どんなものにもデメリットがある
レーシックによる角膜炎感染の判決が話題になっている。すでに被告自身が事実関係を認めていたが、判決は業務上過失傷害罪で禁錮2年(求刑禁錮3年)の実刑を言い渡した。
すべてのレーシック手術がこの眼科のようなトラブルを起こすわけではないが、一般にレーシックには衛生上のリスクがあることは確か。
すべてのレーシック手術がこの眼科のようなトラブルを起こすわけではないが、一般にレーシックには衛生上のリスクがあることは確か。
そうした注意をしないイケイケドンドンの宣伝に一役買った広告塔タレントの責任は見逃すべきではないと思うがどうだろうか。
近年、近視矯正にレーシック、またはイントラレーシック手術が流行しているような印象がある。少なくともネットのアドセンスには、特定のキーワードがなければ1つは出てくるし、スポーツ選手や芸能人、その他、高い視力が必要な職業の人々が広告塔になって「体験談」を語り、レーシック手術が安全でかつ視力矯正のトレンドであるかのような宣伝が目立つ。
ここで例を挙げておきたいのは水道橋博士だ。
水道橋博士は、唐沢俊一との対談で、「近視矯正手術に対しては、これだけ安全なのにも関わらず定期的に叩き記事みたいなものが出てきます」とふり、「医学的見地からの警笛というより、業界的な圧力という色合いが強いんじゃないのかな。メガネ業界が大打撃を受けるじゃないですか、ものの10分の手術で半永久的に近視が治るんであれば……」などとマスコミの慎重な報道を批判している(http://www.aspect.co.jp/hakase/02.html)。
レーシックというのは、そんなに万能で安全なものではないだろう。
まず、レーシックは誰でもスンナリ受けられるものではない。たとえば、長年のコンタクトレンズ使用で角膜が薄くなっている場合は不適であり、視神経の乳頭に陥没の所見があると、眼圧に問題がなくても(つまりその時点で緑内障と診断されていなくても)待ったがかかる。
「眼圧が正常でも、正常眼圧緑内障という場合を警戒します。もし緑内障の可能性があったり、または緑内障と診断されている場合は、屈折矯正治療を受けてもよいという診断書が必要になります」(錦糸眼科)
40代以降で手術を希望する者には、こんな問題もある。
「レーシック治療では近視・乱視を矯正することは可能ですが、老眼は治療できません。既に老眼が始まっている方がレーシック治療を受ると、手元の細かいものなどを見る際には老眼鏡が必要となってくるデメリットがあります」(品川近視クリニック)
いったん削った角膜は元に戻らないので、そうなってから「手術前の方が良かった」といっても後の祭りだ。
「矯正視力が十分出ていない場合には手術が難しい可能性が高くなります」と、手術による成果の「限界」もあると前出の錦糸眼科は教えてくれた。
さらに、レーシック手術は一般に成人してから手術すれば、生涯その矯正視力が維持されるといわれるが、パソコンを日常的に使う者は、かりに視力が矯正されても、また戻ってしまう場合もかもしれないという忠告もある。タイガーウッズが、レーシック再手術経験者というのは有名な話だ。
近眼の誰でも、画期的に目が良くなるとは限らないというわけだ。
眼科によっては、レーシックやイントラレーシックが不適な場合、たとえば「角膜内リング」のような、白内障のような矯正を行うこともある。だが、それはそれで問題がある。
「レーザーによる矯正手術は、一般に医療保険の対象になります。つまり、レーシック手術は生命保険の医療保険に入っていた場合、所定の保険金が支払われます。ただし、それ以外の矯正術については、おそらくは他社もそうだと思いますが、支払いの対象にはなりません」(アクサ生命)
今度はコストの問題が立ちはだかる。
もちろん、レーシック手術によるメリットを切実に求める人に、それを否定したいわけではない。ただ、いずれにしても、、バラ色の宣伝に目を奪われず、どんなものにもメリットやデメリット、適不適があり、それらを総合的に考えなければならないということだ。
元院長に実刑=レーシック角膜炎感染―東京地裁
