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「民主党批判の批判」と「疑似科学批判の批判」(前)

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民主党批判の批判
「民主党批判の批判」と「疑似科学批判の批判」について書こう。総理大臣がかわった。今度は菅直人理系首相だ。理系首相が続き、理系の人たちは盆と正月が続いたような喜びようだろう。その間に、我が国がボロボロになってしまうかもしれないが(笑)

昨年の政権交代後、マスコミ報道にはふたつの潮流がある。

ひとつは、民主党の徹底批判の論調だ。

みのみんたの番組などは、しばしばその典型に挙げられる。

本来、政府・与党は権力者へのチェックという意味で、批判されるのは当たり前である。

もっとも、一方では、旧体制回帰の世論を盛り上げるために為にする批判をしていると指摘する者もいる。

自民党があれこれ文句をいっているが、それは過去に自分たちがやってきたことじゃないかという批判は確かにその通りだ。

もうひとつは、民主党擁護の論調だ。

(今回は主にコチラを問題にしたい)

政権交代していいこともあったじゃないか自民党がずっと政権を取ってきたのだから初めは誰でも間違いがある。

長い目で見ろ。

前に戻っても良いのか辛抱しよう、という論調だ。

いわゆる左翼・リベラルのスタンスで食っている文化人にはこれが多い。

「日刊ゲンダイ」などは、数年前は小沢一郎叩きの新聞だったはずなのに、現在は小沢一郎氏を偉大な政治家にしてしまう自己矛盾を恥じず、辻褄の合う説明もなくその先頭を走っている。

小沢一郎氏の「豪腕」を、「何が悪い」と居直り批判精神すら禁忌としている。

ちなみに、同紙は鳩山時代の内閣支持率低下について、有権者をはっきりと「愚民」と言い切っている。

意外な現象というか、例外的にその両方の潮流をひととおり語っているのは筆者の知る限り、みんながコバカにしている「東京スポーツ」だ。

藤本順一氏に民主党批判を語らせ、上杉隆氏には民主党を是々非々で語らせながら
自民党の旧弊さや、党利党略なども指摘させている。

東スポを覗くメデイアの論調も
自民派か、民主派かの「二大政党制」になってしまったわけだ。

だが
自民派、民主派に分かれた
ディベートゲームのような報道では、
有権者はきちんとした判断が出来ない。

ディベートゲームというのは、
自分(たち)の不利なことは隠し
相手の弱いところだけを巧妙にたたき合うゲームだ。

一断面のそのまた一要素を
膨大に取り上げて全体であるかのように
見なしてぶったたく見せ方に優れた「器用な」者が
勝つようになっている。

だが、それはあくまでも「ゲーム」の興趣でしかない。
全体から、それぞれの主張を精査し
その問題点を見るということをしない限り
真に合理的な判断は出来ないだろう。

筆者の考える正解は単純だ。
当たり前のことをすればいい。

長き自民党政治を総括し
民主党政権はその何をどう変えようとしているのか
変えることは正しいのか、そして変えられたのか、
変えられる見込みはあるのかなどを示しながら
現在の様々な出来事についても是々非々できちんと報じる。
その上で、判断は有権者にさせる。

よくもわるくも出来上がっている国だ。
政権政党がかわったって、
そう画期的な変化などふつうは難しい。
変化させるとすれば、これまで動いていたシステムに
何らかのメスを入れることになる。

それによっていいこともあれば、犠牲や矛盾も出てくる。
特定の党のプロパガンダとしてではなく
それが国民にとってどうなのか、メリット、デメリットを
きちんと報じるのがマスコミの役割だ。

民主党なら、何をやらせても今までよりは絶対いいはずだ
とする「日刊ゲンダイ」などの報じ方は、無責任であると思う。
おまけに、有権者を馬鹿扱いまでして持論を振り回す
センセーショナリズムは、あまりに芸がなさすぎる。
マスコミは報じるまでの仕事だ。
思い上がってはならない。

細川連立政権時代、
自民党は古い饅頭、非自民連立政権は毒饅頭などといわれた。
今もそれがあてはまるかもしれない。

「毒」は、古いものを駆逐したり改善したりする
積極的な面はたしかにある。
その一方で、国民に対する侵襲性についても
注意を払わなければならない。

何が毒だって?
官僚体制を打破する政治主導、
などというと一見素晴らしそうだが、
小沢一郎の政治的怨念から内閣法制局の
発言を封じたいだけという指摘はどう見るのか。

よほどカラダに自信があるのか
40過ぎてミニスカートをはき太股や脹らはぎをカメラに突き出す
女議員に一騒ぎ起こさせて、そのドサクサに重要法案を強行採決したり、
批判的な議員や県連を干したり
支持しない有権者の自治体に不利益な扱いを行ったりする。
こういう独裁プラス恫喝政治は
民主主義の猛毒である。
そんなものは、一有権者として絶対に御免被りたい。

自民党にそれがなかったわけではないが
民主党のやっているのは白昼堂々問答無用天下御免の恫喝。
論外だろう。
これを毒と言わずに何というのだろうか。

もちろん、必要なときに毒大いに結構、
という意見もあるかもしれない
それもまたいいだろう。
とにかく毒は毒としてきちんと報じることが大切ということだ。

自民党と違うことをやろうとしているといいながら
実現していない嘘も少なくない。
それを許さないという有権者もいるだろうし
仕方ない、と許す有権者もいるかもしれない。
いずれにしても、そうした判断をくだせるために
公約不履行の是非も徹底的に議論すべきだ。

今、民主党が退場したら、歴史は逆戻りというのも怪しい。
「日刊ゲンダイ」がやっているその手の報道は
有権者に対する恫喝報道だと筆者は思う。

今回政権交代できたのだから、
むしろ今後は、有権者にとって
今までよりは政権交代に対してためらいが
少なくなるという見方だって出来る。
よりましを求める政権交代が頻繁に行われる中で、
何の留保もないストレートな歴史の逆戻りは
普通に考えてあり得ないだろう。

なぜ逆戻りするのか、
同紙には合理的な根拠を示して欲しいものだ。
その恫喝論調は、有権者全体を愚弄したものだ。

悠久の人類史を見ても、
社会は、螺旋階段を上るように不可逆的に進歩する。
同じことをやっているようでも、
実は一段階高いステージにいる。

今後、新勢力が政権を取って
民主党政権が作った一部の成果について
取りやめ、白紙戻しがあったとしても
全体としてそれ以前の自民党と全く同じ(逆戻り)
ということはないだろうと筆者は考える。
(だから自民党復権を望むという意味ではなく
いかなる政権でもそうならざるを得ないだろうという意味)

もっとも、「古い饅頭」が変わったという気配もない。
「古い」ままの「為にする批判」にも与する必要はない。

繰り返すが、ディベートゲームではダメだということだ。

で、これが「疑似科学批判の批判」とどういう関係があるのか。
以下は次の記事で……

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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