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桜田一男さんの急逝から1年。数少ない昭和プロレスの生き字引でしたが、マニアの思い込みに対する新事実を語っていました

桜田一男さんの急逝から1年。数少ない昭和プロレスの生き字引でしたが、マニアの思い込みに対する新事実を語っていました

桜田一男さん(1948年9月26日~2020年1月12日)の急逝から1年たちました。「心臓のペースメーカーの故障」で亡くなったとの訃報にきが隠せませんでした。数少ない昭和プロレスの生き字引でしたが、マニアの思い込みに対する新事実を語っていました。

桜田一男、Mr.サクラダ、ドリーマシーン、ケンドー・ナガサキ


桜田一男さんは、北海道網走刑務所刑務官の息子として生まれ、同郷の北の洋がいる大相撲の立浪部屋に入門。

7年後の1971年にプロレスに転向。

上田馬之助の付き人をしながら前座で試合をしていたものの、1973年には所属団体の日本プロレスが崩壊しました。

その後は、桜田一男さん含めて、日本プロレスの残党が全日本プロレスに合流。

身分は1976年3月まで日本プロレスの預かり(以後は全本プロレス所属)で、日本プロレスから報酬が出ていたそうですが、預かり時代も正式所属時も、全日本プロレスのリングに上って、やはり前座で試合をしながら、当時の若手である渕正信、大仁田厚、園田一治らをコーチしています。

余談ですが、テレビタレントや国会議員として一般の知名度もある大仁田厚は、もっとも根気もセンスもなくパフォーマンスだけは立派で、一番センスを感じたのは渕正信だったそうです。

正式所属になった1976年10月、髷げをつけたまま入団した天龍源一郎かアメリカでトレーニングする際に“髷結役”として帯同。

全日本プロレスではこれといった活躍の場もなかった桜田一男は、キラー・カール・コックスに誘われそのままアメリカマットに活路を見出します。

もともとタッパもあり、セメントも強く、さらにアメリカでショーマンシップも学んだ桜田一男は、アメリカでオーバー(主力レスラーにブレイクすること)。

1882年以後、フロリダでペイントレスラーのケンドー・ナガサキとして売り出し、ブレイクを決定的なものにしました。

一方、全日本プロレスでは、凱旋帰国しても華やかな見せ場は与えられず、ドリーム・マシーンなる覆面レスラーとして外国陣営に回されたことから“自分の居場所はない”と悟り、ケンドー・ナガサキになってからは新日本プロレスへ。

しかし、純国産の“ストロングスタイル”を標榜していた猪木プロレスでもアメリカほどの大きなチャンスはなく、メガネスーパーが累計99億円使ったプロレス団体、SWSの立ち上げに関わり高い報酬を得ることとなりました。

プロレスファンはご存知ですが、SWSは大金をかけたにもかかわらず2年少しで団体は崩壊。

残った選手のために新団体NOWを作ったもののうまくいかず、いつの間にかプロレスからはフェードアウトしてしまいました。

アメリカではかなり稼いだといい、メガネスーパーからも契約金3000万円、月給200万円で大事にされていたはずですが、団体崩壊で逆に借金を抱えてしまったことが、プロレスを退く理由だったそうです。

したがって、引退後も悠々自適とは行かず、いくつかのビジネスを経験しながら、亡くなる前はビルの管理人。

不整脈の手術も行っていたので、一部の昭和レスラーのように、60代、70代になって太ったりたるんだりした体をさらしてカムバックすることはありませんでした。

マニアの“思い込み”に気づきを与える

さて、冒頭に書いたように、桜田一男さんは、『プロレスリングの聖域』(別冊宝島編集部編、宝島社)というムックに掲載されたインタビューや、『ケンドー・ナガサキ自伝』(桜田一男著、辰巳出版)という自著で、プロレス時代を振り返っています。

その内容は、これまでプロレスマニアが硬く思い込んでいた認識を改めさせられる内容が含まれていました。

私が知る限り、大きく2つのことがありました。

  1. ジャイアント馬場の全日本プロレスは年金を払ってくれていた
  2. SWSが崩壊したのは、エースで役員レスラーの天龍源一郎に団体運営のビジョンがなかった

これについての見解は後に述べますが、桜田一男さんによると、『プロレスリングの聖域』(別冊宝島編集部、宝島)でこう語っています。

俺はいま少しばかり年金をもらっているけど、これは全日本時代に馬場さんが払ってくれたおかげなんですよ。馬場さんはたしかにケチだったけど、感謝もしている。1976年からずっとアメリカをサーキットしていて、その間、年金なんて頭にもなかったよね。だってギャラ自体はなかったわけだから。ところがあとになって全日本時代、ずっと会社が年金を払ってくれていたことが分かった。
 3年か4年前に、「自分の年金の状況を一度調べてもらったほうがいい」というアドバイスを受けて、年金事務所に行ったんだよ。そうしたら全日本所属時代、アメリカに行っている間もずっと年金が支払われていて、あと60万円くらい納めれば基礎年金の受給資格が発生することが分かった。
 本当に知らなかったから、年金の記録に「全日本プロレスリング」ってあったときにはビックリしてね。
馬場さん、ありがとう。

