昭和のお化け番組『ありがとう』第1シリーズ(1970年4月2日~10月22日、TBS)が、無料のBS放送局『BS12トゥエルビ』で6月6日から放送開始されました。DVD化やPrimeVideoでの公開がないので、ファンはBSやCSでの放送を待つしかなかったので待望の再放送です。
『ありがとう』というのは、石井ふく子プロデューサー、平岩弓枝脚本による昭和40年代のホームドラマで、ホームドラマ全盛を象徴するシリーズだったと思います。
全4シリーズ放送されましたが、うち、1~3までが、水前寺清子、山岡久乃の母子家庭を中心とした物語でした。
第一部は、母子が九(いちじく)保育園に住み込み、水前寺清子が婦人警官、山岡久乃は保育園のまかないに従事していました。
第二部は、十(つなし)医院に住み込み、水前寺清子が看護婦(看護師)、山岡久乃が准看護婦(准看護師)として働いています。
第三部は、母子が商店街で魚屋を営み、精肉店、青果店、酒屋、荒物店、電気店、焼き鳥屋などとの交流を描いています。
シリーズは、一貫して安定した視聴率を維持し、とくに第二部の看護師篇第48話(1972年12月21日放送)は、視聴率56.3%を叩きだしました。
母子家庭の住み込み看護師(水前寺清子)が、勤務先の跡取り医師(石坂浩二)と結婚するストーリーは、「星の王子さまをゲットする」という女性の夢を実現したことで、最高潮の盛り上がりだったわけです。
現代の女性は、自由な生き方をしているように見えますが、社会的肩書が立派だったり資産家だったりする相手を「ゲットする」価値観は健在ですから、今見ても、その点では感情移入できるのではないでしょうか。
仕事や恋愛を通じて成長していく姿を描く
全シリーズやるかしら。→水前寺清子主演大ヒットドラマ『ありがとう』第1シリーズ、6.6より放送 チータが警察官に(クランクイン!) https://t.co/SboPgbXOgu
— nishiyan (@nishiyanyo) June 4, 2024
第一部は、下町の三人の明るい娘が警官になることを志し、母親や姉などの反対を説得しながら、下町の人情に温かく迎えられて成長していく物語です。
三人娘は、水前寺清子さん、沢田雅美さん、佐良直美さんです。
昭和45年TBS ありがとう 水前寺清子さん 沢田雅美さん 佐良直美さん pic.twitter.com/Rz1h7MBZzf
— Tayuki (@72tayuki) March 27, 2024
舞台は東京・上野署。
新米婦人警官の四方光(水前寺清子)が、上野署での仕事や恋愛を通じて成長していく姿を中心に描いています。
水前寺清子は、保育園の住み込みまかないで働く山岡久乃と暮らしています。
そして、保育園のオーナーは、石井ふく子Pの養父である伊志井寛。
そこに引き取られた孤児が石坂浩二。
第1~第3シリーズまで、すべて、水前寺清子と石坂浩二が結ばれるハッピーエンドです。
で、前述のように、「身分違い」だった第二部が、もっとも盛り上がったというわけです。
シリーズは「諸行無常」だった
高度経済成長時代のホームドラマと言うと、十年一日のような日常生活が描かれているようなイメージがありますが、実は3作を通じて、時は動いていました。
第一部は、山岡久乃が、水前寺清子に教え諭すシーンが多かったのですが、シリーズごとに母子の関係に変化があり、第三部になると、山岡久乃が久米明と再婚。水前寺清子が一人で家業の魚屋を切り盛りし、久米明の連れ子である大空眞弓と暮らすなど、水前寺清子が子として、人間として成長していく姿が描かれています。
私は個人的には、第三部がいちばん好きなんですけどね。
ですから、今回も第一部だけでなく、第三部まで一気に放送してくれないかなと思います。
たしか、一気に放送したのは、22年前の2002年に1度ありました。
ですから、今回もできないことではないと思います。
シリーズは第四部までありますが、第四部は京塚昌子と佐良直美にバトンタッチ。
1度だけ再放送されましたが、あまり評価は高くないですね。
1839.ありがとう
1970年~1975年までTBS系で放送されたドラマです。全4シリーズ1期30話、2期52、話3期53話、4期52話 第3シリーズまでは、水前寺清子と故 山岡久乃の母と娘の日常生活を中心に描いた物語で人気ホームドラマとなりましたが、第4シリーズで大幅な配役変更があり視聴率が低迷し終了しました pic.twitter.com/z2Tgob3CdG— レトロ 颯 (@Retrohayate) November 6, 2023
このOGPでは、第四シリーズは「大幅な配役変更」が「視聴率が低迷」する原因であると分析されていますが、私は、たぶん昭和50年代に入り、お茶の間ホームドラマ自体が終焉を迎えたのではないかと思います。
『ありがとう』の姉妹作といわれる『明日がござる』(1975年10月2日~1976年9月30日)では、水前寺清子、山岡久乃が嫁と姑の関係を演じました。
今にして思うと、『明日がござる』は、『渡る世間は鬼ばかり』の初期の雰囲気と似ています。
もう『ありがとう』を観ていた世代は、50代後半以上だと思いますが、若い方にも1度見ていただきたい名作ドラマです。
『ありがとう』、ご存知ですか。
以上、昭和のお化け番組『ありがとう』第一シリーズ(1970年4月2日~10月22日、TBS)がBS放送局『BS12トゥエルビ』で6月6日から放送開始、でした。
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