血液型性格診断。今や私たちのコミュニケーションには欠かせないツールになったらしい。「あ、あなたA型でしょう」「ああ、やっぱりそういうのはB型のタイプなのヨ」。日常の会話の中で、そんな一言を耳にしたり、もしくは聞かれたりする経験がもう何度となくある。たいていの書店には当たり前のようにそれらに関する本が並び、雑誌でも血液型ごとの所見にお目にかかることは少なくない。
血液型性格判断に科学的な根拠はないが、94年には、なんと内閣のスポークスマンである官房長官(当時)の雑誌インタビューの中にも登場した。
「ぼくは血液型がO型なので、人間関係は開放的、みんなの長所をみておつきあいしようとしている」。
これは94年1月26日付の「VIEWS」という雑誌のインタビューで、新党さきがけの竹村正義代表が「犬猿の仲」といわれる新生党の小沢一郎代表幹事との折り合いについて尋ねられ、血液型性格判断による「舵取り」ぶりを披露している一節である。
「キラリと光る国」と「普通の国」の違いが当時はマスコミでも盛んにとり上げられていたが、その折り合いは結局、政策論議の次元ではなく、血液型診断で済む問題だったのだろうか。
それにしても、当時行政府のスポークスマンとして、また総理大臣の相談相手として、公党の党首として、そして国権の最高機関である国会の議員としての立場にある竹村正義だ。
雑誌のインタビューとして血液型診断の「信仰」が掲載されたとなると、「とうとうここまできたか。血液型診断の『常識』は……」と看過できない気持ちにならざるを得なかった。
アメリカでは、大統領夫人が占いにご執心というのは聞いたことがあるが、主要ポストで仕事をする現役閣僚が、政局運営の話題でオフィシャルに血液型診断を持ち出すなどというのは聞いたことがない。
いくら「軽口」がたびたび問題になった竹村正義とはいえ、ちょっと尋常ではないコメントであった。
17年後の現在。
竹村正義ら「新党ブーム」の生き残りやその遺伝子を継いでいる連中による民主党政権は、こんにちの政治をいっそう混迷させている。
文字通り、その「さきがけ」である新党さきがけの党首のトンデモ発言こそ、民主党の迷走を象徴するものであるといえるかもしれない
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