レアアース（希土類）は私たちの生活や世界の政治経済に深く関わっている重要な資源。背景にある資源、環境、日本の可能性に言及

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レアアース（希土類）は私たちの生活や世界の政治経済に深く関わっている重要な資源。背景にある資源、環境、日本の可能性に言及

近年、ニュースで「レアアース（希土類）」という言葉を聞く機会が増えています。これは一見、専門的で難しそうな言葉ですが、実は私たちの生活や世界の政治経済にとても深く関わっている重要な資源です。

今回は、そのレアアースとは何か、そしてその背景にある資源問題や環境問題、さらには日本の可能性についてわかりやすく解説します。

レアアースとは？ どんな元素なの？

レアアースは、元素の周期表の中で「ランタノイド」と呼ばれる15の元素に、スカンジウムとイットリウムを加えた合計17の元素の総称です。

代表的なレアアース元素

  • ネオジム（Nd）
    強力な永久磁石に使われ、電気自動車や風力発電機に欠かせません。
  • セリウム（Ce）
    研磨剤や自動車の排ガス浄化触媒に利用されています。
  • ユウロピウム（Eu）
    液晶ディスプレイやLED照明の蛍光体として活躍。
  • ジスプロシウム（Dy）
    高温でも磁力を保てるため、モーターなどに必要です。

名前に「レア（希少）」とありますが、実際には地球の地殻にそれほど少ないわけではありません。むしろ、レアアースが「珍しい」とされる理由は、鉱石から分離・精製するのが非常に難しく、コストが高いからなのです。

なぜレアアースが重要なのか？

スマートフォン、ノートパソコン、電気自動車（EV）、LED照明、風力発電タービン、さらには軍用レーダーやミサイルなど、現代の最先端テクノロジーの多くにレアアースが使われています。例えば、スマホ1台に含まれるレアアースは10種類以上もあり、軽くて丈夫、磁力が強く電気特性に優れるという特性が、次世代技術の根幹を支えています。

レアアースをめぐる現状と地政学リスク

中国が世界の供給を握る

現在、世界のレアアース生産の約6～7割、精製や加工能力に至っては約9割以上を中国が占めています。この偏在性が「資源の地政学」を複雑にし、国家間の緊張の火種になっています。

例えば、2010年に尖閣諸島をめぐる日中関係が悪化した際、中国が日本向けのレアアース輸出を制限したことがありました。これにより、日本や世界は特定国への資源依存のリスクを痛感し、アメリカやオーストラリア、日本は供給源の多様化やリサイクル技術の開発を進めています。

環境問題も深刻

レアアースの採掘と精製には大量の化学薬品が使われ、有害廃棄物が発生します。特に中国内モンゴル自治区のバヤンオボ鉱山では放射性物質を含む廃液が環境汚染を引き起こし、地域社会に大きな影響を与えています。

一方、廃棄された電子機器からレアアースを回収する「都市鉱山」も注目されていますが、現時点では技術やコスト面の課題が多く、完全な代替とはなっていません。

日本の資源立国への挑戦

海底に眠る巨大な資源

日本は資源に乏しい国ですが、実は世界有数のレアアース埋蔵国となる可能性があります。特に注目されているのが、南鳥島周辺の深海底に存在する「レアアース泥」です。ここには世界の需要を数百年分満たすとも言われる豊富なレアアースが眠っていると報告されています。

ただし、南鳥島は本土から約1900km離れ、水深6000m級という深海。採掘には高度な技術と莫大なコストが必要で、環境への影響も慎重に検討しなければなりません。

都市鉱山という資源循環

もうひとつの注目は、使い終わったスマホや家電からレアアースを回収して再利用する「都市鉱山」です。2017年の東京オリンピックでは、メダルの素材の一部を都市鉱山から集める取り組みが話題になりました。

実際、携帯電話100台から約5gの金が回収できるとされ、これは数万円相当です。日本国内には膨大な量の資源が眠っており、持続可能な社会を目指す上で、こうしたリサイクルはますます重要になるでしょう。

「21世紀の石油」としてのレアアース

かつて石油が国家の外交や軍事、経済を動かした時代がありました。今では、レアアースが「21世紀の石油」と称され、テクノロジーと安全保障の中核を担う資源として注目されています。

私たちのスマートフォン、風力発電の風車、電気自動車の静かな走行の裏には、見えないレアアースの力が宿っています。しかし、その恩恵を享受する一方で、採掘や環境への影響、供給リスクにも注意を払い、持続可能な資源管理と技術革新を両立させることが今後の大きな課題です。

まとめ


日本はこのレアアース資源の開発やリサイクル技術の推進を通じて、中国依存からの脱却や資源安全保障の強化を目指しています。資源の確保だけでなく、環境負荷の低減や循環型経済の実現も視野に入れ、レアアースを巡る課題に取り組む必要があります。

みなさんは、こうした資源問題やリサイクル、地政学リスクについてどのように考えますか？持続可能な未来のために、一緒に考えてみませんか。

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