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「非科学だ」と断りさえすれば放送してもいい…わけないだろう

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非科学
非科学的なオカルト番組にしばしば批判がある。「日刊サイゾー」(2009年02月19日更新)が、『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉』(テレビ朝日)のレギュラー枠撤退をもって「スピリチュアルブーム終焉か?」というタイトルの記事を公開している。

まずはこの部分を引用しよう。

「これまでさんざん打切りの噂がささやかれていましたが、4月の改編でレギュラー枠からは外れるそうです。後番組は、同19時?放送中の『勉強してきましたクイズ ガリベン!』も同時に打ち切って、2時間の特番枠になります」(テレ朝関係者)

 春の改編からは、毎回異なったテーマを掘り下げるスペシャル番組という構成になり、厳密には『オーラの泉』も特番として不定期に制作するものと見られているが、打切りと新番組決定の背景には、視聴率のテコ入れだけではなく、昨今のメディア不況も影響しているという。

「最近では、一ケタに落ち込むこともあった『オーラの泉』の視聴率ですが、三輪明宏、江原啓之らのギャラがかさんだのか、制作費もネックになっていたようです。まあ、制作サイドからしてみれば、1時間番組を2本作るより2時間番組を1本作る方が、明らかに安上がりですからね」(大手広告代理店社員)

 これら同番組の打切りや新番組の構成について、テレビ朝日にたずねてみると「確かに同時間帯は2時間の特番枠になりますが、(『オーラの泉』は)レギュラー番組の体裁を取らず、春の番組改編以降、2時間のスペシャル番組枠のひとつとして放送していく予定です」という。


昨年、放送倫理機構は江原の出演した番組に対して、「初めに霊能師タレントありきの企画で、出演者の心情への配慮を欠き制作上の倫理に反する」という警告を行っている。

全国霊感商法対策弁護士連絡会が民放連に対して「心霊現象番組の見直しを求める要望書」を提出したこともあった。

しかし、今回はそれらにこたえたわけではなく、視聴率と制作費の費用対効果から、スペシャル番組に異動するというだけの話である。

それどころか、テレビ局はこれまでがそうであったように、手垢の付いていないオカルト者をまたスカウティングしてくるだろう。

「日刊ゲンダイ」(2009年2月19日付)では、「霊能者」や占い師の実名も出ている。

「テレビ局は江原や細木に続く”霊能者”や”占い師”を探しています。心霊や占いは常に需要があって、手っ取り早く視聴率を稼げますからね。TBSや日テレは”青森の神様”といわれる木村藤子を担ぎ出そうとした時期があったし、日テレは占い番組を作ろうと人材を求めて全国を探し回っています」(テレビ関係者)  実際、今月初めに放送された「ほんとにあった怖い話特別編・芸能界緊急浄霊SP」(フジ)では、下ヨシ子や宗優子といった”霊能者”が出演。「99プラス」(日テレ)では”渋谷の母”といわれる占い師・殿岡晟子がナインティナインの未来を占った。後釜がわんさか控えているのだ。

同紙では、放送評論家の松尾羊一がこうコメントしている。
「そろそろ、テレビは科学的根拠のない怪しげなものを取り上げる番組から手を引くべきです。テレビは公共性のあるメディアで影響力が大きい。『オーラの泉』のように”現在の科学で証明されたものではありません”などと注釈をつけても、多感な時期の若年層が信じ込んでしまう可能性もある。血液型占いや星占いのように実害がないものならまだましですが、数字が取れるからとルーズに取り上げるべきではありませんよ」

血液型占いや星占いが本当に実害がないと言い切れるかどうかは措くとして、「”現在の科学で証明されたものではありません”などと注釈をつけても、多感な時期の若年層が信じ込んでしまう可能性もある」という警告については筆者も賛成である。だが……

大槻義彦氏には賛成できない

オカルト・疑似科学を批判する者の中には、「『これは非科学です』と断って放送するならいい」などという者もいる。

「『これは単なるショーなので、皆さんは、そのように考えて本気にしないように』と、こういうタイトルを入れてくれれば、私は何も言わないでもいいのです。」(『宜保愛子の謎』悠飛社で大槻義彦)

筆者は、このような批判には賛成しない。

それは、たばこ販売において、「健康のため吸い過ぎに注意しましょう」と警告するのと同じようなものだからだ。

つまり、大槻義彦氏の言うことは本質ではないばかりか、害を与える側のアリバイを認めているものである。

こういう批判をトンデモというのだ。

考えて欲しい。なぜ、あれだけ科学的根拠がないと言われ続けているのに、昨今血液型人間判断の自費出版本がバカ売れしているのか。

少なくとも言えることは、「これは非科学です」などという紋切り型の断りは歯止めにならないということではないか。

「多感な時期の若年層」がなぜ非科学に傾倒するのか、その明確な答えが出ないうちは、もしくは非科学を非科学と楽しむものだという視聴者の認識が浸透しないうちは、モラルとして「科学的根拠のない怪しげなもの」は一切放送しない、ということでいいのだと思う。

大事なことは、それが科学的かどうかさえはっきりすればいいのではなく、合理的なモノの見方が十分に成熟していない視聴者に対して科学的でないものを刷り込まないことなのである。

付記

この記事は書き方がこなれていなかった。

筆者は、倫理的でないものは絶対放送すべきではない、という立場ではない。

少なくとも作り手の側は、倫理などに埋没せず、自由に表現しきることが望ましい。

ただし、「科学的な番組」というのなら、大槻義彦氏の提案は違うだろうという話である。

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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