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テレビの“健康ショー”番組の実験がまた問題になったという話である。というのも、TBSが「過剰演出」で謝罪したそうだ。

テレビの“健康ショー”番組の実験がまた問題になったという話である。というのも、TBSが「過剰演出」で謝罪したそうだ。テレビのすべてがインチキというわけではないが、しょせん、特定の人間が特定の価値観で構成したものなのである。そのへんを忘れてはならない。

マスコミに対してはスケプティクスな立場を忘れてはならないという話だ。

過剰演出を謝罪

何はともあれ、報道を引用しよう。

<TBS>過剰演出で謝罪 「がっちりアカデミー!!」で
7月2日23時46分配信 毎日新聞

TBSは2日、6月18日に放送したバラエティー番組「がっちりアカデミー!!」の中で過剰な演出があったとして、番組内で謝罪した。
番組では、浅い眠りと深い眠りのどちらが目覚めがよいかを確かめるため、それぞれの眠りから目覚めた状態の番組スタッフに計算問題を解かせた。放送では、浅い眠りの結果が100点、深い眠りが40点だった。しかし100点は編集上必要な映像の撮影時に、ある程度目が覚めたスタッフが得た結果で、実際に眠りが浅い時のテスト結果は80点だった。制作担当者は「分かりやすく伝えられる」と判断し放送したという。
TBSは「このようなことが起きないよう、厳重な内容のチェックと確認を徹底したい」とコメントしている。
最終更新:7月2日23時46分

『がっちりアカデミー!!』は、2010年4月16日~2011年9月16日まで、TBS系列で放送された経済情報バラエティ番組のことだ。

毎週金曜日の19時から56分間放送されている。

さて、番組では、ビジネスマンや専門家が出演し、ビジネスに役立つとする情報を提供していた。

また、高校生が自由に自分が決めた実験が可能な授業も紹介されていた。

浅い眠りと深い眠りのどちらが目覚めがよいかについては、人によって異なるため一概には言えない。

しかし、一般的には、浅い眠りの状態で目覚めることが多いとされてはいる。

浅い眠りの状態では、目覚めやすく、スッキリとした目覚めを迎えることができる。

一方、深い眠りの状態では、目覚めにくく、朦朧とした状態で目覚めることが多いといわれている。

人の睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2つがあることが知られている。

一方、単に「浅い睡眠」と「深い睡眠」というイメージの方が多いかもしれない。

しかし、実際には一概には言えず、2つの睡眠にはそれぞれ重要な役割を果たしている。

ノンレム睡眠には4段階深さが存在し、浅い睡眠から深い睡眠へと段階的に移行していく。

要するに、「深い睡眠」と「浅い睡眠」の定義付けからしてはっきりしていないということだろう。

なにをもって「浅い睡眠」なのか、はっきりさせないで、100点とか80点とかいっても始まらないのではないか。

健康情報番組は、B層も観るために、科学的・医学的正確さというより、「わかりやすさ」が求められる。

しかし、正確であればあるほど、単純に語るのはむずかしく、一概には言えない、という話になる。

あ、念のために語句の説明。

「B層」というのは、郵政民営化の広報企画に際して小泉政権の主な支持基盤として想定された、「具体的なことはよくわからないが小泉純一郎のキャラクターを支持する層」と定義されている。

要するに、マスコミの言説や見かけリイメージで判断する、頭のちょっぴり低級な大衆層のことね。

主婦や子供を中心とした層、シルバー層を含み、「内閣閣僚を何となく支持する層」とされることもある。

ただし、この言葉は、あくまで郵政民営化に関する広報企画において使われたものであり、一般的に使われる言葉ではない。

『ためしてガッテン』だってやらかしていた

この手の「演出」批判は、拙著『健康情報・本当の話』(楽工社)でも書いた。

『ためしてガッテン』で、兵庫県尼崎市役所の職員4人が、3週間の「内臓脂肪の削減に挑戦する実験」に取り組み、1人のアディポネクチン値が増えた。

他の3人は「変化なし」だったが、「これを持続していくとアディポネクチンがどんどん増えていく」(司会の立川志の輔)と結論づけられた。

ところが、実はアディポネクチン値が「変化なし」だった人たちはみんな下がっていた。

NHKはそれを勝手に「誤差の範囲内」と言い募って「増えていく」という結論にした。

アディポネクチン値と健康の関係を「分かりやすく伝えられる」と判断したからだ。

だが、そもそも健康状態を「アディポネクチン値」だけで見ようとすること自体に無理がある。

アディポネクチンというのは、脂肪細胞から分泌されるホルモンで、肥満や糖尿病などの生活習慣病と密接に関係している。

アディポネクチン値が低いと、インスリンの働きが悪くなり、血糖値が上昇する危険性がある。

アディポネクチンの量は血液検査で測ることができ、男性の平均値は8.3μg/ml、女性は12.5μg/mlだ。

筆者は、「科学的な装いでそのようないい加減な結論を安易に発表する態度は、その時代の水準に基づいて客観性や再現性を追究し続ける、科学的手法の本来の地道さや厳格さと決して両立しません」と結論づけた。

もっとも、特定の数値で健康状態の推移を見るというのは、古典的な要素還元主義の「科学」的手法として、しばしば某タレント物理学者がやらかしてきた誤りであるが(笑)

テレビショー番組の簡単な「実験」で結論が出るなら、学者の論文も学会もいらないだろう。

以上、テレビの“健康ショー”番組の実験がまた問題になったという話である。というのも、TBSが「過剰演出」で謝罪したそうだ。でした。


健康情報・本当の話 – 草野 直樹

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