高タンパクかつ必須アミノ酸が豊富、天然のプロテインとも呼ばれるほど優れた栄養価を誇る「かつお節」に隠された驚きの健康効果

高タンパクかつ必須アミノ酸が豊富、天然のプロテインとも呼ばれるほど優れた栄養価を誇る「かつお節」に隠された驚きの健康効果

10月29日は、和食の基本である「おだし」の魅力や正しい情報を伝える記念日「おだしの日」でした。かつお節の「燻乾カビ付け(くんかんかびづけ)製法」を考案したとされる紀州印南浦の漁民・角屋甚太郎(かどや じんたろう)の命日(1707年10月28日)に由来するそうです。
実は、かつお節は水分を徹底的に抜いて作られることで、栄養が極限まで凝縮された「日本の隠れたスーパースーパーフード」なのです。

圧倒的な高タンパク・低脂質なスペックやメンタルを支える成分、職人技が光る伝統製法、そして江戸時代の歴史まで知れば、いつもの一掴みがまったく違った魅力的な食材に見えてくるはずです。

今回は、ヘルスケアと食文化の視点から、知られざるかつお節の真の魅力と今日から役立つ実践的な知識を5つのテーマに絞ってわかりやすく紐解いていきます。

驚異のタンパク質含有量!100g中約77gという「天然のプロテイン」

今日の情報源です。

かつお節の栄養スペックは、ヘルシー志向の人やプロテインを意識する人も驚くほどの高タンパク・低脂質を誇ります。

具体的には、かつお節わずか30gあたりで107kcal、タンパク質23g、脂質0.87g、炭水化物0.24g。

もともと高タンパクなカツオから水分が抜けているため、栄養素が非常に濃厚な状態で詰まっています。

なんと100gあたりのタンパク質含有量は77.1gにも達し、まさに「天然のプロテイン」と呼ぶにふさわしい数値です。

さらに、人間の体内では合成できない「必須アミノ酸」も豊富に含まれており、成人が1日に必要な必須アミノ酸をわずか約33gのかつお節で補うことができる計算になります。

「かつお節は水分が抜けて栄養が凝縮された『天然のプロテイン』。わずか約33gで成人が1日に必要な必須アミノ酸を満たすことができる。」

「普段の食事でお肉をガッツリ食べるのが難しい」「脂質を抑えながら手軽に栄養を摂りたい」という現代人にとって、お豆腐にサッとかつお節をかけるだけの習慣は、非常に効率的で理にかなった現代的なタンパク質補給法と言えます。

現代人にこそ必要!メンタルと脳機能をサポートする「アミノ酸の力」

かつお節には、ストレス社会で生きる現代人の「心」と「脳」の健康を支える重要な必須アミノ酸が豊富に含まれています。

  • トリプトファン 脳内に運ばれると、精神のバランスを整える神経伝達物質「セロトニン」を生み出します。セロトニン不足はメンタルの不調につながると言われており、トリプトファンを摂取してセロトニンを体内で作ることが大切です。さらに、不眠症の改善、集中力・記憶力の向上、鎮痛効果、月経前のイライラ(PMS)や体の不調の緩和など、幅広いサポート効果が期待できます。
  • フェニルアラニン 神経伝達物質として働き、脳機能を高めて記憶力を向上させる作用や、気分のおちこみ・無気力を緩和してうつ症状を改善する効果があるとされています。

また、ビタミン・ミネラル類も豊富で、カルシウムやリンの吸収を高めるビタミンD、糖質からエネルギーを作るビタミンB1、アルコール分解を助けるナイアシン、赤血球を作るビタミンB12・鉄分、細胞膜を形成するリン、過酸化脂質を分解するセレンなどが凝縮されています。

心が病みがちであったり、精神的に疲れを感じやすかったりする現代人にとって、日常の食事にかつお節を取り入れることは、最も手軽で安全なセルフメンタルヘルスケアの一つとなってくれます。

時間とカビが織りなす職人技!「本枯節」ができるまでの途方もないプロセス

かつお節(特に最高級品とされる「本枯節」)ができるまでには、職人の途方もない手間と長い時間がかけられています。

  1. 煮る・骨抜き: 3枚におろしたカツオを煮て殺菌し、タンパク質を凝固させます。煮ることで身がほぐれ、骨も抜きやすくなります。
  2. 燻製(荒節の完成): クヌギ、ナラ、サクラなどの薪を使い、芯からじっくり水分を抜きます。約4週間〜1ヶ月かけて水分を飛ばすと、重さが5分の1にまで減少した「荒節」が完成します(これを削ったものが花鰹です)。
  3. カビ付けと天日干し(本枯節の完成): 荒節の表面から油分やタール(黒い焦げのようなもの)を削り落とし、優良なカビをふりかけてカビ付け庫(室)へ入れます。カビがついたら天日干しで取り除くという約20日かかる作業を3〜5回繰り返すことで、ようやく「本枯節」となります。

