『おれは男だ!』(1971年2月21日~1972年2月13日、松竹/NTV)といえば青春学園ドラマの金字塔。50年前の今日放送開始された

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『おれは男だ!』(1971年2月21日~1972年2月13日、松竹/NTV)といえば青春学園ドラマの金字塔。50年前の今日放送開始された

『おれは男だ!』(1971年2月21日~1972年2月13日、松竹/NTV)といえば青春学園ドラマの金字塔。50年前の今日放送が開始されました。小林弘二(森田健作)、吉川操(早瀬久美)、丹下竜子(小川ひろみ)の爽やかでほろ苦い三角関係を振り返りましょう。

『おれは男だ!』とはなんだ

『おれは男だ!』とは、津雲むつみが集英社の『週刊セブンティーン』で連載していた少女漫画のドラマ化です。

といっても、原作とはかなり設定が変わっています。

まあいうなれば、中村雅俊の『ゆうひが丘の総理大臣』や『加山雄三のブラックジャック』のように、主演者のキャラクターを前提に翻案したものです。

ゆうひが丘の総理大臣は望月あきらの漫画作品でしたが中村雅俊版のテレビドラマは室生犀星がモデルに見える作り方です
ゆうひが丘の総理大臣(1978年10月11日~1979年10月10日、ユニオン映画/NTV)という中村雅俊主演の人気ドラマが有りました。原作は望月あきらによる漫画作品でしたが、中村雅俊のキャラクターに合わせてテレビドラマ独自のアレンジが行われています。
音無美紀子さんの誕生日。数々の出演作から『加山雄三のブラック・ジャック』第6話『復讐こそわが生命』を思い出す
今日は音無美紀子さん(1949年12月26日~)の誕生日です。おめでとうございます。ポーラテレビ小説の『お登勢』に抜擢されて以来、第一線で活躍されていますが、数々の出演作から『加山雄三のブラック・ジャック』第6話『復讐こそわが生命』を思い出します。

放送されたのは、1971年2月21日~1972年2月13日まで、毎週日曜日20:00~20:56の時間帯で全43話放映されました。

この時間帯は、青春学園ドラマの枠です。

日本テレビが放送した、テレビ映画形式の、いわゆる青春学園ドラマシリーズを挙げてみましょう。

【日本テレビの青春学園ドラマシリーズ一覧】
青春とはなんだ(夏木陽介、1965年10月24日~1966年11月13日)
これが青春だ!(竜雷太、1966年11月20日~1967年10月22日)
でっかい青春(竜雷太、1967年10月29日~1968年10月13日)
進め!青春 (浜畑賢吉、1968年10月20日~1968年12月29日)
(炎の青春)(東山敬司、1969年5月12日~1969年7月14日)
☆おれは男だ!(森田健作、1971年2月21日~1972年2月13日)
飛び出せ!青春(村野武範、1972年2月20日~1973年2月18日)
☆おこれ!男だ(森田健作、1973年2月25日~1973年9月30日)
われら青春!(中村雅俊、1974年4月7日~1974年9月29日)
★青春ド真中!(中村雅俊、1978年5月7日~1978年9月24日)
★(ゆうひが丘の総理大臣)(中村雅俊、1978年10月11日~1979年10月10日)
★(あさひが丘の大統領)(宮内淳、1979年10月17日~1980年9月17日)

