フコイダンにはアポトーシス誘導作用はない?
フコイダン、ご存知だろうか。キノコ系健康食品が以前ほどの価値を語られなくなり、今や、健康食品の代名詞ともいえる存在になった。先日も、あるSEO関連団体のセミナーを聞いていたら、フコイダンのゆるがせにできない話が出てきた。フコイダンはアフィリエイト商品として美味しいのである。とくに、いわゆる低分子型のフコイダンは1本5万円近くするため、アフィリエイト報酬も比較的高くなる。その上健康食品はリピーターも多い。
が、そこで聞いた「ゆるがせにできない話」はそういうことではない。
フコイダンを薄めて量を増やし、瓶の量を多くする業者がいる、という話である。
そんなインチキをしていたのが事実なら、消費者問題としてゆるがせにできない。
フコイダンというのは、「硫酸化多糖類(硫酸化フコースポリマー)」のことで、海藻類にあるヌルヌル成分といわれている。
しかし、健康食品としてはそれらを抽出したものもあれば、海藻類ごと低分子化した飲料として売られているものもあり、化学成分として厳密に定義されているわけではない。
フコイダンは、他の健康食品に比べて独自の作用があるといわれている。
どう「独自」なのか。いわゆる「抗がん健康食品」は、服用者の免疫力を高めてがんを治すことになっているが、フコイダンは、それ自身ががん細胞に攻撃を加え、アポトーシス(細胞自殺)させるというのだ。
つまり、免疫力が回復しない人でも奏効する期待がある、という触れ込みなのである。
宝酒造のバイオ事業部門が、1996年の日本癌学会で、「ウロン酸を多く含むタイプのフコイダンには、ガン細胞に対してアポトーシスを誘発する」ことを発表したため、フコイダンの業者は必ずといっていいほどそれを宣伝文句に使っている。
だが、この研究は「シャーレ上」であり「ヒト」を対象としたものではない。
また、多くの健康食品業者にフコイダンを卸しているタングルウッドという会社は、「フコイダンにはアポトーシス誘導作用はない」といっている(タングルウッド社『フコイダンの概要』)
いったい、本当のところはどうなのか。
「アボトーシス」を宣伝文句に使っている業者は、いかなる根拠でそう言い切っているのか。
筆者は、インターネットのWebサイトでフコイダンを「抗がん健康食品」として推奨する11の「会」「研究所」と名の付くところに片っ端から質問をしてみた。ところが、残念ながら結果は芳しいものではなかった。
まず、回答自体がたった5団体からしか返ってこなかった。さんざん「アポトーシス」をセールストークにしているのに、あとの6団体は自らの拠って立つものもないか、もしくはきちんと述べられないまま、耳障りのいい言葉を並べているということになる。これはもう論外だ。
回答があった5団体のうち、「アポトーシス」を宣伝する根拠は「宝酒造説による」と回答したのが2団体。ただそれらはいずれも、タングルウッド社の説に全く言及していない。
要するに、「いろいろ説はあっても、宝酒造がアポトーシスと言っているのだからそう宣伝しているんだよ」ということらしい。
しかし、そもそも宝酒造は、どんなフコイダンにでもアポトーシス誘導作用があるとは言っておらず、「ウロン酸の割合の多いフコイダン(いわゆるUーフコイダン)」のみにそれがあると言っているに過ぎない。ところが、「2団体」は自らの推奨するフコイダンが「Uーフコイダン」である、とは言っていない。
つまり、「Uーフコイダン」でもないのに、「Uーフコイダン」のみがあるとしている作用をあたかも自分たちの推奨するものを含めたフコイダンと名の付くもの全てにあてはまるように宣伝していることになる。
さらにいい加減な団体もあった。曰く、
「フコイダンはそもそも定義が定まっていないから、タングルウッド社の分析は正しいともいえるがそうでないともいえる」
「一般的にわかりやすい形でお伝えする意味でフコイダンには抗腫瘍作用があると認識している」
フコイダンの「定義が定まっていない」といいながら、他者のフコイダン研究の真偽を「そうではないともいえる」と否定し、その一方で「抗腫瘍作用があると認識している」などと言い切る。
「定義が定まっていない」ものに、どうやって「一般的に」「抗腫瘍作用」を「認識」できるのか。そのデタラメな論理には驚くばかりである。
結局、自らの仮説をきちんと述べてくれたのはわずか2団体だけだった。 そのうちのひとつは、フコイダン自体にアポトーシス誘導作用がないことを認めつつ、「フコイダン(高分子多糖類)を分解したフコースを中心とした単体糖質栄養素(単糖)にその作用(アポトーシス誘導)がある」と推理している。
もうひとつの団体は、モズクから抽出される低分子画分フコキサンチン様の成分にあるカロチノイドの一種に、抗腫瘍作用があるとしている。もちろん、これらについても仮説の段階であり、科学的に認知されたわけではない。
いずれにしても、これが業者たちの「アポトーシス大合唱」の根拠を調べた偽らざる実体だ。