カビは荒節に残った水分を吸い取り、さらに脂肪分を分解してくれるため、雑味が消えて上品で深みのある味わいへと変化します。

一見すると「量が少ないのに高価」に思えるかつお節ですが、カビの力と職人の手作業によって1ヶ月以上〜数ヶ月もの時間をかけて凝縮されている工程を知れば、その価値と価格の理由に深く納得できるはずです。

江戸っ子の「せっかち」と長距離輸送が生んだ?出汁文化の意外な歴史

日本の出汁文化の象徴であるかつお節ですが、その歴史や東西での定着の違いには非常に興味深い背景があります。

原型となる「煮堅魚(にかつお)」は5世紀頃から食べられており、701年の大宝律令にも重要効能品として記述があります(室町時代にかつお節の形になり、製法自体はインド洋のモルディブのハガツオ荒節から伝わったとされています)。

江戸時代になると、熊野などで作られたかつお節を大阪から江戸へ長距離輸送する際、腐敗を防ぐために優良カビを着けて保存性を高めたことから「本枯節」が誕生し、江戸で大人気となりました。

さらに、昆布出汁に比べてかつお出汁は「短時間で早く作れる」という特徴を持っていたため、短気で「せっかち」な江戸っ子の気質に見事にマッチしました。これが、関東=かつお出汁、関西=昆布出汁という文化の違いが生まれた一因とされています。

「かつお出汁が関東で定着した背景には、保存性を高めるカビ付け技術の進歩と、短時間で出汁を取りたい『せっかちな江戸っ子』の気質があった。」

出汁ガラ活用から保存の裏ワザまで!旨味の相乗効果と丸ごと味わう知恵

かつお節の旨味成分である**「イノシン酸」は、昆布に含まれる旨味成分「グルタミン酸」と出会うことで、旨味が飛躍的に強まる「相乗効果」**を起こします。これが「合わせ出汁」が美味しい科学的理由です。

そして、出汁をとった後の「出汁がら」にも、まだまだ豊富なタンパク質や栄養が残っています。捨てずに丸ごと食べる自家製ふりかけがおすすめです。

【栄養丸ごと!絶品・出汁がらふりかけの作り方】

  1. 出汁を取った後の「出汁がら」30gを包丁で細かく刻む。
  2. フライパンに刻んだ出汁がらとめんつゆ大さじ2を入れ、水分がなくなるまで炒める。
  3. お好みでゴマを振って完成!

できたふりかけは、炊き込みご飯に混ぜたり炒め物に活用したりと幅広く使えます。また、カツオ以外にも様々な節の仲間が存在し、料理に合わせて使い分けられています。

  • 宗田節(ソウダガツオ): コクと強い香り、独特のアクセント(そば・うどん向け)
  • さば節: 脂分のコクと強い甘み(うどん・そば向け)
  • ムロアジ節: 黄色みがかった独特の甘みとコク(中部地方のうどん向け)
  • まぐろ節: 淡白で上品。断面が白く美しい(高級和食のお吸い物、トッピング向け)
  • うるめ節: 燻した香ばしさ(うどん・ラーメン向け)
  • サンマ節: 魚の味を残した淡白な出汁(ラーメン向け)

【風味を長持ちさせる保存の裏ワザ】

最後に、かつお節の風味と栄養を損なわない保存法をご紹介します。未開封時は窒素封入で酸化が防がれているため「冷暗所」保存で問題ありませんが、開封後は小分けにして「冷凍庫」で保存するのが正解です。

かつお節は水分がほとんど含まれていないため、冷凍してもカチコチに固まることがなく、約6ヶ月間も美味しさと風味をキープできます。手間を感じる方は、1回使い切りタイプの小分けパックを選ぶのも賢い選択です。

高栄養であるがゆえに尿酸値の影響も


かつお節は、カツオの魚肉を圧縮した栄養密度の高い食材のため、花がつお(かつお節をけずったもの)で摂取してもプリン体が含まれていて尿酸値が上昇します。

尿酸値は、高尿酸血症⇒痛風という不健康にいざなう一方で、極端に低くなると、認知症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、パーキンソン病など脳神経疾患の発症リスクが高くなるといわれています。

尿酸値が低いパーキンソン病患者に対し、カツオ出汁などに含まれる「イノシン」を摂取させて尿酸値を上げると、症状に良い影響を与えるというアプローチも存在します。(藤田医科大学、2024年)

ですから、尿酸値の高いの人は食べすぎに注意が必要ですが、尿酸値の低い人は積極的な摂取がプラスになり得る食材ということですね。

私は、尿酸値が高いくせに、個包装されているかつお節(ヤマキのかつおパック2.5g)を、ご飯や味噌汁にふりかけて使っています。

みなさんは、かつお節は食卓に採り入れていますか。

かつお節と日本人 (岩波新書) - 宮内 泰介, 藤林 泰
かつお節と日本人 (岩波新書) – 宮内 泰介, 藤林 泰

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