大物子役から大人の俳優への移行に失敗したか

黒田勇樹という、かつては美少年の子役で売った男がひげ面で『東京スポーツ』(10月12日付)の記事になった。「発端は6股バレ 黒田勇樹 自殺未遂の笑撃真相」という東スポらしいタイトルだ。
加護亜依が、交際相手の恐喝未遂事件絡みで警視庁に事情聴取された日に、薬物で自殺しようとしたというツイートを黒田勇樹は本人が行っていた。
黒田の代表作といえば、「KinKiKids」堂本剛(32)演じる主人公をイジメまくる中学生を怪演したTBS系「人間・失格~たとえばぼくが死んだら」(1994年)だが、そんな連ドラタイトルを地でいく騒動が発覚したのは先月7日。恋人に「死んで」と言われ、「まぁそれも良い人生か」と自宅ベランダで首をつろうとしたが怖くなり、酒で薬物を飲み、気付いたら病院にいたーそんな衝撃ネタを、本人がツイッターでつぶやいたのだ。(中略)
 加護の自殺未遂を受け、黒田は翌12日未明に公式ホームページ内のブログを更新。「色々と情報が錯綜して俺も自殺未遂したみたいになってるけど 真相は彼女と喧嘩しててベランダから落ちた」と釈明。ツイッターでも「痴話げんかしてベランダのふちに立ってたら足滑ったってだけの話なんだけどな…」とした。ちなみに黒田の部屋は2階。騒動の発端となった、その「痴話ゲンカ」というのがまた驚き。知人が明かす。
「黒田はその本命のカノジョと同棲してるんですが、実はそれ以外に付き合ってる子が5人いたんです。で最近、黒田はケータイを本命カノジョにチェックされてるんじゃないかと思うようになり、わざとケータイを部屋に置いて外出。そして帰ってきたら、やっぱりケータイはチェックされていて、それで本命の子と大喧嘩になっちゃったんですよ」

同紙は、「共に色恋沙汰の自殺未遂騒動だったが、年上恋人一筋の加護に対し、黒田は実に“6股”…。ここが両者の大きく違う点だ」と改めて黒田勇樹の“自殺未遂”を茶化している。

最近黒田勇樹の名前を聞かなくなったと思ったら、同紙によると芸能界を引退してフリーターになったという。

まあ、たまに小さなオファーがあると受けるそうだから、引退だの廃業だのというよりも、たんに仕事がなくなっただけだろう。

それにしても、黒田勇樹といえば、かつては山田洋次監督の『学校III』で、キネマ旬報賞新人男優賞、日本映画評論家大賞新人賞、日本アカデミー賞新人俳優賞、全国映連賞男優賞を受賞などを独り占めしたこともある大物のはずだが、いったいどうしてしまったのか。

黒田勇樹も結局、大物子役から大人の俳優への移行に失敗したのだろうか。

上原ゆかり、穂積ペペ、杉田かおる、斉藤こずえ、坂上忍、宮脇康之、皆川おさむ、西川和孝、カケフ君、真下このみ……

これまで芸能界では多くの「名子役」が登場したが、順調に育ったのは、石井ふく子ファミリーに守られてきたえなりかずきぐらいのもので、ある者は飽きられて消え、ある者はスキャンダルを売り物にして生き残り、ある者は仕事がなくなったところで体よく寿引退し……、と、その後は芳しくない。

名子役名優にあらず、というのは、もうジンクスというよりセオリーになってしまっている。

その理由は、子役のイメージが強すぎてイメチェンができないだの、年を重ねて芸能界以外に興味を持つ自我が生まれただの、いろいろ分析はされているが、要するに激しくなった競争に耐えられなかっただけだろう。

子役は、役をもらって注目されるまでは競争があるが、いったんブレイクすれば、同年代でキャラがかぶるライバルはあまりいない。ところが、大人の役者はキャラのかぶる競争相手が同年代にたくさんいる。

競争の少ない楽なところで芸能界入りした子役などは、あっという間に負けてしまうのだ。

「美少年」で売り出した黒田勇樹も、年とともにひげも濃くなる、髪も薄くなる、肌も汚くなる。では、自分から「美少年」をとったら何が残るか、というところで行き詰ってしまったのだろう。

しかし、東スポによる「笑撃」記事によって、読者に名前を思い出してもらったことであるし、今後はそういう面白困った路線で杉田かおるのように「復活」するのもいいかもしれない。

子役という仕事―その成功の方程式

子役という仕事―その成功の方程式

  • 作者: 香取 俊介
  • 出版社/メーカー: ジュリアン出版
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本