元オウム幹部、土谷正実被告の死刑判決が確定した。教団幹部には井上嘉浩被告という強い帰依の彼もまた死刑判決を受けている

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元オウム幹部、土谷正実被告の死刑判決が確定した。教団幹部には井上嘉浩被告という強い帰依の彼もまた死刑判決を受けている

元オウム幹部、土谷正実被告の死刑判決が確定した。教団幹部には井上嘉浩被告という強い帰依の彼もまた死刑判決を受けている。もちろん、犯した行為の責任は免れないが、まだ教団に対する帰依の心があるのかどうかはその問題とは別に興味深い。

「諜報省」の元トップの帰依の心は?

2011年2月16日、オウム真理教の幹部だった土谷正実被告の死刑が確定した。

土谷正実被告は、「尊師の直弟子」と1審で自称するなど、麻原彰晃死刑囚に対する強い帰依の姿勢をみせていた。

死刑判決を受けた幹部は、みな帰依の心を抱き続けているのだろうか。

もう一人、教団幹部には井上嘉浩被告という強い帰依の姿勢をみせていた信者がいた。

彼もまた、死刑判決を受けている。

2004年5月28日、東京高裁(山田利夫裁判長)は、地下鉄サリン事件など10の事件で殺人などの罪に問われた元オウム真理教幹部の井上嘉浩被告に対する控訴審で、無期懲役とした一審・東京地裁判決を破棄し、死刑を言い渡した。

教団による一連の事件で一審の無期懲役が覆ったのは初めて。

死刑判決は13人目になる。

井上嘉浩被告は教団「諜報省」の元トップで、元代表・松本智津夫被告の側近と言われたが、逮捕後は積極的に取り調べに応じ、松本被告の公判でも地下鉄事件直前の謀議の様子などを詳細に語って検察側立証の柱になった。

しかし、被告が起訴された10事件は、「諸事情を最大限考慮しても死刑を選択するほかない」(山田裁判長)と結論付けられた。

江川紹子さんの報告

井上嘉浩被告については、ジャーナリストの江川紹子さんが、講演で次のように触れている。

これはなかなか興味深い。

「例えばオウム真理教の中で,幹部としていろいろな犯罪に関わりながら,今ではオウムで何が行なわれていたかを法廷で明らかにし,むしろアンチオウムの立場になっている井上嘉浩という青年がいます。

彼はもう絶対オウムに戻ることはないと思います。でも何か聞いているとずれてくるのです。どこがずれてくるのだろうということでずっと裁判を見ていましたが,私にはよく判りませんでした。

それについて,カルト問題に関わってらっしゃる心理学の専門家の方が何度も面会を重ねて心理鑑定を行い,法廷で話されたことは,『結局マインドコントロールが100%開放された状況ではない』ということでした。

つまり麻原教からは脱したけれども,今度は別のものが彼を支えているということです。例えば彼の中では,チベット仏教がオウムの柱になっているのですが,彼には弁護士や家族,その他裁判所が特別に認めた人以外とは面会はできないため,正しくその仏教を教えてくれるという人もいません。そのため,本を読みながら自己流にチベット仏教なるものに接近しているようなのです。

ですから,その先生の話によると,麻原教から井上教になったか,あるいは井上流のチベット仏教になっただけで,思考の方法や何かに依存している精神状態は根本的に変わったとはいえないのではないかということです。また,想像力がまだ弱いですから,オウムに感情をマインドコントロールされていたがゆえに起きていた諸々の問題点がまだ全部解消された訳ではないともいわれています。

それを聞いてなるほどと私も思いました。このことから,マインドコントロールというのは行くか出るかではなく,段階的に―白と黒の間にはいろいろな濃さの灰色がありますが―そういった状態であると考えた方が良いのではないかと思う訳です」(講演タイトル、日本におけるカルト教団の実体と問題点)

そもそも死刑という制度自体には賛否両論あるし、オウム関係の被告に対してそれを簡単に申し渡すことで事が解決するのか、という意見もあるが、ここではその点は措こう。

それとは別の視点として、「オウムに感情をマインドコントロールされていたがゆえに起きていた諸々の問題点がまだ全部解消された訳ではない」という、江川紹子さんの講演での井上嘉浩被告に対する見方に立てば、今回、いくら井上嘉浩被告が「反オウム」になったからといって、「反カルト」になったとはいえない以上、他のオウム重大事件関連の被告らと比べ「よりまし」であることにはならないから、その者達と“同じ判決”にするというふうに考えれば、今回の判決は辻褄があうのかもしれない。

戦後史上の一大判決だった。

以上、元オウム幹部、土谷正実被告の死刑判決が確定した。教団幹部には井上嘉浩被告という強い帰依の彼もまた死刑判決を受けている、でした。

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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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