業者がいい加減だから、その健康食品には絶対に期待できない、とまではいえない。これだけで、フコイダン自体を否定するつもりはないし、研究は引き続き行えばよいと思う。
しかし、業者のデタラメな態度が、健康食品を巡るトラブルの原因になっていることも確かなのである。
↓フコイダンの真実に言及している書籍
フコイダンを薄めて量を増やし、瓶の量を多くする業者がいる、という話である。
そんなインチキをしていたのが事実なら、消費者問題としてゆるがせにできない。
フコイダンというのは、「硫酸化多糖類(硫酸化フコースポリマー)」のことで、海藻類にあるヌルヌル成分といわれている。
しかし、健康食品としてはそれらを抽出したものもあれば、海藻類ごと低分子化した飲料として売られているものもあり、化学成分として厳密に定義されているわけではない。
フコイダンは、他の健康食品に比べて独自の作用があるといわれている。
どう「独自」なのか。いわゆる「抗がん健康食品」は、服用者の免疫力を高めてがんを治すことになっているが、フコイダンは、それ自身ががん細胞に攻撃を加え、アポトーシス(細胞自殺)させるというのだ。
つまり、免疫力が回復しない人でも奏効する期待がある、という触れ込みなのである。
宝酒造のバイオ事業部門が、1996年の日本癌学会で、「ウロン酸を多く含むタイプのフコイダンには、ガン細胞に対してアポトーシスを誘発する」ことを発表したため、フコイダンの業者は必ずといっていいほどそれを宣伝文句に使っている。
だが、この研究は「シャーレ上」であり「ヒト」を対象としたものではない。
また、多くの健康食品業者にフコイダンを卸しているタングルウッドという会社は、「フコイダンにはアポトーシス誘導作用はない」といっている(タングルウッド社『フコイダンの概要』)
いったい、本当のところはどうなのか。
「アボトーシス」を宣伝文句に使っている業者は、いかなる根拠でそう言い切っているのか。
筆者は、インターネットのWebサイトでフコイダンを「抗がん健康食品」として推奨する11の「会」「研究所」と名の付くところに片っ端から質問をしてみた。ところが、残念ながら結果は芳しいものではなかった。
まず、回答自体がたった5団体からしか返ってこなかった。さんざん「アポトーシス」をセールストークにしているのに、あとの6団体は自らの拠って立つものもないか、もしくはきちんと述べられないまま、耳障りのいい言葉を並べているということになる。これはもう論外だ。
回答があった5団体のうち、「アポトーシス」を宣伝する根拠は「宝酒造説による」と回答したのが2団体。ただそれらはいずれも、タングルウッド社の説に全く言及していない。
要するに、「いろいろ説はあっても、宝酒造がアポトーシスと言っているのだからそう宣伝しているんだよ」ということらしい。
しかし、そもそも宝酒造は、どんなフコイダンにでもアポトーシス誘導作用があるとは言っておらず、「ウロン酸の割合の多いフコイダン(いわゆるUーフコイダン)」のみにそれがあると言っているに過ぎない。ところが、「2団体」は自らの推奨するフコイダンが「Uーフコイダン」である、とは言っていない。
つまり、「Uーフコイダン」でもないのに、「Uーフコイダン」のみがあるとしている作用をあたかも自分たちの推奨するものを含めたフコイダンと名の付くもの全てにあてはまるように宣伝していることになる。
さらにいい加減な団体もあった。曰く、
「フコイダンはそもそも定義が定まっていないから、タングルウッド社の分析は正しいともいえるがそうでないともいえる」
「一般的にわかりやすい形でお伝えする意味でフコイダンには抗腫瘍作用があると認識している」
フコイダンの「定義が定まっていない」といいながら、他者のフコイダン研究の真偽を「そうではないともいえる」と否定し、その一方で「抗腫瘍作用があると認識している」などと言い切る。
「定義が定まっていない」ものに、どうやって「一般的に」「抗腫瘍作用」を「認識」できるのか。そのデタラメな論理には驚くばかりである。
結局、自らの仮説をきちんと述べてくれたのはわずか2団体だけだった。 そのうちのひとつは、フコイダン自体にアポトーシス誘導作用がないことを認めつつ、「フコイダン(高分子多糖類)を分解したフコースを中心とした単体糖質栄養素(単糖)にその作用(アポトーシス誘導)がある」と推理している。
もうひとつの団体は、モズクから抽出される低分子画分フコキサンチン様の成分にあるカロチノイドの一種に、抗腫瘍作用があるとしている。もちろん、これらについても仮説の段階であり、科学的に認知されたわけではない。
いずれにしても、これが業者たちの「アポトーシス大合唱」の根拠を調べた偽らざる実体だ。
業者がいい加減だから、その健康食品には絶対に期待できない、とまではいえない。これだけで、フコイダン自体を否定するつもりはないし、研究は引き続き行えばよいと思う。
しかし、業者のデタラメな態度が、健康食品を巡るトラブルの原因になっていることも確かなのである。
↓フコイダンの真実に言及している書籍