
今回ご紹介する映画『MOTHER マザー』は公開当時、神聖視された「母」という存在を根底から揺さぶる衝撃の一作として話題になりました。Amazonプライムビデオで公開されたことと、SNSでもダイジェストがポストされて話題になっていたので、改めてこの記事でレビューしたいと思います。
以前、『映画になった恐怖の実話』(鉄人シネマ書籍シリーズ)という書籍をご紹介した際、その中に『MOTHER マザー』が出ていたのでご紹介したことがあります。

『MOTHER マザー』は、2014年に実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」という実話をもとに着想を得て制作されました。
現実は映画より酷かったようですが、映画の限りでもかなり常軌を逸したシーンが出てきます。
実の息子に金の無心をさせるだけでは足りずに……
実話をベースに描く感動の衝撃作。
17歳の少年が起こした殺害事件。
すべてを狂わせた彼の母親は、怪物?
それとも聖母だったか——。#長澤まさみ、#奥平大兼、#阿部サダヲ、#夏帆、#皆川猿時、#仲野太賀、#土村芳、#木野花 ら出演。
『MOTHER マザー』11/3より独占配信開始!#ネトフリ #映画マザー https://t.co/gPU5AJYq71
— Netflix Japan | ネットフリックス (@NetflixJP) October 12, 2020
男たちと行きずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきたシングルマザー・秋子(長澤まさみ)が、息子・周平(奥平大兼、幼少期:郡司翔)を「私は親だろう」と精神的に支配。
実の息子に、金銭強奪目的で祖父母を殺害させ、さらに逮捕されると全部息子のせいにして逃げ切ろうとした壮絶な事件です。
スナックやキャバクラでアルバイトをしながら遊び歩き、異性や金銭関係で頻繁にトラブルを起こすようになります。
ディスコで知り合った男性と結婚しますが、2006年に周平が小学校4年のときに離婚。
ここで父親が息子を引き取っていれば、後の悲劇も起きなかった可能性は高かったのに、「ママはずっと一緒にいてあげられるけど、パパはいずれ他の女性と再婚するかもしれない」などという秋子の言葉を信じ、周平は母を選びます。
結果、秋子はホストにハマり、定住する家もなく、周平は不登校、というより学校に行きたくてもいけなくなります。
それだけでなく、秋子はホストクラブのホスト・遼(阿部サダヲ)と再婚しますが、遼が周平に自分の陰部のお伽を強要。
周平は秋子のためにそれを受け入れます。
日雇いで食いつないでいた遼の収入がなくなると、周平に親族宅を回らせ金を無心させるなんて当然のこと。
そんな生活ですから行き詰まってしまい、2014年3月、 周平は秋子に祖父母564をするように追い詰められ、手を下してしまう。
ところが、逮捕後は一転して、「息子が勝手にやった」と秋子は言い出すわけです。
実際に下った判決は、秋子に懲役4年6月、周平に懲役2年。
周平は弁護士の薦めで最高裁まで争い、2016年6月8日、上告は棄却され一審判決のまま刑が確定しました。
「親」という存在が絶対的なものではない
「無条件で愛されているのは子供ではなく親の方」と言うけれど正にそれ。
きっと当事者から見ても酷い母親というのはわかっているはず。それでも彼にとっては愛する存在。
そんな2人の行先は間違いなく破滅。あなたはこのふたりを引き離しますか?私はいくら考えても答えが出ません。 pic.twitter.com/QzfZGpINtR— Spica. (@nekonekoponpoko) October 5, 2024
この事件は、決してこの母親が鬼畜だから、では片付けることはできません。
現代社会が抱える「孤育て」や「貧困の連鎖」、そして「子どもの福祉」……それらを考える「よすが」になると思います。
もとより、我が国には、未だに家制度の因習を事実上残す目的で、子は親に無条件で従う奴隷であることを示す法律(民法第818条)があります。
たとえば、親であることをタテに、子に特定の選択や価値観を強要する毒親は、今の日本では虐待など違法行為が公然としたものでない限り「合法」になってしまうのです。
つまり、映画に出てくる陰部の御伽も、親が暴力を奮ったり食べ物を与えなかったりしたなどが明らかでなく、子の意志でそれをしたとみなされると合法になってしまうということです。
祖父母を殺めたことについても、その理屈で息子は実刑になってしまったのです。
「親ガチャ」や「毒親」という概念を受け入れれない方もおられるようですが、それは親の毒に気づかないある意味幸せなことか、絶対に親を悪く思いたくないという個人的な価値観に過ぎないことです。
もちろん、子が親をどう思うかは内心の自由です。
ただし、社会的に批判されるべき親の毒が、世界的に少しずつ明らかにされていることも確かです。
GDP6位転落の日本は、ここでも後進国です。
アメリカのセラピスト、スーザン・フォワードが上梓した『毒になる親 完全版』には、以下のような親が「毒親」に分類されます。
1. 神様のような親(自分が絶対的で悪いことを認めない)
2. 義務を果たさない親
3. コントロールばかりする親
4. アルコール中毒の親
5. 残酷な言葉で傷つける親
6. 暴力を振るう親
7. 性的な行為をする親
タレントのローラが、母親の故郷で本名を公表して、農業を始めたニュースが話題になりました。
彼女の転身は単なるキャリアチェンジではなく、「スピリチュアル」な世界観への「転向」が背景にあるとされています。
なぜ、人気絶頂のタレントがそのような選択をしたのでしょうか。
その背景には、父親の犯罪問題に悩まされた経験があったと報じられています。
ローラ、新潟にて本気で結構な規模の農場をやっていた。
これ批判してた奴、どうすんだよ。 https://t.co/9DFhsA2ZP9— シンチャオc:?平凡な係長 (@Nifty50JEPI1489) September 22, 2026
「転向」への決断は複数の要因が重なったと見られますが、少なくとも、父親の毒親的な行動が、彼女をスピリチュアルな分野に救いを求めるようになった重要な引き金になったと思われています。
ローラに対して、「親なんだから『毒親』とか『親ガチャ』とか悪く思うな」なんて説教することは私にはできません。
親子関係の様態は、一律「親が偉いから親を敬え」ではなく、親子の数だけあると思いませんか。



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