()のドラマは、日曜20時以外の放送枠
☆は松竹製作、★はユニオン映画製作、無印は東宝製作です。

夏木陽介主演の『青春とはなんだ』以来、全部で12作あります。

1965年~1980年まで、15年にわたって放送され続けたわけです。

石原慎太郎原作のドラマ化に始まった熱血教師を主人公とするドラマで、制作会社は東宝でしたが、初めて生徒が主役となり、制作会社も松竹になりました。

あらすじ

剣道部とバトン部のツンデレ対立

原作は都立高校が舞台でしたが、ドラマの舞台は江ノ電の走る鎌倉一帯。

主人公小林弘二(森田健作)の一家(松村達雄、津島恵子、松本うたか)は稲村ヶ崎に転居。

兄・一郎(河原崎長一郎)が教師をつとめる青葉高校に転校します。

ロケ地は、江ノ電・善行駅近くの藤沢商業高等学校(現藤沢翔陵高等学校)です。

隣の湘南アパートには、同級生になる吉川操(早瀬久美)と姉の美穂(秋山ゆり)が住んでいます。

小林邸と吉川家のアパートの部屋は、窓越しに会話ができる距離です。

2人は毎回、そこで口喧嘩をしたり、話し合ったりします。

高校生らしい爽やかで初々しいやりとりに、視聴者は憧れます。

青葉高校は、名門女子高としての歴史が長く、共学になって数年しか経過していません。

圧倒的に女生徒が多く、男子生徒はトイレも少なくて困っている有様でした。

当時は、ウーマンリヴがトレンドだったので、そのような設定になったのでしょう。

弘二のクラスには、アメリカ生活の経験もあり才色兼備のバトン部キャプテン、吉川操がいました。

弘二は、そんなウーマンリブを打倒するため、男子生徒を集めて剣道同好会を結成。

対抗心をむき出しにしたのが、バトン部のキャプテン吉川操です。

バトン部と剣道部(途中から部に昇格)は、何かというと喧嘩をするのですが、それはお互い関心があるからです。

ということで、ドラマのキャッチコピーは「女と男のユーモア学園」。

たぶん、いまの世代はまた違う関わり方があると思いますが、昭和世代にとって、思春期のツンデレというのは、誰でも大なり小なり覚えがあることです。

経験ありませんか。

フォークダンスで、意識過剰になって、異性と手をつなげなかったとか。

席替えで、本当は並びたいくせに、「〇〇とは並びたくねえよ」とか言ったりして。

そういう世代にとって、男女がお互い喧嘩しながら、次第に好意を持つというストーリーは、思いっきり感情移入してしまうわけです。

何度も再放送されて、私も中学の時に再放送で知ったのですが、ああ、自分もこういう学校生活だったら、さぞ楽しいだろうなあって憧れていましたね。

中学の頃って、異性に関心をもつ頃ですから。

小林弘二と丹下竜子の爽やか交際


視聴者にとって、もうひとつ惹かれるドラマツルギーは、小林弘二と丹下竜子(小川ひろみ)の爽やか交際です。

剣道同好会を立ち上げた弘二は、道具を集めるために、他校の剣道部に古い道着や竹刀などをもらいに行きます。

そこで、相沢高校(ロケ地は栄光学園)を訪ねると、主将は女性の丹下竜子。

「私に勝ったらもっていきなさい」と言われ一戦交えますが、弘二は全くかないません。

しかし、弘二に見込みがあることを感じた丹下竜子は、「あなたはきっと強くなる」と言い残し、古い道具を寄贈します。

以来、丹下竜子と小林弘二は、絵に描いたような爽やかな好敵手の関係を築きます。

県道の試合は真剣ですが、面をとったら、あとはざっくばらんにお付き合い。

「今度の試合は負けないわよ」と言いながら、自転車の2人乗りで登校したり、昇段試験を待ち合わせて一緒に行ったりしています。

ニコニコ笑って恋人同士のような2人の会話は、ドラマとは言え羨ましいと思ったものです。

ああ、こういう異性のいる高校生活はいいなあって。

思春期にあのドラマを見た人はみんなハマるんでしょうね。

本来の弘二の相手役は吉川操のはずですが、ネットでは圧倒的に丹下竜子派が多数です。

『おれは男だ!』は吉川操(早瀬久美)よりも丹下竜子(小川ひろみ)の方が良かったという意見が多数である理由を考える
『おれは男だ!』(1971年2月21日~1972年2月13日、松竹/NTV)の話です。ヒロインの吉川操(早瀬久美)よりも、小林弘二(森田健作)の剣道のライバルであった丹下竜子(小川ひろみ)の方が良かったという意見が多数の理由を考えてみました。

