今日は、久しぶりに、YouTubeチャンネル登録シェアです。『日本「裏社会人」名鑑』(チャンネル登録者約1.3万人)といいます。要するに、ヤクザの生き様や、有名な抗争の経緯などを解説している動画です。広島ヤクザの使う言葉は、仏教由来が多いという興味深い話題もあります。(文中敬称略)
日本の戦後のドサクサは、GHQに占領されていた関係で、政治家も戦前の特高警察も全く無力の無法地帯でした。
そのため、日本の統治国家出身の、当時で言う「三国人」が、女性を襲ったり、金品を奪ったりといった暴れ方をしていました。
具体的には、渡来の朝鮮人とか中国人ですね。
そうした混乱期において、警察や行政が、「三国人」を鎮圧するために、ヤクザの力を借りていたという事実は、いくつかの歴史的な記録や証言から簡単に確認できます。
それだけでなく、1960年代の安保闘争などの鎮圧にも、「裏社会」は手を貸したと言われています。
しかし、日本が復興してきたことや、「裏社会」が政治に干渉したりしてきたことから、政治は1960年代以降「暴力団撲滅」という方向にかじを切り、こんにちに至ります。
そうしてみると、「裏社会」の歴史は、戦後日本の「影」の部分を知るうえで貴重なエピソードが詰まっているわけです。
と同時に、個々のヤクザの生き様にも、実は人間の「業」のようなものを見て取ることができます。
もちろん、“斬った張った”は、法的、道徳的に許容できません。
が、裏切り、離合集散、実利主義といった駆け引きや欲得は、「カタギ」の我々だってエラソーなことは言えず、むしろ盃一つで、命までかける生き方をする切羽詰まった彼らこそ、人間の「業」を、綺麗事抜きでわかりやすく示しているのではないか、という興味深さもあります。
そこで、このチャンネルも、写真とナレーションでわかりやすく、ヤクザの抗争の歴史や個々のヤクザの生き方を解説しています。
人間がいちばん「エベセェ」
この動画では、広島のヤクザが統合された組織である共政会の、山田久三代目会長を紹介しています。
動画の見どころは、AIアシスタント(Genspark)に、5項目にまとめてもらいました。
1. 公務員からヤクザへの転身: 山田久がなぜ公務員からヤクザの道へ転身したのか、その背景と経緯
2. 広島ヤクザ抗争の実態: 25年間続いた広島ヤクザ抗争の中で山田久が果たした役割と、その生き様
3. 二度の暗殺未遂からの生還: 命を狙われながらも生き延び、襲名式を成功させた山田久の驚異的な精神力
4. 「人間の心」についての洞察: ヤクザでありながら、人間の内面について深い洞察を持っていた山田久の哲学的側面
5. 広島ヤクザの文化的背景: 浄土真宗の影響を受けた独特の言葉遣いや価値観
広島抗争は、飯干晃一の『仁義なき戦い』などで描かれており、ブログ記事のひとつやふたつでは説明しきれないので、今回細かい経緯は触れません。
ちなみに、映画でいうと、山田久とは、『仁義なき戦い 完結篇』(1974年、東映)で、北大路欣也が演じた「天政会理事長・松村保」のモデルです。
仁義なき戦い 完結篇
前にも呟いたけど…
僕的にはもうこのOPから興奮しちゃったよ!
何年間も繰り広げてきた
“血で血を洗う抗争!”
“血と銃弾!”
“白昼の惨劇”で広島80万市民を恐怖の底に叩き込んだ連中が福祉国家建設と平和を願って大行進…( ゚Д゚) pic.twitter.com/PIRW3Mrtg6
— やーさん (@ya_san8931) December 21, 2023
で、話を戻すと、私がとくに興味深かったのは、5項目の中で「5」です。
山田久が、テレビのインタビューでこう答えたことが紹介されています。
「そりゃ、わしにも“えべせぇ”もんは、あるよの。そりゃあ、人の心よのう。(笑みをたたえていたはずの相手が)交渉が終わった瞬間、オレが背中を向けるや、相手がチャカ(拳銃)で撃つ。チャカがエベセェじゃないんだ。チャカを使ってオレを撃とうとした、相手の心がエベセェのよ」
「えべせぇ」とは得体のしれないこわいものという広島弁です。
ヤクザ社会だから、「チャカ」という凶器が目立ちますが、我々一般人だって、いざとなれば、友人や同僚や恋敵を、出し抜いたり、裏切ったり、嘘をついたりするでしょ?
山田久は、そういう人間の心の汚さを「エベセェ」と言っているのです。
映画を見ればわかりますが、実録モノと言われた『仁義なき戦い』は、鶴田浩二や高倉健や池部良らの出ていた「任侠」のきれいごとはなく、裏切ったり裏切られたりしています。しかもヤクザ社会ですから、たんなる裏切りではなく、そこに命までかかっているのです。
かつての広島ヤクザ界が、映画でいうと、金子信雄と加藤武が演じた二大親分に任侠精神が希薄だったのではないかと疑われることと、個々のヤクザの兄弟盃が複雑で、敵味方の関係が混沌としていることも背景にありましたが、その根本には、人間の心は汚いものである、という親鸞(浄土真宗の開祖)の見定めがあったのではないかと思われます。
なんとなれば、広島県民の中で「安芸門徒(浄土真宗門徒)」は、広島市を中心になんと8割といわれているほどです。(AIアシスタント、Geminiより)
100万都市を抱える県で、一宗教の一宗派が8割って、宗教に緩い日本としては驚異的なシェアですよね。
動画でも、こうまとめています。
「絶えず4と隣合わせに生きているヤクザは、シャバや修羅のような仏教由来の言葉を使うことが多い。広島ヤクザはとくに、『腐れ外道め』『往生せい』など、仏教に関連した言葉を多く口にする。広島は伝統的に親鸞聖人の浄土真宗が強い土地柄である。そうした風土の中で、ヤクザである山田が、最も恐ろしいのは人間の心と答えたことは興味深い」
よく言われますよね。
幽霊が怖いとか、たたりが怖いとかいうが、いちばん怖いのはナマミの人間だろうと。
広島、浄土真宗、同宗派の影響を受けた方言の関係
余談ですが、浄土真宗の宗門系大学といえば、東の武蔵野大学、西の龍谷大学。
昨年度までの武蔵野大学学長、一昨年までの龍谷大学学長は、ともに広島の浄土真宗住職です。
広島といえば浄土真宗、というイメージを象徴しています。
でも、親鸞は広島の人ではないんですよ。
京都から新潟に流刑され、そこから茨城で再スタートして、晩年(といっても60歳過ぎから30年近いですが)はまた京都に戻っています。
広島と浄土真宗、さらに同宗派の影響を受けた方言の関係は、非常に興味深いものです。
みなさんの地域の「お国言葉」には、仏教由来と思えるものはありますか。
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