時事通信 9月28日(水)15時22分配信
視力矯正のレーシック手術を受けた患者を細菌性角膜炎に感染させたとして、業務上過失傷害罪に問われた銀座眼科(東京都中央区、閉鎖)元院長の溝口朝雄被告(49)の判決が28日、東京地裁であり、近藤宏子裁判官は禁錮2年(求刑禁錮3年)の実刑を言い渡した。溝口被告は起訴内容を認めていた。
近藤裁判官は「患者の衛生管理に関する最低限の知識すら欠いており、過失の程度は甚だしい」と指摘。「経済的利益を優先させ、手術数を増やしたいという考えから滅菌を怠るようになった。院内感染を疑うようになった後も対策を講じず、被害拡大への責任も重い」と批判した。
近年、近視矯正にレーシック、またはイントラレーシック手術が流行しているような印象がある。少なくともネットのアドセンスには、特定のキーワードがなければ1つは出てくるし、スポーツ選手や芸能人、その他、高い視力が必要な職業の人々が広告塔になって「体験談」を語り、レーシック手術が安全でかつ視力矯正のトレンドであるかのような宣伝が目立つ。
ここで例を挙げておきたいのは水道橋博士だ。
水道橋博士は、唐沢俊一との対談で、「近視矯正手術に対しては、これだけ安全なのにも関わらず定期的に叩き記事みたいなものが出てきます」とふり、「医学的見地からの警笛というより、業界的な圧力という色合いが強いんじゃないのかな。メガネ業界が大打撃を受けるじゃないですか、ものの10分の手術で半永久的に近視が治るんであれば……」などとマスコミの慎重な報道を批判している(http://www.aspect.co.jp/hakase/02.html)。
レーシックというのは、そんなに万能で安全なものではないだろう。
まず、レーシックは誰でもスンナリ受けられるものではない。たとえば、長年のコンタクトレンズ使用で角膜が薄くなっている場合は不適であり、視神経の乳頭に陥没の所見があると、眼圧に問題がなくても(つまりその時点で緑内障と診断されていなくても)待ったがかかる。
「眼圧が正常でも、正常眼圧緑内障という場合を警戒します。もし緑内障の可能性があったり、または緑内障と診断されている場合は、屈折矯正治療を受けてもよいという診断書が必要になります」(錦糸眼科)
40代以降で手術を希望する者には、こんな問題もある。
「レーシック治療では近視・乱視を矯正することは可能ですが、老眼は治療できません。既に老眼が始まっている方がレーシック治療を受ると、手元の細かいものなどを見る際には老眼鏡が必要となってくるデメリットがあります」(品川近視クリニック)
いったん削った角膜は元に戻らないので、そうなってから「手術前の方が良かった」といっても後の祭りだ。
「矯正視力が十分出ていない場合には手術が難しい可能性が高くなります」と、手術による成果の「限界」もあると前出の錦糸眼科は教えてくれた。
さらに、レーシック手術は一般に成人してから手術すれば、生涯その矯正視力が維持されるといわれるが、パソコンを日常的に使う者は、かりに視力が矯正されても、また戻ってしまう場合もかもしれないという忠告もある。タイガーウッズが、レーシック再手術経験者というのは有名な話だ。
近眼の誰でも、画期的に目が良くなるとは限らないというわけだ。
眼科によっては、レーシックやイントラレーシックが不適な場合、たとえば「角膜内リング」のような、白内障のような矯正を行うこともある。だが、それはそれで問題がある。
「レーザーによる矯正手術は、一般に医療保険の対象になります。つまり、レーシック手術は生命保険の医療保険に入っていた場合、所定の保険金が支払われます。ただし、それ以外の矯正術については、おそらくは他社もそうだと思いますが、支払いの対象にはなりません」(アクサ生命)
今度はコストの問題が立ちはだかる。
もちろん、レーシック手術によるメリットを切実に求める人に、それを否定したいわけではない。ただ、いずれにしても、、バラ色の宣伝に目を奪われず、どんなものにもメリットやデメリット、適不適があり、それらを総合的に考えなければならないということだ。