プロレスラーが年金をもらえる、ということ自体、驚異です。

プロレスラーは芸能人と同じで確定申告を行う個人事業主。

会社に所属していても、あくまで業務上の契約関係に過ぎず、身分を守る雇用関係にあるわけではありません。

いったん社員にすると、立場が強くなるため、経営基盤が弱く、選手寿命が短いレスラーは職務の性質上、契約選手である方が妥当であるからです。

そんな中で、馬場全日本プロレス時代のレスラーは社保完というのは異例のことなのです。

ただ、桜田一男さんの場合は、日本プロレスからの合流組であり、合流時の契約は全日本プロレスではなく日本テレビの預かりでした。

そして、繰り返しますが、その間は「日本テレビから給料は出ていた」とご本人が証言しています。

しかも、桜田一男さんが、全日本プロレスでシリーズの主役になったり、タイトル戦線に絡んだりしたことはついに1度もありませんでした。

だったら、なおさら、全日本プロレスが年金をかけてくれるとは思わなかったのでしょう。

そして、SWSの崩壊については、「ターザン山本が『週刊プロレス』で叩いたから」というのが定説になっていましたが、プロレスマニアというのは、しょせんプロレス村のメディアのいいなりで自分の頭で考えていないことをはしなくも露呈しているわけです。

しかし、『ケンドー・ナガサキ自伝』によれば、当事者の桜田一男さんは当事者としてのプライドもあるからでしょうが、そのような責任転嫁は一切していません。

  1. SWSは売り興行ができなかった
  2. もともと悪かったレスラー間の関係は、ドン荒川がけしかけて北尾光司に騒動を起こさせたことで一層ギクシャクした
  3. 阿修羅原の入団で“反天龍”の機運が高まった
  4. エースで役員レスラーの天龍源一郎に団体運営のビジョンがなかった

マニアは心優しいというか妄信的と言うか、とくに一番下の「4」を指摘する人はいなかったと思います。

本人の意図や自覚に関わらず、SWSを崩壊させた真犯人は、ドン荒川、北尾光司、阿修羅原、天龍源一郎、ということです。

当事者だから自己批判を回避したか、当事者だからこそプロレスマスコミも指摘しない見解を述べられたのか。

あなたはどちらだと思いますか。

昭和プロレスの生き字引でした

これまで、ジャイアント馬場はがめつい、レスラーに還元するお金を夫妻で独り占めしている、カブキが「1試合500円の値上げ」といわれた、休むと報酬がないなど、まことしやかにいわれました。

しかし、「馬場ががめつい、報酬が安い」のほとんどは、レスラーから聞いたことであり、そのレスラーが本当のことを言っているかどうかの裏とりは全くなされていませんでした。

プロレスマニアというのは、大変熱心なのですが、プロレス村のファンタジーを守り続けるプロレスマスコミの情報を、疑いもなく信じる浅はかな面を指摘せざるをえません。

たとえば、全日本プロレスは新日本プロレスよりも報酬が安いという「噂」は、ほかでもないSWS裁判で、レスラーの報酬が明かされた際、それが虚偽であることがわかりました。

欠場にしても、そのシリーズは全額出て、次のシリーズは6割出るという話も出ています。

ケチと言うよりシビアで、日本的なやり方と、アメリカ的なシステムが、経営者に都合のようように混在していたのかもしれません。

また、ジャンボ鶴田や天龍源一郎のように、自らスカウトしたレスラーと、本人が志願して入門したレスラーでは、扱いが違っていたとの指摘もあります。

全日本生え抜きと外様についても、同様の指摘がなされています。

ただ、少なくとも言えることは、マニアの「定説」と真実は、いささかニュアンスが違うのではないかという思いをいだきました。

以上、桜田一男さんの急逝から1年。数少ない昭和プロレスの生き字引でしたが、マニアの思い込みに対する新事実を語っていました、でした。

ケンドー・ナガサキ自伝 (G SPIRITS BOOK)
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プロレス リングの聖域 -
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、曾祖叔父と“日本のケインズ”高橋是清の接点(仙台藩でワキジ時代のお世話役、そして姻戚関係か)を発見。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場からMMT支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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