血液型で性格を言いあてるのはヒントにはなる

血液型性格判断は、もとをただせば70年代の啓蒙本によって様々な影響を及ぼしたといわれている。

たとえば87年には、化粧品メーカーでお馴染みのポーラの付属機関の研究所が、首都圏に住む会社員の男女約220人を対象に「血液型と性格に関するイメージ調査」なるものも行っている。

それによれば、大多数の人が「血液型で性格を言いあてるのは無理だがヒントにはなる」と考えているとか。
各血液型のイメージとしては、「きちょうめん、生き方は保守的、カタブツ」(A型)、「ユニーク、面白いことを見つけるのが上手、個性第一主義」(B型)、「細かいことにこだわらない、感情面であっさりしている、楽しい人」(O型)、「本音がどこにあるのかわからない」(AB型)などの結果が出たそうだ。

「性格調査」といわずに「性格に関するイメージ調査」としているのは、表現がいささか曖昧な感じは否めない。そこからは、血液型と性格が関係があるかどうかという真偽や、それに対する確信のほどを調査するというよりも、とにかく血液型と性格は関係があるものにしたいんだ、という願いの調査という感じがする。

どうしてそうまでしてムキになって関連づけをしたいのか。このポーラの研究所には、むしろそうした心理状態の調査をして欲しいものである。

テレビでは、キャンデーの買い方に血液型で違いがある(森永製菓のハイチュウ)というコマーシャルも流れた。しかも、そのコマーシャルが流れて以来、売り上げが1年前に比べて40%も伸びたというのだから驚きだ。

消費者の血液型診断に対する関心の高さも売れ行きアップの一因と見ていいだろう。このCMでは「O型は八方美人で調子がいい」などと言いたい放題だった。

O型の人は、そんな失礼なことを言われても嬉々として買いに行ったのでか。

93年12月3日付「大阪読売夕刊」では、「O型のための」と銘打ったコンサートが大阪・阪南市のサラダホールで開催されることを報道した。

それによると「企画から選曲、演出まで、すべてO型の職員と当日演奏する室内合奏団の団員で練り、聴衆も対象は“基本的に”O型に限る」とか。O型は「実行力があり単純」という所見を前提に、プログラムは「フィガロの結婚」序曲などモーツァルト一色。着想を4年越しで実現させたのも「実行力」のO型職員だという。

O型は「実行力があり単純」だそうだが、はじめにその所見ありきで信じこんで徹底してしまうというのですから、本当に「単純」なコンセプトだ。

こうした試みに共通して言えることは、血液型による人間分類の決め手も、その必然性も、関係者の発想や努力
の甲斐もなくサッパリ明らかになっていないことだ。

だが、能見親子や鈴木芳正、さらにその亜流らが喧伝した血液型診断の影響はそれだけ大きく、それが現在にまでつながっているということである。

血液型性格判断のウソ・ホント (講座・超常現象を科学する)

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  • 作者: 草野 直樹
  • 出版社/メーカー: かもがわ出版
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 単行本