした顔で「なんとかなるわよ」と励ましてくれる彼女に救われた回数は、数限りない。
悪妻かどうかは、周囲ではなく、夫である私が決めること。何度聞かれても、私は断言できる。
「サッチーは、これ以上ない最良の妻であり、私にとっての最高のラッキーガールだった」と。

そして夜、独りの家に帰ってきて、妻の位牌に語りかける。
「サッチー、君がいない毎日は、本当につまらないよ」
こんなボヤきを聞いて、彼女はどう応えるか。それは、なんとなくわかる気がする。
「大丈夫。なんとかなるわよ」
そうだよな、あとちょっと、生きてみようか。


この手記がなぜすばらしいかというと、2つのポイントがあります。

夫婦のことは夫婦が決める

野村沙知代さんがマスコミで取り沙汰されるたびに、野村克也さんは「どうして沙知代なんかと結婚したんだ」といわれたものです。

しかし、そんなこと大きなお世話なのです。

野村克也さんは、野村沙知代さんの経歴の嘘はわかっていたと述べています。

そして、「めったに言葉を荒らげることのない私だって、何度怒鳴りつけてやろうと思ったかわからない」とも述べており、衝突することもあったのです。

別に盲目的な“婦唱夫随”ではない。

それでもやはり、サッチーが一番なんだと野村克也さんは言っているわけです。

恐妻=悪妻ではない

ブツブツ内にこもってしまう野村克也さんに対して、「なんとかなるわよ」という野村沙知代さんの励ましは、大きな糧になっていたようです。

悪妻と言いますが、では何をもって悪妻で、何をもって良妻なのか。

夫についてくるだけの「良妻」だったら、野村克也さんは前に進めなかったと言っているのです。

たくさんの書籍の上梓

そして野村克也さんは、たくさんの書籍を出しています。

中身はほとんど同じなどと一部にはいわれますが、とにかく新刊を出し続けることで、知名度を固めていくわけです。

たとえば、『プロ野球重大事件』(角川文庫)によると、野村克也監督は、「弱者の戦法」を標榜しています。

弱いチームが強いチームに勝つには、漫然と戦っていてもかなうはずがありません。

そこで、かつての新左翼のスローガンではありませんが、「一点突破の全面展開」で活路を見出したわけです。

1973年。2シーズン制だったパ・リーグで南海ホークスは激戦の前期を優勝。

すると、後期は無敵の阪急ブレーブス相手に全敗して「死んだふり」をします。

勝敗ド返しで相手観察し、プレーオフの最終戦で阪急を破ってリーグ優勝を遂げているのです。

弱い者が強い者に勝つには、頭を使わなければならない。

野球は頭でするものだ、というのが野村克也監督の持論です。

で、人間はだいたいが凡人ですから、「弱者の戦法」は大変興味があるところです。

野村克也さん1位のまとめ

野村克也さんは、不器用そうでいて、セルフプロデュースが上手い人です。

ただし、それは狙ったものではなく、野村克也さんの人柄から出てくるものであるのでしょう。

実際の戦績以上に、野村克也さんの人となりが評価されたと言えそうです。

かつてのチームメートだった門田博光さんは、『日刊ゲンダイ』のインタビューで、「おっさん(野村克也監督)は負けたら選手のせい、勝ったら自分の手柄」といいながら、「でも、もう1度若くなって野球がやれたら、おっさんと野球がやりたいな」と述べていますが、それが全てではないでしょうか。

以上、「プロ野球総選挙」で通算勝率5割そこそこの野村克也さんが球史に残る名監督ランキングの第1位に選ばれた2つの理由、でした。

プロ野球重大事件 誰も知らない”あの真相” (角川oneテーマ21)
プロ野球重大事件 誰も知らない”あの真相” (角川oneテーマ21)

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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