結局、弘二の心が操から動かないことがわかると、丹下竜子は卒業を目前にして高校を中退し、別の男性のもとに嫁ぎます。

高校生活完全燃焼の庶民的で清潔なドラマ

丹下竜子だけでなく、生徒会の会長である小野夏子(小野千春)が、やはり家庭の事情で中退して工場で働きます。

でも現実的に、高校ナンバーワンを争うような剣道の達人なら、どこかの大学から誘いが来るか、良い就職口があるはずです。

生徒会の会長も同様に、その実績を利用すれば奨学生として大学に進学することもできるはずです。

少なくとも、高校卒業ぐらいはするだろうと思います。

ではどうしてそうならないのかというと、ひとつには、当時高度経済成長のさなかといいながら、まだ社会の制度も庶民の経済力も、義務教育ではない高校の卒業は当然というほど豊かではなかったということがあると思います。

剣道部の大木信一(沢田勝美)が、両親がいないため住み込みのアルバイトで学費を稼いだり、後半、青葉高校の定時制の女生徒と弘二が、忘れたノートをきっかけに接点を持ち、働きながら高校に通う境遇を描いたりしています。

そして、高校生活における活動は大学や就職の手段ではなく、高校生活を力いっぱい過ごした証に過ぎないのだ、ということでもあると思います。

その意味で、非常に庶民的で、かつ清潔なドラマなのです。

余談ですが、将棋の藤井聡太七段が、なぜかもうちょっとで卒業なのに中退しましたが、失礼ながらたぶんあと一息の中退は、留年がほぼ決定的だったのではないでしょうか。

校長や転校生や新任教師との相克も

ですから、「女と男のユーモア学園」といいながらも、たんなるツンデレの男女生徒のあれこれだけを描いているわけではありません。

というよりも、それだけでは、1年間43話は続けられません。

後半には、弘二となにかと対立する校長の明石さくら(京唄子)と神戸啓太(鳳啓助)。

剣道部部長の藤宮あずさ(武原英子)、転校生の西条信太郎(志垣太郎)などが加わりますが、前述の丹下竜子との別れも含め、「ユーモア」が影を潜めていささかシリアスな展開になります。

もっとも、高校生活はいろいろなことがありますから、挫折や別れや苦しみのドラマツルギーも、あってもよいのではないかと私は思いました。

いずれにしても、当時の世相や高校生活を青春というモチーフで描いた、ドラマ史に残る作品だと思います。

他の出演者は、弘二の祖父・小林源之助(笠智衆)、パトン部の副キャプテン・秋本京子(田坂都)、バトン部の岡村千恵(降旗文子)、佐々木英子(大谷照代)、剣道部マネージャー・長沢麻里(有吉ひとみ)、副キャプテン・田村勇(三城康裕)、その父親・田村勇作(玉川良一)、母親・田村久代(石井富子)、剣道部員・中山三郎(鍋谷孝喜)、西村宏(沖正夫⇒森川正太)、 美穂の働く店のマスター・東玲夫(森本レオ)、青葉学園の弘二の担任・横田(牟田悌三)、校医・勝又新太郎(米倉斉加年)などです。

DVD-BOXも出ているので、未見の方はぜひご覧ください。

以上、『おれは男だ!』(1971年2月21日~1972年2月13日、松竹/NTV)といえば青春学園ドラマの金字塔。50年前の今日放送開始された、でした。

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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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コメント

  1. 西村馨 より:

    懐かしさで胸がいっぱい。もう50年も経過したのですね。当時はビデオ機械もなく再放送が頼り、しかも大抵16時以降。見ることも出来なかった。丹下役の小川ひとみさん、好きでしたねぇ。出演していた人も
    鬼籍に入られた方も多いですね。小川ひとみさん元気ですか?早瀬久美さんはYouTubeで良く拝見するのですが。いちどYouTubeでアップして頂ければ望外のよろこびです。